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摂動の問題について
調和振動子に関して摂動項λx^3を加えると、|<m|H'|n>|^2を計算する場合、m=n+3, n+1, n-1, n-3のみ考えれば二次のエネルギー補正項が求められるようなのですが、mがこの4つに限られる理由はなんでしょうか。また、摂動項が奇関数だと一次の補正項が0になるのはなぜでしょうか。どなたか回答お願いします。
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<準備> 量子力学の教科書に載っている通り,調和振動子を生成消滅演算子 a,a†を使ってときましょう.ディラック定数(エイチバー)を h として,a と a† を a=√(mω/(2h))*(x+ip/(mω)) a†=√(mω/(2h))*(x-ip/(mω)) と定義します.すると,非摂動ハミルトニアンをH_0として,H_0,x,pは H_0=p^2/2m+mω^2x^2/2=hω( ((a†)a+1/2 ) x=√(h/(2mω))*(a+a†) p=-i√(mhω/2)*(a-a†) と表せます. 摂動 H’は λx^3 に上の x の式を代入したものです.具体的な形は複雑になるので示しませんが,ざっくり言うと H’は aaa,aa(a†),a(a†)a,(a†)aa,a(a†)(a†), (a†)a(a†),(a†)(a†)a,(a†)(a†)(a†) に比例する項からなります. |n>に生成消滅演算子を作用させると, a|n>=√n|n-1> (a†)|n>=√(n+1)|n+1> となります. これより,H’|n>は次の4項から構成されていることがわかります. |n-3>,|n-1>,|n+1>,|n+3> (例えば,aaa|n>からは|n-3>,a(a†)a|n>からは|n-1>が作られます.) 重要なのは,異なるベクトル|n>,|m>(n≠m)は互いに直交し, <n|n>=1 <m|n>=0 (m≠n) という直交関係を満たすことです. <1次摂動> まずエネルギー1次摂動部分E1を計算しましょう.E1は E1=<n|H’|n> で表されます.H’|n>は先に述べたように,|n-3>,|n-1>,|n+1>,|n+3>の項を生み出します.これに受け皿である<n|を作用させるのですが,直交関係により,すべて0になります. この結果からほとんど察しがつくと思いますが,H’が x の奇数乗からなっている場合には,H’|n>は …,|n-3>,|n-1>,|n+1>,|n+3>,… に比例する項からなり,受け皿である<n|を作用させると,直交関係によりすべて0になります.一方で,H’が x の偶数乗からなっている場合には, …,|n-2>,|n>,|n+2>,… に比例する項からなり,受け皿である<n|を作用させると,直交関係により|n>に比例する項のみが≠0となります.これが摂動項が奇関数だと一次の補正項が0になる理由です. <2次摂動> 2次摂動では、|<m|H'|n>|^2を計算する必要があります.何回も述べているように,H'|n>から|n-3>,|n-1>,|n+1>,|n+3>が作られます.受け皿である<m|を作用して≠0となるのは,直交関係より,<n-3|,<n-1|,<n+1|,<n+3|の項なので, m=n-3,n-1,n+1,n+3 です.従って,mがこの4つの値を取る場合のみを計算すれば十分というわけです.
お礼
大変わかりやすい回答ありがとうございました。。