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摂動論
量子力学の摂動において、二次のエネルギーの摂動項の計算に、もとのエネルギー固有状態以外の状態が現れてきます。これは数学的には、エネルギー固有状態が完全系をなすのでわかるのですが、この物理的意味はどう解釈したらよいのでしょうか。非常に基本的なことなのですが、はじめのエネルギー固有状態以外の、エネルギー固有状態の影響がどうして現れるのかがいまいちわかりません。
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摂動がかかったときの基底状態には、元の基底状態に別の状態が混じり込んでいます。 摂動論では、この別の状態として、摂動前における励起状態を用います。 (極端な話、水素原子の電子に何らかの摂動がかかった場合、基底状態に混じり込む『別の状態』として調和振動子の波動関数を選んでもいいと思います。でも、それだと近似解が求められないので、摂動前における励起状態を用いるのだと思います。) したがって、基底状態における2次の摂動エネルギーを計算すると、その混じり込みの効果として励起状態が現れます。
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- leo-ultra
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量子力学によると、エネルギーと時間の間にも不確定性があります。 基底状態にある系においても、すごく短い時間だったら、励起状態に その摂動項ハミルトニアンを介して、勝手に励起していいのです。 つまり短い時間の間であれば、エネルギー保存則を破って、 いろいろな高いエネルギー状態を取れるということです。 そういうことが起こるので基底状態自体のエネルギーや波動関数がちっと変わるというのが、摂動です。
お礼
解答ありがとうございます。時間とエネルギーの不確定性を使えば、励起状態になることもあるとのことですが、納得しました。少しイメージがつかめた気がします。
- phosphole
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原子や分子の軌道を計算する場合ですが、一電子近似で解いた軌道を出発点に、電子相関を取り入れた軌道を計算していきます。この際、励起状態にあたる、本来なら電子が入っていないはずの軌道を取り入れたりします。電子反発の効果で、電子がより広がった空間を運動するのを表現するために、分布の広い高エネルギー軌道を混ぜるということです。 また、NMRなどの計算では、磁場中に分子がおかれたことで電子が励起されます。これを表現するため、やはり励起状態の軌道が取り入れられます。 問題とされている系によってその意味は様々でしょうが、出発点とされた近似解と、現実との差を考えると、摂動で取り入れた効果について何かつかめると思います。
お礼
解答ありがとうございます。分子軌道の計算などにも、同じように高次の項で計算するのですね。
お礼
解答ありがとうございます。そもそも摂動項を取り入れた場合はもとのハミルトニアンの固有関数ではなく、補正を受けるので、その補正をほかの固有状態で表現しているのですね。