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資本集約度の低下について

ソローの資本蓄積について 「人口は毎年nの率で成長し、さらに毎年gの率で労働増加的な技術進歩が起きる。さらに資本は毎年dの割合で減耗するとすると、毎年(n+g+d)kの臨界的投資が行われなければ労働者一単位辺り資本は減少する…(k:労働一単位辺り資本)」 とありますが、労働増加的な技術進歩による資本集約度の低下というものが数式としては理解できても、現実的にはどのような事象として観察されるかが想像できません。 どなたか現実ではこういうことだと具体例を提示していただけないでしょうか。 お願いします。

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回答No.3

>おそらく定常状態の資本集約度の水準に至るまで資本蓄積が行われる(資本集約度が定常状態水準を超える形の場合は資本浅化が起きる)ことになりそうと思います。ソローモデルではgもdも外生ですので、定常状態に至るように資本集約度が修正されるだけでは…と思います。 ソロー経済というのは、貯蓄がそのまま資本蓄積となる経済なので、長期成長均衡(n=0の人口一定を仮定する)にあった経済で、今期の投資が(g+d)Kに満たないことが起こるとすれば、貯蓄率はそのままで、投資だけが(g+d)Kに満たなくなるということが起こることは考えにくい(その場合どうなるか誰にもわからない!)。そうしたことが起こるとすれば貯蓄率sに負のショックがあって、貯蓄率が低下する(sからs'へ低下する)ことが考えられる。そうした場合には今期の投資は長期均衡経路から逸脱し、次期の(効率単位で測った)資本集約度が減少し、(より低い貯蓄率s'と整合的な)新たな定常状態(より低い効率単位で測った資本集約度)へ向かって収束していく、というのは確かにあなたのご指摘の通りでしょう。 >質問内容は「ハロッド中立的な技術進歩により有効労働一単位当たり資本が減る」というものが現実におけるどのような現象を説明しいるのかということです。よろしければ、こちらをお答えいただけないでしょうか? 技術進歩というのは、生産関数が上方にシフトし、同一の資本と労働のインプットのもとでもより多くの財のアウトプットが生産できるようになる、ことですね。つまり、技術進歩のある経済の生産関数は一般に       Y(t) = F(K(t),L(t), E(t)) と書ける。いま、技術進歩が特殊の形をとり   Y(t) = F(K(t), E(t)L(t)) と書けるとき、技術進歩がハロッド中立的あるいは労働増大的であると言います。技術進歩がこのような形をとるとき、たとえ資本K(t)と労働L(t)がKとLの値に一定にとどまっても、 あたかも労働だけがE(t)Lのように増えていくかのようににアウトプットY(t)は    Y(t) = F(K, E(t)L)  と増大していく。こういう技術進歩の具体例としてどのようなものがあるのか、現実の技術進歩は労働増大的な場合が支配的なのか?(あるいは労働増大的技術進歩で近似できるのか?)と問われると、あくまでも理論上の概念であるとしか言いようがないのではないでしょうか?言えることは、技術進歩が労働増大的でないと、steady-state均衡は存在しない、技術進歩のある経済にsteady-state経路が存在するとすれば、技術進歩は労働増大的でなければならない、ということでしょう。したがって、効率単位で測った労働集約度という概念も、技術進歩が労働増大的であるとき、K(t)/E(t)L(t) = k(t)/E(t)を用いると、技術進歩がないの場合の労働集約度k(t)とまったく同じように議論することができるという意味で、あくまでも理論上便利な概念であるというにすぎません。この概念は、技術進歩が労働増大的でないと、ほとんど意味がない概念です。たとえば、 技術進歩が労働所得にあたえる影響をはじめて分析したのはヒックスですが、ヒックスは技術進歩が労働節約的なのか、資本的節約的なのかを分析するために、後年ヒックス中立的技術進歩と呼ばれる概念を導入しましたが、数式的には   Y(t) = E(t)F(K(t), L(t)) と書けますが、ヒックス中立的技術進歩が起きている経済では、効率単位で測った労働集約度K(t)/E(t)L(t)という概念が有用な概念でないことはあきらかでしょう。     

moguraduka
質問者

お礼

7ヶ月も間が空いてしまいましたが(OKwaveを利用していることすら忘れていました…。申し訳ありません。)、ご回答ありがとうございます。 私も自分で調べましたが、ソロー中立であったりハロッド中立といったものは確かに、技術進歩のタイプを概念的に識別するもののようですね。 説明が解りやすく、抱いていた疑問に対する答えとして、 納得感も得られました。 文句なしにベストアンサーです。 ありがとうございます。

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その他の回答 (2)

回答No.2

No1への追記です。 >「人口は毎年nの率で成長し、さらに毎年gの率で労働増加的な技術進歩が起きる。さらに資本は毎年dの割合で減耗するとすると、毎年(n+g+d)kの臨界的投資が行われなければ労働者一単位辺り資本は減少する…(k:労働一単位辺り資本)」 というところで、もしかしたら、「労働者1単位当たり資本は減少する」というのは「労働効率単位あたり資本は減少する」の間違いでしょうか? 労働増大的技術進歩(ハロッド中立的技術進歩ともいう)が進行しているときの生産関数は   Y(t) = F(K(t), E(t)L(t)) と書くことができます。ここで、E(t) = (1+g)^tである。(労働者)一人あたり資本(資本集約度)=K(t)/L(t)=k(t)ですが、効率単位あたり資本(効率単位で測った資本集約度)=K(t)/E(t)L(t)=k(t)/E(t)となります。労働増大的技術進歩がある経済では通常の資本集約度(一人当たり資本)より、効率単位で測った資本集約度のほうが便利な概念です。人口一定(n=0)のソロー経済の長期的成長経路(steady-state経路 )では、Y(t)、K(t)、k(t)はgの率で成長していますが、効率単位で測ったGDP=Y(t)/E(t)L(t),効率単位で測った資本集約度k(t)/E(t)は一定にとどまります。このsteady-stateでは、投資は毎期(g+d)K(t)で行われている。いま、何らかの理由で、今期の投資I(t)が、dK(t) < I(t) <(g+d)K(t)の投資しか行われないのなら、来期の、「通常の意味」の資本集約度は上昇するけれど、「効率単位で測った」資本集約度は下落し、長期均衡経路から逸脱することになります。

moguraduka
質問者

お礼

僕の間抜けな書き間違いを指摘していただきありがとうございます。確かに、正しくは「有効労働一単位の資本集約度」です。 ただ、書き間違いこそしましたが自分は長期均衡経路からの逸脱が起きることの数式的な意味は理解できておりまして、質問内容は「ハロッド中立的な技術進歩により有効労働一単位当たり資本が減る」というものが現実におけるどのような現象を説明しいるのかということです。よろしければ、こちらをお答えいただけないでしょうか、お願いします!

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回答No.1

>「人口は毎年nの率で成長し、さらに毎年gの率で労働増加的な技術進歩が起きる。さらに資本は毎年dの割合で減耗するとすると、毎年(n+g+d)kの臨界的投資が行われなければ労働者一単位辺り資本は減少する…(k:労働一単位辺り資本)」 このステートメントどこからとってきました?必ずしも正しいステートメントとはいえませんね。人口増加はあまり関係ないので、n=0の経済(人口一定の経済)を考えましょう。いま、この経済が長期的成長経路(steady-state path)上にあるとしましょう。この経路上ではY(アウトプット)も、K(資本ストック)も、k(一人当たり資本あるいは資本集約度)も、一定率gで成長しています。いま、当期も(g+d)Kの投資が行われるなら、steady-state path上にあり、資本ストックも資本集約度もgで成長することになります。しかし、いま仮に、たとえば、dKしか投資が行われないなら、期首の資本ストックKと一人当たり資本kが維持されるだけで、長期成長経路から外れることになります。この後、不均衡にある経済がどうなるかは、誰にもわかりません。(不均衡において各主体がどういう行動をとるかの仮定に依存しますが、通常のソローモデルでは均衡状態においてどうなるかしか記述されていないので、わかりません。)しかし、当期に関する限り、(d+g)K以下の投資しか行われないなら、一人当たり資本(資本集約度)が減少するというのは正しくありません。dK < I <(d+g)Kの投資Iが行われるなら、一人当たり資本は上昇します。dK未満の投資しか行われないとき、そのときにかぎり資本ストックは減少し、資本集約度が低下するのです。

moguraduka
質問者

お礼

回答ありがとうございます。二つに分かれているので僕も二つにお礼を分けます。 >このステートメントどこからとってきました?必ずしも正しいステートメントとはいえませんね。 マンキューのマクロ経済学応用編です。第3版です。 >この後、不均衡にある経済がどうなるかは、誰にもわかりません。 おそらく定常状態の資本集約度の水準に至るまで資本蓄積が行われる(資本集約度が定常状態水準を超える形の場合は資本浅化が起きる)ことになりそうと思います。ソローモデルではgもdも外生ですので、定常状態に至るように資本集約度が修正されるだけでは…と思います。 >しかし、当期に関する限り、(d+g)K以下の投資しか行われないなら、一人当たり資本(資本集約度)が減少するというのは正しくありません。dK < I <(d+g)Kの投資Iが行われるなら、一人当たり資本は上昇します。dK未満の投資しか行われないとき、そのときにかぎり資本ストックは減少し、資本集約度が低下するのです。 理解できました、ありがとうございます。 そして補足で指摘されているように、有効労働一単位当たりの資本集約度が正しい文面でした、すいません…。

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