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幇助罪の適用範囲について
- 幇助罪についての構成要件が不明瞭で理解できない
- 幇助罪の範囲が恣意的な解釈を許容する可能性がある
- 幇助罪の適用についての議論例として熊本の赤ちゃんポストのケースが挙げられる
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できるだけ分かりやすく書くつもりですが、分かりにくいところがあれば補足願えれば幸いです。 さて、本筋に入る前に軽く訂正だけしておきます(本筋とはあまり関係ありませんが念のため)。 217条の単純遺棄罪は、犯罪を行う主体として218条のような限定をしておりませんから、保護義務者という身分は不要であるというNO.2のご指摘は正しいものです。もっとも、218条における保護責任者は確かに「遺棄」については217条の加減的身分とはなりますが、218条は217条に含まれない「不保護」についても処罰しておりますので、この点については構成的身分(65条1項)となります。 よって、218条の保護責任者について、留保をつけずに加減的身分犯であるとのみ説明するのは不適切です。混乱を招く虞がありますので、一応指摘しておきます。 本題ですが、同施設の赤ちゃんポスト設置が、遺棄罪の幇助に当たるかと言うことに関して、私個人の意見としては当たらないと考えます。 遺棄罪の幇助犯というのは、いわゆる修正された構成要件により、「老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄する行為を幇助した者」が処罰されることになります。 赤ちゃんポストに遺棄される者は典型的には「幼年のために扶助を必要とする者」に該当します。では、遺棄する行為を幇助したといえるか。幇助行為とは、既に犯罪を犯すことを決意しているものに対して、物理的あるいは精神的に犯罪を行うことを容易にすること、犯罪を犯す決意をより強固なものにすることをいいます。 赤ちゃんポストは、確かに「ポストのある場所に遺棄する」という遺棄の場所に関して因果的影響力を有していますが、遺棄罪を犯すと言う犯意については、因果的影響力を及ぼしていない、犯意を弱めてはいないものの、強めてもいない、すなわち、幇助行為に当たらない、との主張がありうるかもしれません。 ただ、個人的にはやや苦しいかなという印象ですが。 仮に客観的幇助行為が認められるとしても、正犯の故意と同様、幇助の意思があることが成立に必要となります。これは、正犯を幇助する意思であり、正犯の実行行為及び結果を認識すると共に、自己の幇助行為が正犯の実行を容易にするものであることを認識することです。 一つの主張としては、施設側は、赤ちゃんの生命・身体の安全を確保する意思であり、遺棄行為を容易にする意思ではないため、幇助の意思が欠けるというものが考えられます。また、施設側は、特定の正犯者を認識しておらず、抽象的に「誰か」を幇助する意思というものを考えるしかありませんが、このように正犯を全く特定せずに幇助意思を認めることはできず、幇助意思が欠ける、との主張も考えられます。 個人的には、幇助意思の方で犯罪の成立を否定するかな、という感じです。
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- 森 蔵(@morizou02)
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>遺棄罪などの主体は、保護義務がある人に限定 これはひどい。そのような限定はない。刑法217条という条文を一度読んでほしい。話はそこからじゃ。 なお、218条は加減的身分犯(65条2項) >正犯 確かに、赤ちゃんポストを設置者が、「正犯」になりえないのはそのとおりじゃろう。 それは、「保護者」の身分を有しないからという話ではなく、もっと端的に、赤ちゃんかポスト設置は、217条の「遺棄(移置)した」とはいえぬからである。 ただ、「正犯」が、共同正犯(60条)のことをいうのなら、それは考えられる。 しかし、60条が成立するには、赤ちゃんポスト設置者と遺棄者が、互いに両者が意思疎通しあって、「共同して実行」したといえなければならないのであり、そんなことは現実にあるはずがないから観念しにくい。 >幇助 幇助犯は、確かにありえなくはない。 幇助犯は、共同正犯と異なり、正犯が幇助犯の存在を認識していなくても、幇助犯の幇助意思と幇助行為があれば成立する。いわゆる片面的共犯も含むと判例通説上いわれているからじゃ。 しかし、「幇助意思」とは、一般的抽象的な「幇助意思」であってはならない。具体的な犯罪に対する「幇助意思」でなくてはならない。 たとえば、ホームセンターのバイトA君が「このナイフで誰か犯罪を犯すかもしれない。犯してくれたら楽しいなあ~」と思って、バイトをしていたところ、たまたま通り魔殺人をしようとナイフを購入してきた加藤智大がその店でナイフを買った。そして秋葉原事件を実行した。 この場合、A君には、「犯してくれたら楽しいなあ~」と思ってたとしても、一般的抽象的な「幇助意思」しかないから、幇助罪の故意がなく犯罪は成立しないと解するべきじゃろう(なお、過失幇助は通説判例上、完全否定)。 逆に、加藤智大がこれから具体的な犯罪として通り魔事件をやると認識しながら、ナイフを売れば、幇助の故意があり、A君には幇助罪が成立する。 さて、赤ちゃんポストの例にもどるが、あれの是非はともかく、遺棄の場所を提供しているのだから、幇助行為といえる。 しかし、設置者には一般的抽象的な幇助意思しかないのじゃから、幇助の故意に欠ける。すなわち、幇助不成立となろう。 もちろん、これから遺棄をなそうとする者の目の前で、あえてそれを知りつつ、赤ちゃんポストを用意する場合は、具体的な幇助の意思があるといえる。 なお、インチキ刑法学者の戯言は無視していい。法学者のほとんどは司法試験落ちまくりの、基本的に並みの刑事弁護士以下の馬鹿がほとんどじゃよ。 >正当行為 No1がいっとるが、判例・行為無価値論上の通説では、正当行為といえるには、社会相当性があることが必要である。(西山記者事件) 赤ちゃんポストは、明らかに公序良俗に反する行為であり、社会相当性はないといえると思う。判例も同じことをいうじゃろう。菊田医師事件を参照にしてほしい。 判例は、こういった生命倫理に反する行為は、たとえ緊急避難的に行われたものであっても、違法性を阻却しないとするじゃろう。目に見えている。そもそも35条の射程はそんなに広くない。 ワシが弁護するなら、こんな無駄な主張はしないで、故意を争う。
お礼
おつ
- hekiyu
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施設が (正確には施設の管理者など) は幇助の構成要件に該当する行為をしている、と言える かもしれません。 しかし、その場合でも、施設は善意でやって いるのですから、刑法35条の正当行為に該当 し、違法性が阻却され、犯罪が成立しない 場合がある、と考えられます。 ”同施設に関しては、正犯としての嫌疑もありえるとは思いますが” ↑ これは無いでしょう。 遺棄罪などの主体は、保護義務がある人に限定 されています。 つまり身分犯ですから、施設が正犯になることは できないと思われます。
お礼
とりあえず、小生の理解と大差ないことだけ理解できました ありがとうです
お礼
大変簡易かつ浅学な小生に理解しやすいように説明された回答だと思います。 小生の理解深度に問題があるかもしれませんが、納得しえる回答で、大変助かりました ありがとうございました
補足
大変解り易い説明でした。特に後半・・・ 小生個人も「「正犯を特定せずに」という箇所から幇助に適応しえない、と思います 同時に、構成要件から思慮しても 指摘にある『遺棄罪を犯すと言う犯意については、因果的影響力を及ぼしていない、犯意を弱めてはいないものの、強めてもいない、すなわち、幇助行為に当たらない』には説得力と論理的妥当性を強く感じます 正直、これ以上の回答はないと思うのですが、小生の至らない部分を想起するに、回答は募集中にさせていただきます