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穂村弘さんの歌の解説をお願いします
ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は の、解説をお願いします。 短歌を詠むセンスが無いのか、意味が全然分かりません。 よろしくお願いします。
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noname#227653
回答No.1
まず状況を想像してみますね。 「おれ」が冷蔵庫を開けて何か食品を取り出そうとした(あるいはしまおうとした)とき、庫内にあった何かを見たことがきっかけであることを思い出して急に泣けてしまい、その涙が卵置き場に落ちた。それがあまりに唐突だったので自分でもなぜ急に泣いてしまったかがわからず、落ちた涙が自分のもののように思えない。 こんなところでしょうか。 冷蔵庫の前で泣いているというのは不思議な光景ですよね。「なんでそんなところで泣いてるんだろう」ということになりますが、理由はもちろんわかりません。しかし考えてみると、他の人にはわからないちょっとしたことから悲しい記憶がよみがえってきて泣いてしまう、ということは誰にでもあり得るわけです。冷蔵庫の中のトマトケチャップを見て、死んだ恋人とのちょっとしたできごとを思い出してしまったとか。だから、扉があいたままの冷蔵庫の前で泣いている「おれ」の姿に対して、意表を突かれながらも共感する、というところがこの短歌の味わいではないでしょうか。 また、泣いている「おれ」が自分のしていることに対して驚いているところも穂村弘らしくておもしろいですね。「ほんとうにおれのもんかよ」という口語表現が、こんなところで泣いてしまうほど悲しい気持ちでいるにも関わらず軽妙です。 そして最後の部分が「なれや知る都は野辺の夕雲雀あがるを見ても落つる涙は」という有名な昔の和歌を思い出させるので、軽妙な口語表現と古典のイメージが並んでいるところも面白いと思います。 こんなところでいかがでしょうか。
お礼
分かりやすい解説を、ありがとうございました!