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エネルギー等分配の法則、自由度・温度との関係
エネルギー等分配の法則によってエネルギーは各自由度に等分配されるそうですが、その分配されたエネルギーが温度を表すのは何故なのでしょうか?温度はどうしてエネルギーを全自由度で割った一自由度あたりのエネルギーなのでしょうか?
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>お湯と温度計の各自由度に分け隔てなく等しくエネルギーが分配されようとするとする、と考えて良いのでしょうか? 古典論で記述できる限りそのように考えて良いでしょう。(通常のお湯と温度計は古典論で記述できるはず) ただ、等しくエネルギーが分配されるのはあくまでも運動エネルギーだけであって、ポテンシャルにいくらのエネルギーが分配されるかは教えてくれません。 液体の場合には粒子間の相互作用が無視できませんので、お湯の比熱や内部エネルギーとかを考える際にはポテンシャルの寄与も考慮しないと正しい結果が得られないはずです。
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- eatern27
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>お湯と温度計とを包括してエネルギー等分配則が働くと考えても良いのでしょうか? 「エネルギー等分配則が働く」とはどういう意味でしょうか? お湯の中の自由度にも温度計の中にも自由度にも等しくエネルギーが分配されるのか、という意味であれば 古典論で記述できる系・熱平衡状態を考えている限りそのようになると考えて差し支えないでしょう。
お礼
有難うございました。
補足
ご回答有難うございます。言葉が足りなくてすみません。マクロに見たお湯と温度計の「熱平衡」の状態をエネルギー等分配則で説明しようとする場合、お湯の分子の各自由度と温度計の分子の各自由度とを併せて「全自由度」と考えて、お湯と温度計の各自由度に分け隔てなく等しくエネルギーが分配されようとするとする、と考えて良いのでしょうか?…という意味で補足質問させて頂きました。
- htms42
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>でもそうやって計算した温度が、私たちが測ったり感じたりする日常の温度に対応するのは何故なのか、其処が良くわかりません。 温度を計算で求めているのではありません。 比熱の測定から出発しているのですから 温度は「日常の温度」です。 全ての自由度に同等にエネルギーが配分されているというわけでもありません。 二原子分子の場合で言えば振動のモードにどの程度エネルギーが配分されているかは温度によって変わります。 各自由度に同等にエネルギーが配分されるということが成り立っていなくても自由度ごとに配分先が決まるという考え方は有効なのです。 振動のモードのエネルギー準位は分光学的な測定で知ることができます。 その準位への配分の比率はexp(-E/RT)のファクターできまります。 ここに出てくる温度も「日常の温度」です。 温度はエネルギーではありません。エネルギーの分布を決めている量です。 エネルギーの平均値の表現の中には温度が含まれてきます。 不連続なエネルギー準位という考え方は量子力学的なものです。 比熱という熱力学的な測定はあまり高温では行いませんので比較的準位の低いような分子でしか振動のモードの影響は出てきません。
お礼
有難うございました。
補足
有難うございます。前半はたぶんわかったと思います。でも後半の「温度はエネルギーの分布を決めている量」が理解できませんでした。各自由度へのエネルギーの配分比を温度が決定している、という意味でしょうか?エネルギーの各自由度への配分比こそが温度である、という意味なのでしょうか? 比熱は確かに日常のマクロの世界のものだと思います。比熱が「与えたエネルギーと温度との関係」を決めている、その比熱が自由度と関係している、という所までわかりました。しかし例えば「未知の比熱を持ったA,B二つの物体の温度が同じである」と言うときの、「温度が同じ」という意味を、どのように理解すれば良いのかわかりません。
- eatern27
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ハミルトニアン(の中の運動エネルギー)に関してある仮定を置く事によって 古典統計力学からエネルギー等分配則が導出されるのですが、それでは理由にならないのでしょうか。
お礼
ありがとうございました。
補足
有難うございます。例えばお湯の温度を小さな温度計で測っているとして、お湯と温度計とを包括してエネルギー等分配則が働くと考えても良いのでしょうか?
- eatern27
- ベストアンサー率55% (635/1135)
エネルギえー等分配則に基づいて1自由度辺りの運動エネルギーから温度を定義しているという前提の質問のように見ますが、そのような定義を採用する事は多分ないと思いますよ。エネルギー等分配則が成り立っている事が前提の定義ですが、常にエネルギー等分配則が成り立つ訳ではないので。
お礼
ご回答ありがとうございます。 別に定義した温度が、総エネルギーを全自由度で割ったものに、少なくとも大雑把には比例するのは何故なのか、不思議です。
- htms42
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比熱の測定から導かれた結論です。 元々は熱量等配分の法則です。 気体分子運動論に基づいた考察で運動エネルギーと温度が結びついたのです。 物質(物体)の温度を1度上昇させるのに必要な熱量を熱容量と言います。 1g当たりの熱容量が比熱です。物質の量をそろえておかないと比較ができません。 (1)金属の比熱 金属の種類によって比熱の値は変わります。バラバラです。 ところがその値に原子量をかけるとほとんど一定の値になります。 デュロン・プティの法則(1818年)として知られています。 理科年表で主な金属についてその値を調べてみます。25℃の値です。単位はJ/Kです。 Zn 25.5 Al 24.3 Ca 26.3 Au 25.4 Ag 25.5 Fe 25.2 Cu 24.5 Pb 26.8 Ni 26.6 Pt 25.7 Mg 24.8 Sn 26.4 これはどうしてだろうかと考えますね。 現在の言葉で言うとこの値は「モル熱容量」という量になります。 原子の数を共通にしてみています。 原子の質量は元素の種類によって大きく変わりますが原子1つあたりで考えると 温度上昇に必要な熱量は同じになるのではないかということになります。 (2)気体の比熱 気体の比熱も値はばらばらです。でもモル熱容量で考えるとまとまります。 空気は酸素と窒素の混合物ですが、この3種類の気体のモル熱容量がほとんど同じになります。 水素と塩素では質量に36倍の違いがありますがモル熱容量で考えるとほとんど同じです。 2原子分子ではほぼ共通の値になります。 気体の場合、熱容量は定圧熱容量、定積熱容量の2つがあります。 この比を比熱比と言います。文字γで表します。γの値は現在音速の測定で求められているそうです。 このγの値も一定になります。理科年表から値を引用します。 ・2原子分子(γ=1.4=7/5) 空気(乾燥 20℃) 1.403 酸素(16℃) 1.396 窒素(16℃) 1.405 水素(0℃) 1.410 塩素(15℃) 1.36 一酸化炭素(15℃) 1.404 ・単原子気体(γ=1.66=5/3) ヘリウム(-180℃) 1.66 アルゴン(15℃) 1.67 (3)気体分子運動論 気体の圧力が壁にぶつかる気体分子の衝突によって生じているというモデルで考えます。 容器の一つの壁に分子が当たる衝突の力積の総和を短い時間τで考えて平均をとります。 これを面積で割ると圧力になります。壁に垂直な方向をx方向とします。 P=ρm(vx)^2 ここで ρは数密度N/Vです。 mは気体分子1つの質量 vxは平均の速さのx方向成分です。 分子の運動はどの方向でも同じだと考えていいですから vx^2+vy^2+vz^2=v^2より、vx^2=(v^2)/3 1モルの気体だとすると状態方程式 PV=RT、N=No(アボガドロ数)を使って 3RT=Nomv^2=Mv^2 Mはモル質量です。 平均の速さがvであるような気体の運動エネルギーは1モルでE=(1/2)Mv^2ですから E=(3/2)RTがでてきます。 これで温度と運動エネルギーが結び付けられました。 ここに出てきている数字の3はx、y、zの3方向の3です。これから1方向については RT/2というエネルギーが配分されているという考えが出てきます。 (4)エネルギー等配分の法則 モル熱容量についての(1)(2)の結果と(3)の結果とをつなぎます。 x、y、zの3方向の運動しか自由度のない気体では(3)の結果はそのまま内部エネルギーの 表現になっているはずです。定積モル熱容量は(3/2)Rです。定圧比熱と定積比熱の差は 体積膨張に伴う仕事になりますから1モルではRの違いになります。 定圧モル熱容量は(5/2)Rになりますから 比熱比はγ=5/3=1.66です。 この結果は単原子気体での値と一致します。 二原子分子では回転の自由度にもエネルギーが配分されているはずです。分子軸方向の回転は 考えられませんので2つの方向の回転が増えます。回転の自由度にも並進の自由度と同じように エネルギーが配分されているとすると自由度5になります。 定積モル熱容量の値は(5/2)R、定圧モル熱容量の値は(7/2)R,比熱比はγ=7/5です。 (2)の結果とうまくあっているということが分かります。 1自由度当たり1モルでRT/2のエネルギーが配分されていると考えてよさそうです。 水は3原子分子で折れ曲がっています。回転の自由度を3と考えると自由度は6になります。 γ=8/6=4/3=1.33が予想されます。 理科年表に載っている値が1.33ですからうまくあっています。 3原子分子では回転運動以外の運動の可能性が出てきます。 水の場合はその可能性は考えなくてもいいという結果です。 もし、折れ曲がり振動のような運動が起こりやすい分子であれば γの値は1.33よりも小さくなります。 (1)の結果の説明 固体ですから定積比熱だけを考えます。 モル熱容量の値が3Rに近いというのは自由度が6の場合に対応します。 固体ですから原子は周囲の原子との間に引力の働いている束縛状態にあるはずです。 束縛状態にある場合、一つの方向について運動エネルギーと位置エネルギーの2つのエネルギー が考えられますから自由度は2になります。3つの方向で自由度が6だという結果になります。 2原子分子でも高温になって分子間距離が変わるような振動が励起され始めると自由度が2増えます。 γは小さくなります。塩素ではγ=1.36ですから1.4よりもちいさいです。 伸縮振動がいくらか励起され始めていることになります。 臭素ではγ=1.29ですからもっと励起されていることになります。 (伸縮振動が十分に励起されているとするとγ=9/7=1.286です。) 分子の結合の切れやすさは塩素よりも臭素の方が大きいことが予想されます。 比熱は温度変化が大きいです。 デュロンプティの法則も温度を変えるとずれが大きくなってきます。 それに対してアインシュタインやデバイが理論を出しています。 等配分の法則が成り立たなくなると考えることもできますがエネルギーの配分される自由度の数が変化すると考えることもできます。
お礼
大変詳しい解説を有難うございました。デュロン・プティの法則はとても面白く、たいへん興味を持ちました。大雑把な言い方を許して頂けるなら、総自由度が比熱を決めている、と思いました。 でもそうやって計算した温度が、私たちが測ったり感じたりする日常の温度に対応するのは何故なのか、其処が良くわかりません。
お礼
有難うございました。少しわかった気がします。