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請負人の行為が責任を問われない場合は? 「使者」だということが関係ある?

ご教示ください。 AとBは隣人同士で,Aは境界付近にある自己所有の塀を修理しようと, 業者Cに工事を発注しました。 この工事にあたっては,B宅の敷地使用とともに,塀の根元にあるB宅の 花壇を,一時撤去する必要があります。 業者Cは,着工前にBへ工事概要を説明する際, 工事終了後は花壇を復旧する旨の約束をしました。 また,Aは発注者としてその内容を承知し,業者Cに,その約束をきちんと 履行するよう指図しました。 ところが,工事が終わって,隣人Bは,花壇の復旧が十分なされていないので 損害賠償だ,との訴えを,Aに対して起こしました。 そこでAは,民法第716条により,「発注者として,請負人Cに対し, 過失のない指図をしたので,その損害を賠償する責任を負わない」と 抗弁しました。 それに対し,Bは,「Cは『使者』という認識である」という反論をしました。 ・・・で,ここが少し分からないのですが, 確かに業者Cは,着工前の説明においては,単に発注者Aの「使者」として 機能しました。隣人Bからの「花壇は復旧すること」という条件を聞いて Aに伝えた,という働きをしたのは事実です。 しかし,隣人Bが,「請負者Cは『使者』であると認識している」と述べることで, 一体 何を主張したいのか,よく分からないのです。 「請負人Cが仕事において,隣人Bに対して与えた損害を,着工前のAB間の 合意形成時の『使者』だから,Cは賠償責任を問われない。直接,発注者Aに 求める」というのは,どういう論理なのでしょうか? 業者Cが,着工前に隣人Bとの交渉役として,「使者」であろうが 「代理」であろうが,実際に現場を動かした「仕事」において生じさせた 損害の賠償義務とは,何ら関係が無いと思うのですが・・・。 シロートなものですみませんが,どうぞよろしくお知恵をお貸しください

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回答No.4

>◯現在,業者Cは夜逃げしちゃって行方不明。 >◯で,花壇の現状も「原状回復していない」と認められてしまっても, >仕方ないかもなあ,という形状。 なるほど。業者Cは夜逃げしているんですね。 だから相手は「使者」という無茶な主張をしてくるのですね。 >なので,「Cへの指図に際しての,Aの過失の有無」を争うとき, >(1)「Cへの指図の内容は過失の無いもので,結果的にCが >その通り仕事をしなかっただけだ」とAが主張して,認められる? >(2)それとも,花壇の形状が不十分であるという事実を以て, >Aの指図に過失がある,と見なされる? >というところが,また疑問でして・・・。 まず原則論からいえば、Aに716条の過失があったということを主張・立証するのは、隣人Bになります。 しかし、過失の立証というのは難しいものですし、質問文からはそれが読み取れないので、 この点でいえば716条構成ならAが有利です。 (だからBは、より楽な「使者」という構成を採用したのでしょう。) →716条なら、Bは、「(I)Cに不法行為があった→(II)A≠C(請負契約)→(III)Aに過失があった」 →709条なら、Bは、「(I)Cに不法行為があった→(II)A=C(使者)」となります。 争っているのは互いに(II)の部分ということになります。これが、716条の(II)なら、 さらにBは(III)の立証が必要になりますが、709条の(II)なら、Bはそれで立証する必要がなくなります。 つまり(II)の争いが「請負の範囲内かどうか」ということです。 以上を前提に、716条において、質問者さんの(1)がありうるか、については、 上記716条の(III)Aの過失の立証をBが行うことは難しいと考えられますから、 Aの主張が認められる可能性は勿論あります。ただし、当事者の負担の公平な 損害の分配を裁判所が考えた場合には、それでもAの負担をいくらかでも認める可能性もなくはないです。 (2)についても、そのような判断がなされるかにつき、ないことはないとは思います。 抽象的にいうならば、(2)は考えにくいと思います。それは、質問者さんの(2)の場合、 716条の(I)=(III)としていることから、論理的には709条の構成と変わらなくなってしまうため、 716条が意味をなさないことになるからです。しかし、716条でC≠A、 すなわち(I)≠(III)であったとしても、互いの費用の公平な分担という観点から、 より709条に近づけて((I)≒(III))、考えることもできなくはないです。 つまり、実際に花壇が復旧していないのならば、Aはそのことが分かるはずですから、 その指示をCにすべきだった、ということも言えなくはありません。 そのような判断がなされれば、Aの負担をいくらかでも認める可能性もまたややあります。 結局、(1)(2)につき、請負の範囲か否か、Aの過失と見るか、Cの過失と見るか、 は裁判所に提出された証拠による判断が大きいと思います。 参考程度に私個人の意見ですが、原則的には請負契約があり、また、請負の内容から生じた損害ですから、 請負の範囲内の話であり、そして716条にある通り、指示に過失ない限り、 発注者に責任を負わせるというのは難しい、と思いますし、質問文からはその過失もないように思います。 また、本来Bが訴えるべき相手はCですが、そのCが失踪したから716条を修正する、 ということは、通常ではかなり難しいように思います。

nekotower
質問者

お礼

fix2008neo様,本当にかさねがさね ありがとうございます。 当初は仮説での質問だったのが,徐々に身の上話のように なってしまい,それでも温かくご回答くださり,感激です。 (スミマセン。実は,もしかしたら再度のご回答をくださるかも…,  と思い,回答を締め切ってませんでした。) 実は,30分5000円の弁護士の無料相談を受けたことが ありましたが,もうぜ~んぜんパッとせず,親身でもなく, というトホホな思いをした経験があります。 それに比べ,なんとご親切で,しかも分かりやすい ご回答でしょうか! また別の件で質問することがあるかもしれませんが, もし,お目に留まることがありましたら,お知恵を お貸しいただければ幸いです。 今後のご活躍を祈念しまして,お礼に代えさせていただきます。

その他の回答 (3)

回答No.3

>しかし,それだからといって,工事中に発生した損害を「業者は施主の >『使者』だから,施主に賠償請求する」というのが通ってしまえば, >民法第716条は何も効力を持たないものになってしまうのでは? その通りです。716条が規定されている趣旨はその不安を払しょくするために規定されています。 すなわち、通常、使用者と被使用者、本人と使者(または代理人)との関係では、 いずれも使用者、本人が責任を負うことになります。 特に前者の場合には715条により使用者責任が規定されています。 ところが、請負というのは、発注者と請負人は使用関係にはなく、 したがって、使用者責任は認められないということが論理的に導かれます。 そのことをわざわざ注意的に規定したものが716条です。 つまり発注者は使用者ではないから使用者責任は負わない(715条の適用はない)が、 請負人と契約したのは発注者ですから、その指示に過失がある場合には、 発注者はその限りにおいて責任を負う、ということにしているのです。 (その意味で、716条は論理的に他の法律関係から導けるので、 間違わないようにわざわざ規定されている、いわゆる注意規定と呼ばれます)。 ここで、BはAに対して「Cは使者」として主張しています。 しかし、ACには請負関係がある以上、これは原則的には認められないでしょう。 もちろん、別の事情として、発注者であるAが請負人であるCに、 ついでに請負契約とは関係なしにBに対する伝達を頼んだ、ということであれば、 請負とは関係ないですから「使者」ということもいえる場合がある、ということはいえます。 そうすると、これがもし裁判であるとすると、 互いの主張のやり取りは、No1に示したことになりますが、 裁判所での判断の中心的なポイントは、 Cのなした行為がACの請負の範囲かどうか、が争われることになります。 請負の範囲なのであれば、716条の適用、すなわち「Aの指示の過失の有無」がポイントになりますし、 請負の範囲外ならば、「使者」という可能性もありえます(他の可能性もあり得ます)から、 「原状回復がなされているかどうか」がポイントになります。 質問者さんの事例では、Cは請負業者ですし、Bはその説明を受けていますし、 仕事の内容からも請負の範囲外と考えることは質問文からは難しいように思いますから、 そうすると、原則的に716条が適用されることになると思います。 したがって、その質問の場合では、Aについては指示の過失の有無だけが問題となり、 そして過失の事実が明確に出てこなければ過失なし、 という判断が下される可能性が強いと思います。 訴訟とい言う形でいえば、この場合、B原告でA被告としていますが、 Aがきちんと主張・立証を行えば、Bの主張には理由がないとして棄却されることになると思われます。 なお、Bの花壇につき原状回復していないことが事実として認められるなら、 そして、AまたはCからのいずれかから損害賠償を得ようとするなら、 A及びCを被告として同時審判申出訴訟をすることにより解決できた、と思います。

nekotower
質問者

お礼

fix2008neo様,貴重な日曜日に,何度もご懇切なご回答を下さり, 本当にありがとうございます。 シロートの私にも,無理なく理解できる名回答だと思います! ・・・本当は,「お礼」欄で補足するのはダメだと思うのですが, 内情をさらにお示しすると,   ◯現在,業者Cは夜逃げしちゃって行方不明。   ◯で,花壇の現状も「原状回復していない」と認められてしまっても,    仕方ないかもなあ,という形状。 という状態です。 なので,「Cへの指図に際しての,Aの過失の有無」を争うとき,   (1)「Cへの指図の内容は過失の無いもので,結果的にCが     その通り仕事をしなかっただけだ」とAが主張して,認められる?   (2)それとも,花壇の形状が不十分であるという事実を以て,    Aの指図に過失がある,と見なされる? というところが,また疑問でして・・・。 なんだか,一つご教示いただくと,それを踏まえてまた疑問が出てきて しまいまして・・・。 ただ,これは当初の質問から派生して,別のことになってしまってますし, それこそ単なる一般論では論じにくいですよね。 ご回答いただきまして,本当に心から感謝しております。

  • minpo85
  • ベストアンサー率64% (165/256)
回答No.2

 相手方は本人訴訟ですかね?  今回、相手方は損害賠償を請求しているということですが、不法行為に基づく請求なのですか?  花壇の復旧が十分されていないから、ということから、債務不履行に基づく損害賠償請求かと思ったのですが。  つまりAはBとの間で、工事終了後に花壇を復旧するという契約を締結しているが、Bとしてはその履行が不完全であるので損害賠償を請求するということではないでしょうか?  すなわち、花壇復旧に関する契約当事者はA及びBであり、業者Cはいわゆる履行補助者であります。履行が完全になされていなければ、AはBに対して完全履行もしくは損害賠償責任が発生します。もちろんそれがCの過失によるものであれば、AはCに対して損害賠償等を請求できますが、だからといってAはBに対して、Cに請求しろとはいえません。  民法716条は請負人が第三者に加えた損害について、注文者は原則として責任を負わないとされています。これはいわゆる不法行為における規定なのです。  具体例をあげると、注文者が建物の建設を業者に依頼して、その建設工事中に業者の過失で鉄骨が落下し、下を歩いていた通行人が負傷した場合に、注文者は原則として損害賠償責任を負わないとなります。

nekotower
質問者

お礼

おお~! 誠にご懇切なご回答,どうもありがとうございます! 私の理解が浅い部分,そして先方の狙わんとしていることが なんとなく分かってきました。 ・・・ということで,回答中でお示しいただいた質問について, 上記「補足」欄にて述べさせていただきます。 ありがとうございました。

nekotower
質問者

補足

この質問のシチュエーションを,もっと詳しく申し上げます。 (1)隣人Bは,請負人Cに対して「工事が終わったら花壇を復旧すること」と   伝え,発注者Aはそれを聞いて,了承した旨,またCを通じて返答した。   (使者Cを介し,ここでAとBの契約が成立した,ということでしょうか?) (2)Aも請負者Cには,「隣人Bの指示に従うように」という指図をしたが,   結果的にCの仕事は,Bにとって「復旧が履行されていない」状態となった。   (ここで,Cにしてみれば「Bが最終的に出した指示どおりに形成したよ」と    いう言い分もあるのですが,ここでは無視したほうがいいですね。    ちなみに,自分の主張を裏付ける物証は,3人ともありません。) (3)なので,これが不満なBは,Aに対して損害賠償請求した。主張を見ると,   「Aの故意または過失によって,Bは損害を被った」ということなので,   債務不履行ではなく,不法行為に基づく賠償請求かと理解していますが… (4)これに対してAは,「注文者としてCにちゃんと指図した。花壇の復旧が   Bの意に沿うものでないのは,Cによる不法行為。だから責任なし」と   言いたい。 ただし,minpo85様のご回答を拝読する限り,AがBから訴えられることを 免れるのは難しそうですね・・・。 ちなみに,Bは弁護士を立てています。

回答No.1

Aは716条で何を言っているかというと、C≠Aです。 つまり、AC間に請負契約があろうとも、 Aにはその指示に過失がないということになれば、 Aは責任を負いません。 つまり、ここで問題となるのは「Aは、過失のない指示をしたかどうか」です。 質問文からはここに問題アリとするのは難しい、ということになるでしょう。 これに対して、隣人BはAに対して損害賠償を求めていますから、 Bとしては、C=Aの行為だ、といわなければなりません。 C=Aの行為だ、というためには、Cは使者である必要があるわけです。 使者ならば、その責任は本人であるAが負いますから。 そして、C=Aなら、実際に約束した原状回復がなされていない以上、 本人であるAに損害賠償を請求できることになります。 ここで問題となるのは、「実際に原状回復されたかどうか」です。 これは、元に戻ってないことを示せば足りるので、 Bとしてはこれを主張するほうが損害賠償をとりやすいということになります。

nekotower
質問者

お礼

fix2008neo様,ありがとうございますー! 本当にスッキリと腑に落ちました。 なるほどー,Bはそのような「戦略」として,「Cは使者」という 主張をしているわけですね。 ・・・となると,その次に疑問が生じてしまいまして, 誠に恐れ入りますが,「補足」のとおり再度お尋ねしたいのですが・・・。 もしよろしければ,またお知恵をお貸しいただけますか?

nekotower
質問者

補足

下記のとおり,補足といいますか,ご回答をお聞きして, その次に疑問が出てきてしまいました・・・。 このケース,結局,隣人Bの花壇は十分に復旧されなかったとします。 Aは,あくまで「請負人Cに対しては,『Bの指示を守るように』と指図したが, 結果的にBが満足しなかっただけ。悪いのは,Cの仕事の結果であって, 自分は発注者としての責任は問われない。」と主張。 一方,隣人Bは,「業者Cは,Aの使者。責任はAにある。」と主張。 通常,工事に入る前は,施主本人は挨拶のみで, 実際の内容説明や,工事において隣人が関与する部分の協議など, ハウスメーカー等の請負人が 施主の「使者」として行動しますよね? しかし,それだからといって,工事中に発生した損害を「業者は施主の 『使者』だから,施主に賠償請求する」というのが通ってしまえば, 民法第716条は何も効力を持たないものになってしまうのでは? それとも,fix2008neo様がおっしゃるように,「原状回復されているか どうかが問題」であり,もしAが業者Cに,口頭で正しい指図をしても, 結果的にCの仕事がダメならば,Aの不法行為,になるのでしょうか? よろしくお願いします。

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