簡単なモデルを書いてみたらよい。
IS曲線とは政府部門や外国部門を無視すると財市場の均衡をあらわす
Y=C+I
であらわされる。いま簡単化のため消費関数を1次式で
C=Co+cY
Coは定数、cは限界消費性向で0と1の間の値をとる定数
であらわされるとし、投資関数は利子率のある減少関数
I=I(r)
としよう。これらを最初の式に代入すると
Y=Co+cY +I(r)
Y=(1/(1-c))(Co+I(r))
となる。これが財市場の均衡をあらわすIS曲線だ。任意にあたえられた利子率rの値にたいして、乗数1/(1-c)が大きくなると、Yは大きくなることがわかる。つまり、乗数の値が高くなると、rを縦軸に、Yを横軸にとったIS曲線は右にシフトすることになる。
一方、LM曲線はある低いrの値の下では「流動性のわな」にとらえられて水平になる。乗数はLM曲線とは関係ないので、右にシフトしたISと当初の水平のLMは同じ利子率rのもとで、より高いYの値のところで交わることになる。そこが新しい均衡だ。したがって新しい均衡のもとでは利子率は変わらず、Y(所得あるいはGDP)はより高い値をとることになる。水平のLM曲線、右下がりのIS曲線、右にシフトした(右下がりの)IS曲線の3本のグラフを描いて確かめなさい!