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エントロピーの意味
エントロピーについては、時間の経過とともに乱雑な方向、または価値のない方向に向かっている、とだけしか理解していないのですが、例えば、指をケガした場合、時間の経過とともにケガが修復され、価値のある方向に向かっているように思います。また、いますぐには思いつかないのですが、分子などでも、時間の経過とともに整然と秩序正しく配列されることもあると思います。これらは、どのように理解したらよろしいのでしょうか?
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> エントロピーについては、時間の経過とともに乱雑な方向、または価値のない方向に向かっている、とだけしか理解していないのですが、 ほぼ正しく理解されています。閉鎖系では、という点に注意してください。閉鎖系とは他とのエネルギー収支がない系です。孤立系ともいいます。閉鎖系(孤立系)を考えるときは、系全体であることにも注意してください。 閉鎖系内を部分的に考えてしまうと、部分的に考えたものが系になり、同一閉鎖系内の他の部分とのやり取りが生じ、閉鎖系を考えていることにならなくなってしまいます。 > 例えば、指をケガした場合、時間の経過とともにケガが修復され、価値のある方向に向かっているように思います。 ケガが閉鎖系ではないからです。怪我したのが人間であるとして、人間は閉鎖系ではありません。外界と、熱、空気、水、食料その他のやり取りがありますから。地球全体でも閉鎖系ではありません。地球は太陽からのエネルギーを受け取っているからです。 > また、いますぐには思いつかないのですが、分子などでも、時間の経過とともに整然と秩序正しく配列されることもあると思います。これらは、どのように理解したらよろしいのでしょうか? 主観的な整然・雑然はしばしば熱力学でいう乱雑さと相反します。例えば、水と油をかき混ぜると、一時的に均一になりますが、乳化などが起こっていない場合は、分離します。これを乱雑さの減少と考えることはできません。 混合状態から油が浮き、水が沈むということは、位置エネルギーが運動エネルギーになっているわけで、やろうと思えばエネルギーとして取り出せます(放置していても熱エネルギーなどに変わってはいる)。 乱雑さが増したかどうかの判定としては、エネルギーの状態としては、より低くなるということがあります。乱雑さが極大になると、エネルギーを取り出すことができない状態になります。もちん、エネルギーが最初から取り出せないような系でも、乱雑さは増大しますので、エネルギー的な変化が必ずしも成立するわけではありません。 以上のこととは別に、エントロピーの減少も起こり得ます。熱力学では、熱は高温源から低温源に移動する、流体は容器内で均一圧力に分布しようとする、といった見方をしています。経験則ですが、覆るような現象は誰も見たことがありません。 そこを検証したのが統計力学です。熱力学がマクロで記述している現象をミクロでとらえ直してみると、低温源から高温源への熱の移動はあり得る、流体が不均一な分布に向かうことはあり得る、としています。 ただし、そのように熱力学に反する現象が起こる確率は途方もなく低いともしています。確率の低さは、「銀河いっぱいに実験装置を詰め込んで1億年観測しても、1例も熱力学に反する現象は起きないと考えていい」などと表現されたりします。駄目出しをしておいてから、駄目な点は考えなくていいくらい小さいと太鼓判を押したような感じですね。 とはいえ、ゼロでないものはゼロでないということも事実です。この宇宙が遠い将来、熱的死と呼ばれる、宇宙全体のエントロピーが極大となったら、もうエネルギーを取り出すことはできません。宇宙は外がありませんから、宇宙は最大の閉鎖系であるわけです。エントロピー極大の宇宙では生命は存在できません。生命活動は、他からエネルギーを貰って、自らのエントロピー増大を避けるものだからです。 しかし、宇宙全体は無理でしょうけれど、どこか一部分では、エネルギー利用が可能になるような部分的復活もあり得ます。原子や分子などはランダムに移動するわけですが、ランダムの結果として、整然としてくる、つまりどこからもエネルギー供給を受けずにエントロピー減少が起きる確率は、統計力学が保証するように、ゼロではありません。一度平衡状態になっても、また温度差が生まれる可能性もあるということです。 宇宙はどうやら体積無限大のようですから(観測可能な宇宙が有限なのは、あくまでも観測について)、途方もなく確率の低いことでも、その確率に無限大を乗じることになるため、必然になるわけです。
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- Mokuzo100nenn
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>これらは、どのように理解したらよろしいのでしょうか? 非常に大ざっぱに言うと、熱力学第二法則は「生命現象を除く」と考えておけば良いでしょう。 実際は、生命現象を成立させる系(=たとえば地球全体)を観れば、エントロピーの増大が続くのですが、その中の一部である動物一頭をみると、あたかもエントロピーが減少しているように見えるのです。
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なるほど、生命現象は除く、ですか。それで納得しました。ありがとうございました。
- yuniko99
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エントロピー増大の法則(熱力学の第二法則から始まった)は絶対だと言われる事があります。 物理学ではそれが全ての共通法則だとも考えたい人がいます と言うのも物理学に限りませんが「絶対」と言うものにはなかなかお目にかかれないからです。 みなさんが説明してありますので話は端折りますが 宇宙のエントロピーはビッグバンと同時に増え続けていることになります。宇宙を孤立系(閉鎖系)と考えればです。 ではなんでビッグバンの時点ではエントロピーは小さかったのか つまり秩序だっていたのか? そこに何が在ったのか? なんで一方向にしか進まないエントロピーの増大がビッグバンの時点では最小だったのか?? その前はどうだったのか?? 疑問ですよねえ。僕はビッグバンの特異点は矢張り超巨大なブラックホールの中心だたとだと思います。 特異点と言いますが 点であるはずがないのです。数学的には点が在っても、現実には天という存在はありません。0はないのです。 話が難しくなるので僕の考えを書きますと。 指をケガした場合は 生命体ですから外から太陽から来たエントロピーの低い、質の良いエネルギーを供給されてますから。そのエントロピーの低さ(小ささ)で指w治すのだと言われます。 つまり太陽エネルギーの供給がなければ生命はネゲントロピー(生命がエントロピーの法則に逆らう様に秩序を成すこと)を持ち得ない と言う訳です。 ではこの宇宙にエントロピーを小さくする存在は無いのか? ブラックホールという引力の権化があります。これはもしエネルギーが集まるばかりで、大きくなるばかりならエントロピーは小さくなり続けることになります。 それに対してあの有名なホーキング博史が「ブラックホールは蒸発する」という理論を立てました。 その理論は端折りますが 私ははっきり言ってそれは無茶な理論だと思います。 ブラックホールが蒸発するなら 少なくともブラックホールは何かを放ってなければなりません。??? この引力と言うのがキーワードです。秩序はほとんどがこの引力があって成り立ちます。 分子にしても原子にしても 核の引力や互いの共有結合にしても引き合わなければ成り立ちません これも秩序の基礎です 簡単に言えば この宇宙に引力(4つの力など)がなければ全てはバラバラになって 太陽も地球も求心力もなく粘着力もなく雲散霧消します。 それが本当にエントロピーが最大の状態です。 つまりこの宇宙に秩序をもたらす要因のひとつは引力(原子核やその他の素粒子の)なのです。 ではさっきのブラックホールは??引力のMAXですよねえ 一つの。 ビッグクランチという話があります。今は宇宙は広がって行っているが 何時かは宇宙の構成物の引力で引き戻されて中心に集まり始め 最後は一つになるというものですが それがブラック(ダーク)エネルギーの存在の妄想によって否定されつつあります。 ダークエネルギーはググて頂けば分かりますが 斥力を持った膨大なエネルギーです。 引力の反対である斥力を持つと言うのです。 時間がないので結論を書きますと。 ブラックホールの蒸発 ダークエネルギーの存在 エントロピー増大の法則は絶対 は まさかあ^^ ウソでしょう^^ その三つは「引力」によって例外や誤解であることが何時かは証明されるでしょう それが我々が生きているうちか 死んだあとか それも分かりません。 引力と循環によってこの宇宙は出来ています。それがなければ存在し得ないのです。 精神は性質で出来ています。
お礼
ブラックホールの蒸発、引力… 滝の水は、上の方では位置エネルギーあってもエントロピーは小さい。逆に、下の水は、位置エネルギーは低いがエントロピーは大きい…その結果を作らしめたものが引力ということですか。なるほど、引力というのは確かに、キーポイントかもしれませんね。参考になりました。ありがとうございました。
- stmim
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秩序のある状態をエントロピーが低い、乱雑な状態をエントロピーが高いと考えるといいと思います。 秩序のある状態を生物は保っています。ただ、それを維持するためにデンプンなど秩序の高い(エントロピーの低い)状態の食物を食べて、秩序のない状態である(エントロピーの高い)二酸化炭素を放出します。デンプンは一定の形をたもった物質(つまりエントロピーが低い)ですが空気中に放出された二酸化炭素はバラバラに空間を飛んでいって、どんどん秩序のない状態になっていきますよね(エントロピーが高い状態)。つまり、生物はその体内のエントロピーを低い状態に保つ代償として、外界のエントロピーを高くしています。その総和ではいつもエントロピーが増大しています。 一見、エントロピーが低下しているようにみえる現象も実は、それに付随してエントロピーの増大がセットになって起きていて全体ではエントロピーが増大するようになっています。
お礼
なるほど、外界とのトータルで考えるわけですか。その外界とのトータル部分を総合して閉鎖系と見るわけですね。何となくわかりかけてきました。ありがとうございました。
- bgm38489
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例えば、鉄などの金属原子は、引き合う力が強いため、くっついた方が位置エネルギーは低くなる。エントロピー増大の法則に、位置エネルギーを低くしたいというのが勝った事例。 ケガもほっといたら治るかもしれないが、それはヒトという生命体が治しているわけだ。文化も、人が作って、世界は価値のある方向に向かっているように見えるのと同じだ。ケガを治すときに新たに作られる細胞も、文化も、複雑化していく。この複雑化もエントロピーの増大だ。 エントロピーは減少することがあるとは、マックスウェルの説だが、エントロピーとは何かを理解するには、ブルーバックスの「マンガで読むマックスウェルの悪魔」(月路よなぎ)がお勧め。何度も読み返して、納得がいってから、この本の元となった同社「マックスウェルの悪魔」(都筑卓司)を読んで見ればいい。
お礼
複雑化=エントロピー増大 ですか。なるほど、そのように捉えるわけですね。なかなか奥が深いですね。本の推薦もありがとうございました。本屋で探してみます。
お礼
まず、申し訳ありません。全て目を通させていただきましたが、物理学に弱い私には、半分くらいしかわかりませんでした(すいません…)。しかし、通常のエントロピー増大とは、逆方向の可能性は0ではない、というのは、意外でした。ホントにこの宇宙の法則というのは、なかなか掴み難いものがありますね。それと、ケガの話ですが、人体が閉鎖系ではない、ということで、エントロピー増大とはならない、というのがわかり、勉強になりました。詳細な御回答をありがとうございました。