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ナタリー・ディアスの詩の詩的な翻訳例お願いします!
- 暗闇の中で、わたしの意識は、疼き燃える獣。
- もしも、はてるまで恋人の腰と鋤の下つながれねば、今宵もまた欲望の原を薄暗い緑光の中彷徨うだろう真夜中と朝の間の草原をうなりながら。
- 不眠症の夜をLet me call my anxiety, desire, then. Let me call it, a garden.と前置きし、眠れぬ苦しさを「欲望」そして「園」に例えたた上での詩のようです。不眠症をここまで芸術的、視覚的に描くこの詩作には度肝を抜かれ、さっそく日本語訳でも感動が伝えられるかと試してみましたが、うまくできたのかよく分からない状況です。
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以下のとおりお答えします。 いつもよりまして楽しいご質問をありがとうございます。 (まずは、お訳から) >暗闇の中で、わたしの意識は、 >疼き燃える獣。 >もしも、はてるまで恋人の >腰と鋤の下つながれねば、 >今宵もまた欲望の原を >薄暗い緑光の中彷徨うだろう >真夜中と朝の間の草原をうなりながら。 ⇒いやあ、素晴らしい訳ですね。参りました。こううまく訳されたのでは、こちらの出る幕はありませんが…。けれども、またぞろ臆面もなくしゃしゃり出させていただきます! (スペイン語の引用) ナタリー・ディアス(カリフォルニア出身)なら当たり前かも知れませんが、バイリンガルですね。それで、至る所にスペイン語がまぶし込まれています。例えば、verde que te quiero verde「緑、キミが緑であって欲しい」、una bestia「野獣」、soy una sonámbula「私は夢遊病者」など。 ロルカ(García Lorca)と言えば、スペイン現代詩(後期モダニズム)を代表する詩人ですね。上の "verde que te quiero verde" はロルカからの引用らしいので、それらしく訳さなければならないのですが、さてどうしたものでしょう。うまく考えられませんが、少なくとも言えることは、スペイン語のverde・英語のgreenはともに「卑猥な、色っぽい、妖艶な…」、または「セックス」そのものを意味する場合もある、ということです。それで、この引用句、ひとまず「汝、艶やかに色めきたまえ」とでもしておきましょうか。 (原文再録:照合・確認用) My mind in the dark is una bestia, unfocused, hot. And if not yoked to exhaustion beneath the hip and plow of my lover, then I am another night wandering the desire field— bewildered in its low green glow, belling the meadow between midnight and morning. (語句) ☆ una bestia:すでに見たとおり、文字通りには「野獣」ですが、ここでは「(野獣の)本能・欲望」といったニュアンスでしょう。 ☆ if not yoked to ~:「~するまでに結ばれなければ」と解釈しました。 ☆ plow:「鋤(の柄)」、「鋤の棒」、つまり男根を象徴している(?)。 ☆ bewildered:「うろたえる」が原義ですが、ここでは「身をよじる」くらいが適訳か。 ☆ green:全体でこの語が8回(verdeも加えれば合計10回)出てきます。そのうちには、純粋に「緑」を意味するところもあると思いますが、全体的に大なり小なり、「肉体的な性」にかかわる、あるいは暗示するような意味合いで使われていると思います。 ☆ belling:普通に考えると「鐘を鳴らす」だと思いますが、bellには「さかりのついた鹿が鳴く」という意味があるそうで。 ☆ meadow:訳は「草地」でいいかも知れません。ただし、私は(うがった見方かも知れませんが)、秘かに「(女性の)陰部」を想像しました。 ★ なお、直後に出てくるInsomniaは確かに「不眠症」ですが、場合によっては「夜の悶え」とでも訳した方が文脈と合うかも知れませんね。 (最後に私の試訳) 《暗闇の中、わが心はさけび、みだれ、 ほてる。なれば、果つるを知らず 恋人の腰と鋤棒の下に結ばれずあらば、 今宵また、欲望の野をさまよう ― その薄明かりに悶えの身をよじり、 真夜と朝の間の草地がさわぐ。》
お礼
ご回答ありがとうございます。 ふと質問タイトルに『R18』と入れとくべきだっだろうか?悩んでいたところでした。(笑) 艶やかな内容も芸術に変えてしまうのが詩のすごい所ですね。 >暗闇の中、わが心はさけび、みだれ、 >ほてる。なれば、果つるを知らず >恋人の腰と鋤棒の下に結ばれずあらば、 >今宵また、欲望の野をさまよう ― >その薄明かりに悶えの身をよじり、 >真夜と朝の間の草地がさわぐ。 同じ詩を訳しても、違った味で楽しめるのが翻訳の楽しい所ですね! とても艶やかに仕上がりましたね!そして、いつにもましてお上手に訳されましたね! 折角なので、こちらにもコメントします。 >verde que te quiero verde「緑、キミが緑であって欲しい」 スペイン語も英語が分かればなんとなく分かるレベルで、こう解釈しました。verde(緑) que(感嘆文) te(あなた:目的語が前に出た) quiero(欲する:一人称の動詞) verde(teと同格)つまり英語にするとGreen, how I love/want you, green.(緑よ、どれほど私があなたを求めた事か。) なるほど、「緑である君が大好きだ」を「君が緑であることを望む。」と訳されましたか!同じ事ですね。 >スペイン語のverde・英語のgreenはともに「卑猥な、色っぽい、妖艶な…」、または「セックス」そのものを意味する場合もある、 これは、勉強になりました! 早速より詳しく調べたところ、「性欲」のほかに「腐敗」も意味しているようです。なるほど、ロルカの詩の最後で las cosas le están mirando y ella no puede mirarlas. (上の行:cosas=things, estar + **ndoで be動詞+ingで、原型はmirarで「見る」,estanは、主語がlas cosasなので、estarの三人称複数の動詞変化) (下の行:同じ動詞のmirarに目的語のlas=las cosasが付いたのものだから) (英語的にはthings are watching her and she cannot see them.って感じ?) と書かれていたのは、「汝、艶やかに色めきたまえ」と、色めく彼女を求めるとともに、死別した恋人を嘆く歌なのかも知れません。 ナタリーさんの詩も、「疼き」や「渇き」と共に腐敗した苔のような「安息」を求めていたのかも知れません。 >☆ plow:「鋤(の柄)」、「鋤の棒」、つまり男根を象徴している(?)。 私もそう思いました。 >☆ meadow:訳は「草地」でいいかも知れません。ただし、私は(うがった見方かも知れませんが)、秘かに「(女性の)陰部」を想像しました。 こうやって私には見えなかった箇所がご回答で見えるようになるのは助かります。 >★ なお、直後に出てくるInsomniaは確かに「不眠症」ですが、場合によっては「夜の悶え」とでも訳した方が文脈と合うかも知れませんね。 確かに!!! >☆ belling:普通に考えると「鐘を鳴らす」だと思いますが、bellには「さかりのついた鹿が鳴く」という意味があるそうで。 私の訳の「うなる」も「さかりのついた鳴き声」をイメージしております。 >ロルカ(García Lorca)と言えば、スペイン現代詩(後期モダニズム)を代表する詩人ですね お詳しいですね。 私は全く知らずにこの詩を読みました。 今回は、私もいつも以上に楽しめました! 毎回艶っぽいっとアレですが、たまにはこういう詩を訳すのもいい物ですね。 同じ詩を訳して、違う味わいを味わえるのが本当に楽しかったです!