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なぜ集合が軽視されたのか
つい 20 年ほど前までは,集合の単元で A=B を含むときは A⊆B(部分集合),A=B を含まないときは A⊂B(真部分集合)というように,部分集合と真部分集合の違いも扱われておりましたが,現在は扱われておりません。なぜでしょうか。
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「部分集合と真部分集合の違い」などという些末なことをことさらに強調して教えることが『くだらない』,それどころか『かえって邪魔』であることに,関係者が気づいたからだと思います. 軽視どころか,教える内容が見直されて改善されたのです. まず,前提として,「⊆ で部分集合, ⊂ で真部分集合を表す」という流儀は昔の高校数学独特の方言で,数学全体では ⊂ と書いたら部分集合(=の場合を含む)と解釈する流儀が多数派です.最近では高校数学も含めて「⊂ は真部分集合」は急速に廃れているようです.. 真部分集合関係を書き表す必要があるときは,「A ⊂ B かつ A≠B」などと書くか,または,あえて記号で表すとすれば「⊂ の下に ≠」という記号を使ったりします. 理由は簡単で,真部分集合などという中途半端なコンセプトは実用上ほとんど役に立たない(使い道に乏しい)からです.部分集合というのは,論理の含意と直結するので,集合を考えるうえで最重要のコンセプトですが,それと比べて真部分集合というのはものすごく重要度が低いのです. そのぐらい重要度の低いコンセプトを,学習の初期にことさらに強調して名前をつけて記号を与えるというのは,かえって邪魔です.真に重要なコンセプトが強調されなくなるからです.優先度が低い事項は,後にそれが真に必要になった人だけが,その時点ではじめて名前なり記号なりを知れば十分です. ⊆ と ⊂ の記号を使い分けるのは,あきらかに数の大小を表す不等号 ≦ と < からの連想で生じた流儀です. しかし,数の大小と集合の包含では,イコールの場合を含むかどうかを区別することの重要性が全然違います. 数の大小の場合, x ≦ 3 と x < 3 の両方を使って,かつ,それらを明確に区別することは,日常的にも数学的にもきわめて重要です.日常語でさえ「以下」と「未満」を使い分けていますし,数学でも実数の集合 { x | x ≦ 3 } と { x | x < 3 } は解析的にも位相的にも著しく異なる性質を持ちます(前者は最大要素を有するが後者はそうではない). ≦ と < は両方が頻繁に使われて,しかも,どちらも同程度に重要なので,両方に異なる名前と記号を与えて違いを強調して教えることは当然です. それに対して,集合の包含については,そもそも日常的にその用語や記号を使うことがほとんどなく,教える動機はもっぱら数学内部での必要性です.そして,すでに述べたとおり,数学の観点では部分集合と真部分集合の重要度には著しい差があって,前者の重要度と比べたら後者はゴミみたいなものです. 真部分集合などという些末なコンセプトへのこだわりや,⊆ と ⊂ の記号の(標準的でない)使い分けという,高校数学の悪習が淘汰されるのは,むしろ歓迎すべきことだと私は思っています.
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- papirun
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今年の春に公立高校に入学した者です。 私の県(南関東)の場合は普通に習いましたよ。 数学の中ではこれが一番苦手でした・・・
お礼
>私の県(南関東)の場合は普通に習いましたよ。 南関東は受験熱が高いですからな。 >数学の中ではこれが一番苦手でした・・・ 事実,小学 4 年で集合に関する内容を採り入れたところ,多くの“落ちこぼれ”が発生しました。ですからあなたのおっしゃるように,集合を苦手とする生徒は結構存在します。
お礼
そういういきさつがあったのですね。ご回答誠にありがとうございます。