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謎解き!「走れメロス」に登場する山賊の謎とは?
- 太宰治の有名な著作「走れメロス」に登場する山賊の謎について解説します。
- メロスが山賊に襲われる理由について、金品を目的とするのか、暴君に雇われたのかを考察します。
- 山賊がメロスを襲った背景や経緯について理論的に解明します。
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『走れメロス』はシラー(シルレル)の『人質』という詩を元に作られています。その影響もあって、半分以上古典的な物語の技法によって構成されています(メロスが途中でヘタレるのが近代小説的なところであり、原作にない、太宰のオリジナルの部分です)。 近代小説は、登場人物を一個の人間としてリアリティを持たせて描くのに対し、古典的な物語は、物語を成立させるための駒として人物を配置する構成になっています。 つまり山賊は、近代小説のように一個の人間としてリアリティを持って描かれているのではなく、単に「障害物」として配置された駒に過ぎないのです。山賊に襲われるという障害があった方が面白いからそうなっているだけです。 近代小説的手法で描かれていないものに近代小説的な合理的解釈をしようとするから「よく分からない」のであって、ここは古典的物語のお約束に従って「サタンが川の氾濫と共に山賊を遣わし、メロスに試練をお与えになった」と考えるのが最適解であるかと思います。 この場合のサタンが、王の心を支配する悪魔なのか、それともメロスの信仰心を試そうとする神の使いなのかは、どちらでも自由です。 あえて近代小説的な解釈をするなら、そもそも王様の企みが「メロスが遅刻すること」に限るというのは思い込みです。帰って来なくても王様の望みである「メロスが約束を破る」という条件は満たすから、山賊がメロスを殺してしまっても何の問題もないはずです。 「ちょっと遅れて~」というのは、メロスは約束を破ったら「約束破り」の汚名を被って、恥ずかしくて世間を歩けなくなってしまうわけですよね。でも、遅れて来たらメロス側は「本当はちゃんと到着する予定だったのに」などと言い訳も立つ(上にテロ行為を恩赦してもらえる)し、王様も約束を破ってもらえるから、お互い悪くない条件でしょ? という交渉に過ぎません。王様としては遅刻でも帰って来なくても、どちらでもいいのです。 もっとも、王様の本来の勝利条件はメロスが自主的に約束を破ることであって、山賊なんか派遣して足止めなり殺すなりしたら「自主的に」の条件を失ってしまいます。おそらく王様は密偵でも使ってメロスの動向を監視しており、なんだか本気で帰ってくる気があると知って、なりふり構わず山賊を雇ったのでしょう。この際、不正行為をしてでも勝ちたいと。 王様が「遅れてくる」のと「帰って来ない」のと、どちらがより好みだったかは知りませんが、山賊を派遣したときにはもうすでに切羽詰まっており、勝ち方にこだわる余裕などなかった、ということです。
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- naniwayasu
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はっきりとは言っていませんが、文中で王に雇われたことをほのめかしていますね。 メロス「命のほかはなにもない」 山賊「その命が欲しいのだ」 王は単純に、もし戻ってきたら(間に合ったら)困るから、手を打っておいたのではないでしょうか。
お礼
御回答有難う御座いました。
お礼
御回答有難う御座いました。 「走れメロス」が完全なオリジナル作品ではないということは、授業で聞いたのですが、古典的物語と近代的小説との差異には気が付きませんでした。山賊は駒だったのですね。 羨ましい御慧眼です。