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IS-LM-BP分析と外生的な資本流入
- IS-LM-BP分析において、外生的な資本流入があるとBP曲線は右シフトすると言われていますが、資本流入による黒字化は為替レートを下落させるためBP曲線は左シフトするとも言われています。
- 資本流入によって国際収支が黒字化することで、輸入が増加し黒字が減少する効果があるため、BP曲線は右シフトします。
- しかし、資本流入による黒字化は為替レートを下落させるため、輸出が減少し国内の所得が減少する効果もあり、BP曲線は左シフトします。このような点で矛盾が生じています。
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BP曲線の動かし方を少し誤解しているように思います。 BP曲線は国際収支を見るツールです。 BP=国際収支=経常収支+資本収支です 経常収支は為替レート(e)と国民所得(Y)によって定まります。 つまり、経常収支はeとYの関数です(ただしeは固定するのが普通)。 資本収支は金利(r)によって定まります。 つまり、資本収支はrの関数です。 その上で、外生的に資本流入があった場合にはBP曲線は右シフトするのは何故かと言うと、資本収支が黒字化するから右方シフトするのです。 つまり、資本収支=rK+Bなどという式になっていると思うのですが、ここに外生的に流入した資本をGとしますと、資本収支=rK+B+Gとなるわけです。 Gの分だけ右方シフトするわけです。 したがってBP分析では、資本流入によって国際収支が黒字化します。で終わります。 国際収支が黒字化するだけでは輸出増加に繋がるとは考えません。 ただ、『資本流入による黒字化は、為替レートを下落させますので、円高となり、輸出を減少させてYを減少させることを通じてBP曲線を左シフトさせる事』については考える必要があるかもしれません。 これは国際収支をどこまで分析するかという話になってきます。 IS-LM系の分析では基本的に利子と国民所得以外は与えられた数字として一定として扱います。 ですから、外生的資本流入に際して為替レートが変動したのであればその分シフトさせることで対応します。 ですので為替の変動まで加味するかどうかは、その人の判断になります。 為替も加味すれば、資本収支は黒字化するので国際収支を右方シフトさせます。 それと同時に国際収支は為替の変動により赤字化するので国際収支を左方シフトさせます。 恐らく資本収支の効果の方が高いでしょうから結果として国際収支は右方シフトすると予想できます 。ただし為替の影響を加味しなかったときよりは右方シフトの幅は小さいでしょう。 つまりは、一つの政策の効果が複数の効果を齎すということです。 そしてその効果が反対の影響を齎すということです。 ですから矛盾ではないです。 クラウチングアウトと似たようなものだと考えてください。 例:財政拡大による需要創出→需要増大 需要増大による金利上昇→需要縮小 さらに輸出の減少が国民所得そのもの(IS曲線)にまで影響を齎すと考えるのであればもっと変化は複雑になります。 ですのでこれらの数式をどのようにするのかは、最初の仮定によって異なるわけです。 きちんと厳密にやれば IS曲線 Y=C+G+I+純輸出 純輸出=輸出+輸入=eD+YE とかなるわけですから、eが変動すればIS曲線もシフトするでしょう。 まあIS-LM曲線系の分析は、経済の相互性を踏まえて最終的にどのような結果になるかを分析するツールです。ですから曲線がどのように動くかをきちんと考えなければいけません。 海外からの資本流入は、資本収支だけを見ればBP曲線を右方に動かします。 為替の影響を考えると国際収支を変動させるので左方にも動かすでしょう。 さらに為替の影響による国民所得の変化を考える場合は、IS曲線を動かすでしょう。 国内に対しての金融にも影響を与えるならLM曲線も動かすかもしれません。
お礼
今回も、懇切丁寧かつ論理明快な回答をありがとうございました。 とてもよくわかりました。