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精神病について
鬱病や社会不安障害などの病気について調べています。 これらの病気はストレス等によって内分泌系の働きに異常をきたす事が原因だとされている、というところまでは調べたのですが…。 調べているうちにいろいろと疑問が出てきました。 今のような文明化以前の人類、また人間以外の生物も、別の形で、様々なストレスに曝される状況はあったと思うのですが、その中で、人で言う鬱病などの精神疾患を患うケースはあったのでしょうか? また精神疾患を患った場合、その個体は自然に治癒したのか? またはそういった個体は自然淘汰されるのか? 長くなってしまいましたが、要約すると人間以外の生物も、鬱病やそれに近い病気になってしまうことはあるのでしょうか?
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こんにちは。 「ストレス」といいますのは我々動物が危険を回避するために必要不可欠な「防衛機能」です。ですから、それはほとんど全ての動物に備わっており、少なくとも、魚類や昆虫類にまでは立派にその機能があると考えられます。 ストレスを感じられないということは、それは即ち、我々は自分の身の危険を察知することができないということです。ですから、この能力を持たない動物は子孫を残すことはできません。従いましてストレスとは、それは我々動物が進化存続の過程で獲得した、「自然界で生き残るための根本的な防衛機能」ということになります。 ストレスといいますのは身体内外の環境の変化に対して発生するものであり、脳はこれを危険信号と判定し、与えられた状況に対応した生理状態が強制的に整えられます。 「ホルモン伝達系」と「自律神経伝達系」の二系統があり、ストレスと自覚できるのは主に自律神経伝達の方です。身体にとっては何れも一時的な負担となりますが、厳密にはこれは「ストレス対処反応」と定義され、問題が解決されるならば速やかに通常の生理状態に戻されます。ですが、ここで運悪く何時まで経っても状況が改善されず、身体の緊張状態がそのまま継続されるならば、果たしてネズミでも間違いなく胃潰瘍になります。そして、このような「ストレスの慢性化」が神経伝達系の機能障害に及んだものが「うつ病」であり、果たしてこのような状態になりますと自然治癒が難しくなります。 近年、人間には「5-HT(セロトニン)」の多い少ないを決定する遺伝子が発見されており、少ないタイプはうつ病になりやすいとされています。ですが、この遺伝子は危険を察知したり適切な判断を下すために重要であったため淘汰されませんでした。そして、少なくとも寿命に関わるような疾患ではありませんし、基本的にはその原因は「生後環境のごたごた」にあります。ですから、親がうつ病であったからといってその原因が子供に遺伝するということはありませんので、これが進化における淘汰の因子として働くことはなかったのだと思います。 野生動物にとっても自然環境といいますのは決して楽なものではありません。ですが、与えられた環境の厳しさに耐えられずにそれでうつ病になってしまう動物であるならば、そもそもそこに住んでいないはずです。 動物といいますのは住めないところでは暮らせませんし、生後環境において何らかの危険やストレスを学習するならば二度とそれに近付くことはしません。つまり、このように野生動物といいますのは意味もなく無用なストレスに曝されないような「自由な行動」を選択することができるわけです。 では、これが檻に入れられ、どうやってもストレスから逃げ出せない状況に追い込まれてしまったならばいったいどうなるでしょうか。果たして、我々人間といいますのはこの「檻に入れられた動物」と同じです。 例えば、仕事のことで上司に叱られれば誰だってストレスを感じます。これは通常の反応ですから何の問題もありません。そして、仕事が終わって家に帰るならば取り敢えず目の前に煩い上司はいないわけです。ところが、真面目なひとは家に帰ってからも今日の仕事の失敗をくよくよと考えてしまいます。そして、あまつさえ寝る頃になりますと、今度は明日の仕事のことがまた心配になってきます。 このように、我々はみな与えられた過酷な社会環境に必死で適応するため、仕事のストレスをわざわざ家まで持ち帰り、更にご丁寧に明日のストレスまで予測しなければなりません。ならば、これでうつ病にされるくらいだったらさっさと会社を辞めてしまえば良いのですが、そんなことがおいそれとできるわけがありません。果たして、これが我々人間の「慢性化する社会性ストレス」であります。 ストレスといいますのは回避するために発生するものです。ですから、やんごとなき状況に曝されるならば動物といえども心的傷害は免れません。ですが、このように我々人間といいますのは与えられた社会環境に適応するために必要な学習行動が他の動物とは比較にならないほど高度に複雑です。ならば、残念ながらこれが、現代社会ではいわば「自然の中の動物と檻の中の人間の違い」、ということになるのではないかと思います。
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- ryuzin
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勿論あります。流石に虫の場合は分かりませんが、動物の場合、動物園等で飼われている動物達は自然状態の時よりも負荷が強かったりする場合もありますので、飼育員さんが時々見廻っては状況を判断して寝床に入れたりしてますし、自然状態の動物だってそういう病気になってしまう事はあります。観掛ける機会がないに等しいだけなのでは。 >精神疾患を患った場合、その個体は自然に治癒したのか? >またはそういった個体は自然淘汰されるのか? その状態が直に生命維持に関わる物でなければ自然に治癒するか、そのままの状態で生き続ける事になると思われます。但し、子孫を残す段となるとまた状況が変わってくるので、その個体が子孫を残せるかどうかは微妙ですが。尚、群体行動を取る動物の場合はサポート役が自然発生する場合も有り得ますので、自然に治癒するよりは早く治る場合もあるでしょうが、人間がそれを詳しく観察した記録は余りなく、どうやって治しているのかは動物園や保護施設等の人間が関わった記録以外ではまだよく分かっていないというのが正解だったと思います。
お礼
痒いところに手が届く、丁寧な回答有難うございます。 現代人は、まだ適応の途中、ということなんでしょうか? いろいろと考えさせられますね。