誤りを恐れずに簡単に行ってしまうと、
構成要件とは、「犯罪の型(類型)」のことです。
「犯罪のパターン」、「犯罪の枠」と言う方が分かりやすいでしょうか。
この構成要件は、基本的には条文から決まります。
殺人罪でいえば、「人を殺すこと(行為)」であり、
窃盗罪でいえば、「他人の財物を窃取すること(行為」です。
そして、構成要件要素とは、構成要件に当てはまるといえるために必要な要件のことです。
構成要件要素は、構成要件をさらに分析して導きだします。
殺人罪でいえば、
1. 「人を」
2. 「殺す」
が要素が構成要件要素です。
そんなの当たり前のような気がしますが、
1. 「人を」
の「人」とは何かが問題になったり(死体は「人」か?とか、胎児は「人」か?など)、
2 「殺す」
とはどういうことかが問題になったり(脳死に至らしめたら「殺し」たことになるのか?など)、
と、いろいろな問題を考える前提になりますし、ある行為が「人を殺す」行為にあたるかどうかを考える手がかりになります。
窃盗罪でいえば、
1. 「他人の財物」(泥棒が盗んできたものは「その泥棒の財物」か?とかが問題)
2. 「財物」(ゴミなどの価値のないものも「財物」か?などが問題)
3. 「摂取する」
などが構成要件要素です。
構成要件要素を全て満たすと、構成要件に当てはまったといえるのです。
客観的構成要件とは、構成要件のうちの客観的なものですね。
殺人罪なら1.「人を」, 2.「殺す」
窃盗罪なら1.「他人の財物」, 2.「財物」 3 .「窃取する」
なんかがそうです。
主観的構成要件とは、構成要件のうちの行為者の主観面に関するものです。
全ての犯罪に共通するものとして、
「故意」とか「過失」がそうです。
そのほかに、ある犯罪に特有の主観的構成要件があったりします。
たとえば通貨偽造罪の「行使の目的で」などがそうです。
以上に述べたのは標準的と思われる説明ですけど、構成要件論は中世から様々な考え方が出されてきたところであり、いまだに決着がついてないところです。
構成要件論は刑法の最初の方に出てきて基礎的なことといえるかもしれませんが、とても難解で、学者によって意見が鋭く対立するところです。
基礎的であるからといって簡単と言うわけではありません。ですからそんなに心配する必要はないと思います。ここでそれほど悩まずに先に進んでしまって、あとでまた戻ってきて考えても全然かまわないと思いますし、そのほうがわかりやすいと思いますよ。
お礼
ご回答頂きどうもありがとうございます。あまりに基礎的過ぎて、刑法を学ばれた方には相手にされないのではと思っておりましたが、希望通り詳細且つ具体的にご教授頂き大変感謝しております。 ところで、 >殺人罪でいえば、「人を殺すこと(行為)」であり、窃盗罪でいえば、「他人の財物を窃取すること(行為」です。 強盗罪の場合(構成要件)は「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取する」となるのでしょうか? あと、 要素とは「物・事を成り立たせるもととなっているもの」 つまり、構成要件要素とは構成要件を成り立たせているものですよね。(構成要件要素が集まって、構成要件が出来ている。ハズ…) 読んだ本では、構成要件要素には「行為」「結果」「因果関係」「主体」「客体」「行為の状況」等があると記述してあり、そうだとすれば構成要件は上記のもの(要素)でなりたっている事になると思います。 しかし、構成要件、例えば窃盗罪「他人の財物を窃取すること」、殺人罪「人を殺すこと」を見てみてもイマイチ良く分かりません。 「行為」や「客体」については何となく分かります。窃盗罪では「他人の財物を窃取すること」が「行為」、「他人の財物」が「客体」であろうと…。 しかし、「結果」や「因果関係」、「行為の状況?」なんて要素どこにあるんだろうと???と思います。たぶん、私の考え方に問題があるんだと思いますが… 最後にあと一点、実行行為についてなのですが、読んだ本では「実行行為とは、構成要件に該当する行為」とありました。 とすれば、上記(強盗罪)の実行行為と言うのは、そのまんま「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取する行為」なのでしょうか?(殺人罪なら「人を殺す行為?」) また、「実行行為性がある」とはイコール「構成要件に該当する」という意味なのですか?よく(~なので、殺人罪の実行行為性が認められる。)等と「実行行為性」という言葉が出てくるので。 ちょっと追加質問するつもりが、また膨大になってしまい申し訳ありません。(考えるほどに疑問が出てくるので…) お暇なときに、一部でもお答え頂ければ幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。