こんばんは(^^)いつもお世話になります☆
英文で接近音について読んでいたのですが、次の文章の解釈についてわからなくて困っています。
#1Lateral approximants all have a closure between the tongue and the roof of the mouth, with air escaping smoothly through a channel at one or other(or both) sides of the tongue.
側面接近音は舌と口蓋の間に閉鎖を作り、舌の片方、若しくは両方の側からスムーズに空気が通ります。
#2This means that lateral approximants can only be made at those places of articulation where the tongue tip and body are the active articulatiors.
よって側面接近音は舌の先と舌(全体?)が能動調音器官となるところでのみ作られます。
#3It is of course possible to allow air to escape at the side of the mouth with an otherwise bilabial closure and so this might be thought of as lateral as well; however, such an articulation is not exploited linguistically.
両唇による閉鎖で口の端から空気が通るため(so 以下がよくわかりません)しかしながらこのような調音は言語学的には用いられません。
#2では舌の片側、両側から空気が通ることにより側面接近音が作られる、とあるのに、#3ではの端?から空気が通る調音の仕方は言語学的には用いられない、とあります。どうしてなんでしょうか?この文章の解釈自体が間違っているのでしょうか?
細かくて申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
こんばんは/はじめまして。
音声学は昔ちょっとかじった程度で,かなり記憶が怪しくなっていますが(^^;)よろしくお願いします。
さて,3番の文ですが,私はこんなふうに解釈しました。
(3-1) It is of course possible
to allow air to escape at the side of the mouth
with an otherwise bilabial closure
まず,with以下を省いて読むと,
「もちろん,空気を口の端から逃がしてやることも可能である」
次に,with以下ですが,otherwiseという副詞には「もしそうしなかったら(こうなる)」という意味がありますので,
この場合は「もし口のサイドから空気が漏れなかったら(完全な)両唇閉鎖音になるようなやり方で」ということではないでしょうか。
つまり,両唇を閉じて[p]の格好にして,中央部は閉じたまま,唇の一端あるいは両端に隙間を作って,そこから空気を通してやる,という発音でしょうかね。
[β]を,唇の一部だけ閉じて発音するような音になるでしょう。
(3-2) and so this might be thought of as lateral as well;
「だから,これも(他の[l]などの子音と同様)側面音に含めてもよいと考える人がいるかも知れない」
受動態ですが,能動態で訳してみました。
you might think of this (=3-1で述べた発音)as lateral as well
と考えればよいでしょう。
最後のas wellは,#1, #2で述べた「本物の」側面音と同様に,というニュアンスです。
先頭の(and) so ですが,いったい何がso(「だから」)なのかというと,側面音の特徴として,空気が声道のセンターラインではなく,サイドを通るという点があげられますよね。
その意味では,3-1で述べた子音も一緒(唇の真ん中は閉じている)だから,側面音に入れてもいいんじゃないか,ということです。
(3-3) however, such an articulation is not exploited linguistically.
「しかしながら,実際の言語ではこういう調音は使われない。」
英和辞典でlinguisticをひくと,訳として「言語の」と「言語学の」が並んでいて,これだけ見ているとどっちも似たようなものじゃないかと感じられてしまうのですが,英英辞典を引くと違いがハッキリします。
例えばOALDでは,
connected with language or the scientific study of language
またCODでは,
of or relating to language or linguistics
のように,一つは「ことばに関して」,もう一つは「言語学という学問に関して」の両者の意味があり,文脈で判断する必要があるわけです。
(ちなみに,こんな本をお読みになっているのだったら,辞典のフルネームは書かなくても分かるかな,と思って省きました)
exploitは元々「もうけや成功のための手段として採用する」という意味があり,しかも時に非合法だったり「そこまでやるか」というような方法だったりしますので,そのニュアンスをくんで解釈すると,「そこまで無理して子音の数を増やしたりはしない」という感じになりましょうか。
とまあ,とりあえずこんな風に解釈してみました。
ただ,これで一応筋は通ったような気がするのですが,本当に実際の言語にないのかなあ,というあたりに一抹の不安を感じます。
音声学のテキストなどを読んでいると,「こんなのどうやって発音するの!?」というような音にまできちんと発音記号があり,実際の言語上の用例があったりするので,それに比べれば「側面音化したβ」などはまだましな方じゃないか,と思えるからです。
もしかしたら,テキストの続きを読めば判明するのかも知れません。
ちなみに,最近このサイトでは(でも?)英文を丸ごと載せて「訳して下さい」式の丸投げ質問が増えて,そのたびに回答者に怒られたり管理者に削除されたりしているのですが,こういうポイントをしっかり押さえて,かつ前後関係もわかるように書かれた質問文ですと,お互い気持ちよく利用できますね。
質問者さんの人柄がしのばれる気が致します。
余計なことを申し上げました。
お礼
puni2さん、こんばんは(^^) 深夜にもかかわらず、とても丁寧な回答を下さりありがとうございました☆全部読ませていただいて、疑問がすっきり解決しました(^^) #3の内容ですが、両唇閉鎖音ですか。それで口のサイドから空気を逃がすのはかなり難しい発音ですね!でもそうなるととても強い摩擦音のような強い音になるけど響きは悪くなる(側面接近音は響きがいいはず)&呼気流が舌のサイドは通るかもしれないけど、もしかして舌の位置が問題?ということもあって、「接近音」に含めるのには無理がある、のかもしれませんね☆素人解釈ですが。。。(^^;)IPAの表でもなかったと思います。 それにしても、linguisticやexploit等々の、ポイントとなる語の説明もとてもよくわかりましたし、「ちょっとかじった」はかなりのご謙遜かと思われる回答で感動いたしました。本当にすごいです!!! >ただ,これで一応筋は通ったような気がするのですが,本当に実際の言語にないのかなあ,というあたりに一抹の不安を感じます。 おっしゃる通り、どこかのめずらしい言語にあるかも、ですね☆でも、「音声学入門(小泉 保著)」を見ながら、この英文の本を読んでいたのですが、その音声学入門の本も、英文の本もそこまで詳しくなくて、側面接近音の説明は#3の文章で終わっていました☆ それにしても、質問文の#3のところで「口」の文字が抜けていたり(すみませんでした)、質問文自体もわかりにくいかと心配していたのですが、私の間違っているところや疑問のポイントをついた、とても的確且つ丁寧な回答をいただけるなんて・・・、本当に質問してよかったです。 本当に本当にありがとうございました(^^)☆