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物理II:気体の問題について
- 2つの室に入っている等量の気体が加熱され、その後2室の圧力が等しくなりますが、温度は異なることが不思議です。
- 状態方程式から、温度が等しくなければならないと考えられますが、なぜ温度が異なるのか疑問です。
- 質問内容は、1.なぜ2室の温度が異なるのか、2.なぜ2室の圧力が等しくなるのかです。
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#2、#3、#4です。 大きく書き換えなければいけないようです。 私自身がばねという言葉に引きずられて力学的なイメージにはまってしまっていたようです。熱力学的に考え直しました。 加熱とか圧縮とかの操作で気体の状態を変えるときはいつも準静的な変化が前提になっています。ゆっくりとした近似的に平衡状態の連続であるとみなせるような変化です。 (1)初期状態は平衡状態です。 PoV=NRTo (2)ヒーターで加熱して左室の体積を(3/2)Vに変化させるところもゆっくりとした準静的変化です。ばねもゆっくり伸びていきます。この条件で隔壁が右に動いていくときに右の部屋の中の気体にする仕事の評価が可能になります。隔壁は断熱されていますから熱は伝わりません。でも仕事を通じてエネルギーは伝えられます。右室の気体の温度は髙くなります。 (3/2)P1V=NRT1 (1/2)P2V=NRT2 ばねの張力をF,容器の断面積をSとすると P1S=F+P2S ですから P1>P2 です。 (3)隔壁に穴をあけます。隔壁はゆっくりと元の位置に戻ります。 (穴はものすごく小さくて気体が噴き出るというよりは漏れていくというイメージです。したがってばねがビーンとはねて戻るというイメージではありません。空気が漏れているのでじわじわ戻っていくというイメージです。この場合、圧力差が張力と釣り合うという関係は常に(近似的に)成り立っています。ばねの弾性エネルギーは移動する気体の流れのエネルギーに変わっています。このエネルギーは右室の気体の熱エネルギーを増加させます。左室の気体の温度はT1のまま変化しないと考えていいでしょう。 元の位置にもどったとき張力がゼロになりますので圧力差はなくなります。気体の移動はなくなりますので温度差は解消しません。ここで一区切りです。温度平衡と圧力平衡が同時に実現しているとは考えていないのです。圧力平衡が実現してしまえば気体のマクロな流れはなくなりますから温度平衡は熱伝導だけで実現することになります。これはものすごく時間のかかることですから区切りを入れてしまうという考え方が許されるのです。) ばねと隔壁が元の位置に戻った時の圧力をP1’、P2’、温度をT1’、T2’、モル数をN1,N2とすると P1’V=N1RT1’ P2’V=N2RT2’ N1+N2=2N 上で考えたことから P1’=P2’ T1’=T1 あとこれにエネルギー保存則を付け加えます。 P1’を求めよという問題です。 初期状態のPo,To、熱膨張後の温度T1,T2、気体の(定積)比熱が与えられていると解くことができます。(本当は定積比熱がわかっているとT1はToで表すことができるのです。でも断熱圧縮の式は高校では出てこないと思いますのでT1と比熱の両方を与える必要があります。) 高校の模試のレベルで解けるとは思えません。 どういう量が問題文の中に条件として示されているかがわかると出題者がどう考えているかをある程度推測できると思いますが。
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- htms42
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#2、#3です。 少し補足します。 ばねという「力学的装置」を組み込んだので通常前提となっている熱力学的な過程(準静的過程)とうまく合わなくなってしまったと書きました。 熱エネルギーと力学的エネルギーを合わせたものは保存します。 平衡状態では運動は存在しないはずですから力学的エネルギーは熱エネルギーにすべて変わってしまっているはずです。この場合の力学的エネルギーというのは隔壁とばねが一体となって行う運動のエネルギーです。力学的エネルギーが近似的にしろ保存されているとするとばねは振動します。 左の部屋の体積が(3/2)V、右の部屋の体積が(1/2)Vから運動し始めると左の部屋の体積が(1/2)V,右の部屋の体積が(3/2)Vの近くまで行くということが予想されます。これによって左の部屋の中にあった温度の高い気体が右の部屋に押し出されて混ざることになります。次に隔壁が右に動くと温度の低い気体が左の部屋に入っていきますから温度が下がります。これを繰り返すことによって両方の部屋の温度が等しくなります。どれくらいの時間で温度が均一になるかはわかりませんが隔壁がピストンの役割をして大きく気体をかき混ぜるということがない限り均一な温度分布の実現というのはむつかしくなるでしょう。単に穴から温度の高い気体が噴き出すというだけでは温度の高い気体が残ってしまって温度差は解消してくれません。体積が大きく変わるような振動が起こればかきまぜ効果が大きくなりますから温度一定が実現しやすくなります。 平衡状態しか問題にしない場合はこういう途中の力学的な変化はブラックボックスの中に入ってしまっています。 それを一回の振動で平衡が実現しているはずだと考えてしまうと質問文の中に書かれているような矛盾が生じてしまうのです。 もともとはどのような問題だったのでしょうか。
補足
詳しい回答をありがとうございます。 もともとこの問題は、「ピストンに穴をあけた後、ピストンはゆっくりと移動して静止した。この時の左室の圧力を求めよ」という問題で、ある模試の問題です。そのまま載せるのは問題があると考えて、必要最小限の部分のみ抜き出し、質問した次第です。質問内容の不備をお詫びします。 それでもやはり、htms42様の仰ることによれば、ピストンは単振動を続けるということですから、「静止した」という問題の文言には疑念を抱かざるを得ませんね……。
- htms42
- ベストアンサー率47% (1120/2361)
#2です。 ミスがありました。 >ばねが縮むと気体粒子は左に動きます →「ばねが縮むと気体粒子は左から右に動きます」 申し訳ありません。
- htms42
- ベストアンサー率47% (1120/2361)
丁寧に考えていくとこの問題はものすごくむつかしいと思います。 ある平衡状態から別の平衡状態に移っていく途中が問題になっています。 最終的な平衡状態が実現しているか否かの判定がむつかしいのです。 高校の問題である限り問われているのは平衡状態のはずです。 そうであればtetra0様の書いておられる、温度も圧力も等しいところというのが最終的に実現する状態です。その時、体積はVになります。でも逆に体積がVになれば平衡状態であるかというと違うのです。そしてその部分についての考察があいまいになってしまうような問題設定になっています。 具体的に見ていきましょう。 2つの段階に分けます。一番初めでの温度、圧力をTo、Poとします。隔壁の面積をSとします。 (1)穴をあける前での平衡状態 左の部屋の温度、圧力をT1,P1、右の部屋の温度、圧力をT2、P2とします。粒子数はNで共通です。 (3/2)P1V=NRT1 (1/2)P2V=NRT2 3P1/P2=T1/T2 この時ばねが伸びていますからばねの張力Fが左向きに働いています。 つり合いの条件より、P1S=P2S+F です。 これよりP1>P2です。これはばねが伸びている限り成り立っています。 ※ヒーターでのエネルギー供給は気体の温度を上げることとばねを伸ばす時の仕事です(これには右の部屋の気体を断熱圧縮するときの仕事が含まれています。重力の影響はありませんが気体の圧力に逆らって隔壁を移動させるという仕事が必要になるのです)。このエネルギーはヒーターのスイッチを切った後保存されます。 ※T1>3T2が成り立っていますね。T2>ToですからToが常温だとするとT1は1000K付近であるということになります。容器が赤熱状態になる温度の近くです。ちょっと無理があるように思います。ばねはアウトになるかもしれません。 (2)穴をあけます。気体粒子の移動がおこります。 圧力、温度が変わります。T1’,P1’、T2’、P2’とします。 (それぞれの部屋の内部では平衡が成り立っているとします。これは保障されていません。穴の付近と穴から離れたところでは 温度、圧力が異なっているかもしれません。でもそうすると考えが先に進みませんので成り立っていると仮定します。) P1’>P2’が成り立っているとします。(これも確かではありません。左右の気体はつり合いの状態にあるとはいえないからです。ばねが縮むと気体粒子は左に動きます。これと圧力の高い方から低いほうに気体粒子が移動するというのが整合していますので成り立っているとしていいだろうということです。) 粒子の移動方向はP1’>P2’である限り左から右です。 したがって隔壁が元の位置に戻った時(この時初めてF=0になります)N1’<N2’です。 隔壁が右から左に移動して元の体積Vになったとしても平衡状態は実現していないのです。伸びたばねが自然長に戻ってからさらに縮むという可能性が出てきます。 摩擦があるということはどこにも書かれていません。 でも、どこかにばねの運動を止めるブレーキの役割をするものが必要です。狭い穴を通って気体が移動するときの摩擦、組織だった流れが消滅するときに起こる運動エネルギオーから熱への変化などが候補に挙がってきます。でも具体的にどういう道筋ですべての運動がなくなってしまうのかを追いかけることは無理でしょう。 熱力学的な関係を求めるときに前提となっているのは平衡状態に無限に近い状態をつなぎ合わせた変化を考えるということです。準静的過程といいます。(1)の変化は準静的過程で実現していると考えています。ところが(2)の変化はばねという力学的な装置を組み込んでしまったので準静的過程とうまく合わなくなっています。 一番最後は考えることができても途中は無理だろうということになります。 ここまで考えました。 おかしなところがあるかもしれません。
- sa10no
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穴を開けた直後は気体は左室から右室へ移動するでしょうがバネも縮むので時間が経てば右室から左室への移動もあります。
補足
回答ありがとうございます。しかし、左室と右室の圧力が等しくなるまでは常に左室の圧力の方が高くなる、すなわち気体分子は左室から右室へという向きでしか移動しないのではないかと思うのですが……。
お礼
つまりは「温度平衡と圧力平衡が同時に実現している」と考えている時点で私は間違っていたのですね。勉強になりました。 ちなみに断熱圧縮の式、今回は単原子分子からなる気体ですから、PV^(5/3)は常に一定、という式は問題文中で与えられていますので、解くことは可能です。 何度も伺ってすいませんでした、ありがとうございました。