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日本語の化合物名を英訳する時の単語間のスペース
例えばメチルエチルケトンはmethyl ethyl ketone、メチルアセトフェノンはmethylacetophenoneと辞書で訳されています。前者には単語間にスペースが有り、後者には有りません。同一の基(methyl)の後、或いは同一の語尾(-one)を持つ基本化合物の前にスペースが必要か否かを簡単に判断する方法(例えば構造から或いは一般化合物か否かから等)があればお教え下さい。
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- 無 鉄砲(@without-a-gun)
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これは、英語カテゴリーの問題ではないです。 大雑把にいえば、日本語の有機化合物名は、IUPACの有機化合物の命名法の基本である置換命名法か、それよりも慣用的で比較的簡単な構造の有機化合物に用いられる官能種類命名法(旧呼称:基官能命名法)のいずれかの命名法に従っていると思えば、だいたいOKです。 大雑把にいえば、置換命名法では名称にスペースを入れず、官能種類命名法では名称にスペースを入れます。 大雑把にいえば、メチルアセトフェノンは前者の命名法、メチルエチルケトンは後者の命名法によっています。 ですから、大雑把にいえば、日本語の有機化合物名を英語にする場合、どちらの命名法による名称なのかを見極めれば、スペースを入れるべきかどうかが決まります。 本格的に見極めるためには、置換命名法で使われる母体(主鎖)・接頭語・接尾語の一覧を覚え、許されている慣用名の一覧を覚える必要があります。 もっと安直に見極めたいならば、官能種類命名法で使う「種類(class)」の一覧を覚えれば良いとも思うのですが、困ったことに、官能種類命名法で使う「種類」と置換命名法で使う接尾語が同じ言葉である場合があります。 そこで、もっぱら官能種類命名法の「種類」でしか使わない用語、これが有機化合物の日本語の名称に入っていたら英語にするときに基本的にスペースを入れるべきという用語の例を以下に挙げておきます。 http://homepage1.nifty.com/nomenclator/text/f_class.htmが参考になります。 ・日本語名称中の「=」は、英語では(普通は)スペースにする ・無水 ~スペースanhydride ・化合物の名称の最後がエステルで終わっている ~スペースester ・化合物の名称の最後がオキシムで終わっている ~スペースoxime ・化合物の名称の最後がアセタールで終わっている ~スペースacetal ・化合物の名称の最後がアルコールで終わっている ~スペースalcohol ・化合物の名称の最後がケトンで終わっている ~スペースketone ・化合物の名称の最後がペルオキシド(IUPAC式)、パーオキサイド(英語式)で終わっている ~スペースperoxide ・化合物の名称の最後がクロリド(IUPAC式)、クロライド(英語式)、ブロミド(IUPAC式)、ブロマイド(英語式)、フロリド(IUPAC式)、フロライド(英語式)などで終わっている ~スペースchlorideなど 以上の例で、「~」の部分の名称の意味の区切りの全てにスペースを入れるかどうかは、実は、残念ながら、その化合物の構造によってケースバイケースです。 【以下、御興味あれば、お読みください。】 本格的に見極めるためには、IUPACの有機化合物の命名法について勉強する必要があります。 まずは、以下のサイトが良いと思います。 http://ja.wikipedia.org/wiki/IUPAC%E5%91%BD%E5%90%8D%E6%B3%95 http://homepage1.nifty.com/nomenclator/menu.htm さらに、以下の資料も読みやすいです。以下、「上記資料」と参照します。 http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/yuki/web/yuki-kagou/meimei.pdf IUPACの有機化合物の命名法の基本になる(優先して使用される)のは、置換命名法(ちかんめいめいほう、substitutive nomenclature)に基づく体系的名称です。 母体(主鎖)の水素を置換した特性基のうち、主なもの(主基)を接尾語として、主でないものを接頭語として、母体の名称に連結します。ですから、基本的には、化合物名にスペースが入りません。 メチルアセトフェノン methylacetophenoneは、この命名法に基づいていると考えられます。 つまり、主でない特性基を示す接頭語methyl+母体と主な特性基を示す接尾語を結合したものの慣用名acetophenoneという考え方です。 上記の資料の21ページにあるように、acetophenoneはIUPACで使用が許されている慣用名であり、置換命名法による本来の体系的名称は1-フェニルエタノン 1-phenylethanoneになります。 一方、上記の資料の15~16ページにあるように、メチルエチルケトン methyl ethyl ketoneは、官能種類命名法(かんのうしゅるい命名法、Functional class nomenclature)(旧呼称:基官能命名法、きかんのうめいめいほう、radicofunctional nomenclature)による名称に近いです。 「近い」というのは、正式にはABC順に並べるのでethyl methyl ketoneになるという意味です。この化合物は、置換命名法では、2-ブタノン 2-butanoneになります。 基官能命名法については、「この方法では主基を示す接尾語を用いず,官能種類名を表す用語を用いる.英語では独立した単語になるので,化合物名が2 単語以上で表されることになる.」と説明されています。
お礼
懇切丁寧にご回答下さって有り難うございました。私も一応化合物命名法という本は読んだり、解説サイトは見たりしたのですが、質問の内容に関する箇所は読み流したせいか頭に入ってきませんでした。質問に沿う箇所だけを分かり易く説明下さり、特に「基官能命名法では化合物名が2 単語以上で表される」という事と、「原則的にはester、oxime、acetal、alcohol、ketone、peroxide、chloride、bromide、fluorideの前はスペースを入れる」という事が凄く役立ちます。また有用なサイトもご紹介下さって本当に有り難うございました。