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「こころ」の「上二十二」
日本語を勉強中の中国人です。夏目漱石の「こころ」の中国語版を読み終えました。いま日本語版を読んでいるところです。「上二十二」の中に理解できないところがありますので、お伺いしたいと思います。原文が載っているサイトは次の通りです。ご参考になさってください。 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html 1、それでも着いた時は、床(とこ)の上に胡坐(あぐら)をかいて、「みんなが心配するから、まあ我慢してこう凝(じっ)としている。なにもう起きても好(い)いのさ」といった。 「なにもう」はどういう意味でしょうか。 2、母は不承無性(ふしょうぶしょう)に太織(ふとお)りの蒲団(ふとん)を畳みながら「お父さんはお前が帰って来たので、急に気が強くおなりなんだよ」といった。 「おなりなんだ」はどういう意味でしょうか。 3、「お母さんがあまり仰山(ぎょうさん)な手紙を書くものだからいけない」 「仰山」は現代でも使われる言葉でしょうか。 4、「なに大丈夫、これでいつものように要心(ようじん)さえしていれば」 「なに大丈夫」はどういう意味でしょうか。 5、「こんど東京へ行くときには椎茸(しいたけ)でも持って行ってお上げ」 「お上げ」はどういう意味でしょうか。 6、先生はただ親切ずくで、返事を書いてくれたんだと私は思った。 「親切ずく」はどういう意味でしょうか。 7、父は病気の性質として、運動を慎まなければならないので、床を上げてからも、ほとんど戸外(そと)へは出なかった。 ここの「床を上げる」はどういう意味でしょうか。 また、質問文に不自然な表現がありましたら、それも教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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1.「なにもう」ですが、これは「何、もう起きても好(い)いのさ」ということです。この場合の「なに」は、4の質問にもある「なに」と同じなのですが、「いや、もう起きても好いのさ」といった感じで言い換えられます。 2.「お父さんはお前が帰って来たので、急に気が強くなられたんだよ」あるいは、「お父さんはお前が帰って来たので、急に気を強くされたんだよ」ということです。「なる」という言葉を丁寧にしたわけです。 3.仰山は、お年寄りがたまに使います。まったく使われない言葉ではありませんが、少し古くささの漂う言葉ではあります。基本的には「たくさん」でいいのではないでしょうか。 4.「いや、大丈夫、これでいつものように要心(ようじん)さえしていれば」といった感じで言い換えられます。つまり、前の話の内容に対して、軽い否定・転換の要素を含んでいるわけです。 「大丈夫ですか?」「なに、大丈夫だよ」といった使い方ですね。 5.「こんど東京へ行くときには椎茸(しいたけ)でも持って行ってあげなさい」ということです。「○○してあげなさい」を柔らかい調子にしているのですが、たいてい母親や、おばあちゃんなどが使う女性的な言い回しです。 6.「親切ずく」は、少し難しいですね。よく似た言葉で「力ずく」という言葉をご存知でしょうか。「力ずくで解決する」なんて使い方をするんですが、「力にまかせて解決する」ということです。実はこの場合は「ちからづく」という表記でもよくて、この場合は漢字では「力尽く」となります。つまり、力を尽くして、ということですね。そうすると、「親切ずく」は「親切心にまかせて・親切を尽くして」ということになります。 「先生はただ親切心にまかせて、返事を書いてくれたんだと私は思った」 「先生はただ親切を尽くして、返事を書いてくれたんだと私は思った」と言い換えられます。ただ、力ずくはよく使うのですが、親切ずくは現在ではあまり使われない言葉です。 7.「床を上げる」は、「布団を片付ける」という意味です。他にも「床に就く」なんて言い方もあります。この場合は「布団に入る(つまり、寝る)」ということです。 特に質問文の中でおかしいと思うところはありませんでした。見事な日本語だと思います。 ご参考になれば幸いです。
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- kentaulus
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訂正します。 回答番号:No.4 の 7 「病状が [ 回復 ] する」→「病状が [ 快復 ] する」です。 ごめんなさい。m(_ _)m
お礼
よくわかりました。お気遣いをいただきありがとうございました。
- kentaulus
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1mizuumiさん、こんにちは。 勉強熱心ですね。 1.「なにもう」 正確には「何、もう~」です。 現代標準語では 「何でも無いです。(没有問題・無問題)、もう~」ですね。 (大丈夫です。心配無用です。 病気が快復したので、もう、起きています。[布団から出ています。]) 快復-病状が良くなる。病状が快方へ向かう。 回復-悪い状態から、元の良い状態に戻る。信頼回復。疲労回復。 2.「おなり」=「お+なり (~になる、~になった)」 ここの「お」は、敬語の意味です。 つまり、「急に気が強くなったのです。」と同じ意味です。 この作品の時代は男尊女卑で、男女平等ではありませんでした。 ですので、母親(妻、女性)が、父親(夫、男性)に対して敬語を使っています。 3.「仰山」 「ぎょうさん」は関西弁で、現在も使われています。 意味は「たくさん、多くの~」と同じです。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8E%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%95%E3%82%93&dtype=5&dname=5ss&stype=0&pagenum=1&index=004944 「仰山」の「仰」は、「仰仰しい」が語源のようです。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8E%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%95%E3%82%93&dtype=0&stype=0&dname=0na&ref=1&index=05444804557900 似た意味の「仰仰しい」と「沢山」が混同し →「仰山」になったのでしょう。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8E%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%95%E3%82%93&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=05464104576900 「仰山」は「誇張表現・誇大表現、おおげさな」の意味でも使われます。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%92%E3%81%95&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=02762002177000 「こころ」の この文では、「誇大表現」の意味で使われています。 つまり、 「お母さんが息子(主人公)に対して、 「父親の病状がとても悪い」と誇大表現な手紙を書いて送ったから、 息子がとても心配をしている。 いけない事をした。(息子に心配・迷惑をかけた)」 と書いています。 「いけない事」=「悪い行為」 4.「なに大丈夫」=「何、大丈夫」 こちらも、1番の解説と同じで「問題無い、大丈夫です。」の意味です。 5.「お上げ」=「お」+「あげる」 標準語の「~してあげてください。(~してください。)」の敬語(丁寧語)ですね。 6.「親切ずく」= 「(無償の)親切を尽くす。(無償の)親切を行い、尽力する。」の意味です。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%A1%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%9A%E3%81%8F&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=13717411846700 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%9A%E3%81%8F%E3%82%81&stype=0&dtype=0 現代標準語では、「親切[づ]く」が正しくなります。 7.「床を上げる」 「床を上げる」は「起床する」と同じ意味です。 転じて、「病床から脱する」=「病状が回復する」の意味で使われます。 日本は「畳文化」の国です。 畳の上で食事したり、遊んだり、布団を敷いて就寝したりします。 ですので、就寝時以外は布団を押入れ(収納庫)に収納し、 畳の上を開放して居室・食房として使います。 (現在では西洋化して、若い人はベッドの上に布団を敷き就寝していますけどね。) で、「床(寝床・布団)を上げる」=「布団を収納する」 →「起床する」の意味で使われます。 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E5%BA%8A%E3%82%92%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B&stype=0&dtype=0 「こころ」の この文では、「病床から脱する」=「病状が回復する」 の意味で使われています。 父は病気の性質として、運動を行ってはいけないので、 病状が回復しても、ほとんど戸外(そと)へは出なかった。 の意味です。
お礼
kentaulusさん、こんにちは^^。ご親切に回答していただきありがとうございます。いろいろ参考になりました。本当にありがとうございました。
- hakobulu
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先の方々に重複するかもしれませんが、微妙にご見解が異なっているような感もありますので、でしゃばって私なりに回答してみます。 1、それでも着いた時は、床(とこ)の上に胡坐(あぐら)をかいて、「みんなが心配するから、まあ我慢してこう凝(じっ)としている。なにもう起きても好(い)いのさ」といった。 「なにもう」はどういう意味でしょうか。 :「なにもう起きても好(い)いのさ」は#1さんおっしゃるように、「なに(何)、もう起きても好(い)いのさ」です。 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/145070/m1u/%E3%81%AA%E3%81%AB/の、 [三](2)相手の気持ち、特に、心配・懸念などを軽く打ち消すときに用いる語。いや。 ですね。 つまり、この「なに」は「大丈夫」と殆ど同じ意味です。 「なに」の語尾は下がって(と言うか「な」を少し高く)発音します。 2、母は不承無性(ふしょうぶしょう)に太織(ふとお)りの蒲団(ふとん)を畳みながら「お父さんはお前が帰って来たので、急に気が強くおなりなんだよ」といった。 「おなりなんだ」はどういう意味でしょうか。 :#1さんおっしゃるように「おなり」は「なる」の丁寧語(敬語)で、「なったんだよ」という意味です。 3、「お母さんがあまり仰山(ぎょうさん)な手紙を書くものだからいけない」 「仰山」は現代でも使われる言葉でしょうか。 :#2さんのご回答どおりです。 4、「なに大丈夫、これでいつものように要心(ようじん)さえしていれば」 「なに大丈夫」はどういう意味でしょうか。 :1の「なに」と同じです。 5、「こんど東京へ行くときには椎茸(しいたけ)でも持って行ってお上げ」 「お上げ」はどういう意味でしょうか。 :#1さんのご回答どおりです。 6、先生はただ親切ずくで、返事を書いてくれたんだと私は思った。 「親切ずく」はどういう意味でしょうか。 :http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/102374/m1u/%E3%81%9A%E3%81%8F/の、 (2)【ただそれだけの目的で】の意を表す。 「欲得—でつきあう」 です。 ・先生が返事を書いてくれたのは、私に対する親切だけが目的だったのだ、と私は思った。 という内容です。 本来なら返事が無くとも不思議ではないような状況で、わざわざ返事を書いてくれたのは私に対する親切心からだったのだ、と感激したわけでしょう。 7、父は病気の性質として、運動を慎まなければならないので、床を上げてからも、ほとんど戸外(そと)へは出なかった。 ここの「床を上げる」はどういう意味でしょうか。 :#2さんのおっしゃるとおりです。
お礼
ご親切に回答していただきありがとうございます。とても参考になりました。本当にありがとうございました。
- k99
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先賢に補足。 3)この場合は、大仰(大げさなこと)の意味で用いられています。 http://dictionary.infoseek.co.jp/?spa=1&sc=1&se=on&lp=0&gr=ml&qt=%B6%C4%BB%B3&sm=1&sv=KO 現在ではこの語は、この用法は廃れており、「たくさん(=多いと)」と認識されます。 6)http://dictionary.infoseek.co.jp/?ii=3&lp=0&sm=1&sc=1&gr=ml&qt=%A4%BA%A4%AF&sv=KO&se=on をご参照下さい 7)この場合は、病人として寝たきりになっている状態では無くなった、と言う意味です。名詞としての「床上げ」で病気が全快することを指しますhttp://dictionary.infoseek.co.jp/?spa=1&sc=1&se=on&lp=0&gr=ml&qt=%BE%B2%BE%E5%A4%B2&sm=1&sv=KO。また、逆に病床に付く(病気で寝込む)という言葉もあります。 つまり1)の文章にふれられていたとおり、それまでは、病気だからという理由で寝たきりの生活を送っていたわけですが、それを止めて、昼間は普通の生活を送るようになった、ということを指して「床を上げた」と表現しています。
お礼
ご丁寧に回答していただきありがとうございます。よくわかりました。大変参考になりました。本当にありがとうございました。
お礼
ご親切に回答していただきありがとうございます。大変参考になりました。本当にありがとうございました。