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「~せずにおられません」?
ある文章の校正をしていて、タイトルのフレーズにふと違和感を覚えました。 「おられません」は、「いられません」、あるいは筆者が「お」から始まる語感を大切にするのであれば「おれません」の方が自然ではなかろうか──そう思って、子供の頃に習った文法を繙いてみたのですが、恥ずかしながら「おる」が「ラ行変格活用」(懐かしい!)であるということ以上は判然としませんでした。文法に明るい方、上記用法の可否についてご教示頂けないでしょうか。
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文法に明るいと言えるかどうかわかりませんが。 No.1の補足で書いておられるとおり、 「おれません」は「ら抜き」ではありません。 現在もっとも普通と思われる「いられません」は、 上一段活用の「いる」未然形に可能の助動詞「られる」がついた形です。 「おれません」は、可能動詞で、上一段活用の「おれる」です。 可能動詞は、比較的新しく生まれてきたものです。 私の引いた辞書ではこの意味での「おれる」は項目として上がっていませんでした。 可能動詞の類例はwikipediaにたくさん載っていましたので、ご覧下さい。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%AF%E8%83%BD%E5%8B%95%E8%A9%9E 「おられません」は、五段活用の「おる」の未然形に可能の助動詞「れる」がついたものです。 この「おる」はほとんど現代語では「いる」に取って代わられていて、 古めかしい言葉だと言っていいでしょう。 しかし、上記wikipediaで論じられているとおり、 五段活用動詞+「れる」が、本来の可能表現であり、誤用とは言えないようです。 質問の中には出てきませんが、「~せずにはいれません」という言い方もだんだん増えてきそうな気がします。 これは上一段+「れる」のいわゆる「ら抜き」言葉ですね。 「ら抜き」には合理性があるとして積極的に認めようとする意見が多く、なかなかの説得力があります。 「レタス言葉」というのがあって、これと比較した http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/ranuki.htm の「「ら抜き言葉」は本当に「ら抜き言葉」なのか?」はよくまとまっているようなので、一読されてはいかがでしょうか。
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- Summaron
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「おられません」は、「いられません」の文語体表現です。こちらの方が本家です。(もしくは方言的な表現でもあります。) 品詞分解は おら/れ/ませ/ん となります。 口語体で考えると、「おる」はラ行五段活用の未然形になります。 (活用は、ら/り/る/る/れ/れ) 文語体だとラ行変格活用になります (活用は、ら/り/り/る/れ/れ) 「れ」は可能助動詞「る」の連用形で未然形接続です。 そうすると、口語体で考えても本来の文語体で考えても「おれません」は文法的には誤用になります。正しくは両方とも「おら」+「れ」の形になります。 「おれません」は、bakanskyさんのおっしゃっているように、「ら抜き言葉」になってしまっています。ですから校正をするのならば、筆者の書いたままの方が文法的に正しい表現だと思います。
お礼
Summaronさん、ありがとうございます。 文法に照らしたご説明、大変勉強になります。ただ、bakanskyさんは「おれません」を「ら抜き」とは仰っていないように思います。 > 「~せずにはいられません」はOKとしても、「~せずにはおられません」 > だと問題である、といったところではないでしょうか。 俗っぽい調査で大変恐縮なのですが、たとえば時代劇でよく「こうしてはおれぬ!」なんて台詞がありますよね。「こうしてはおられぬ!」とは聞かない気がするので、両者をgoogleで検索してみました。 > こうしてはおれぬ の検索結果 約 6,970,000 件中 1 - 10 件目 (0.15 秒) > こうしてはおられぬ の検索結果 約 625,000 件中 1 - 10 件目 (0.17 秒) 少なくとも世間での使用頻度は圧倒的に「おれぬ」に軍配が上がりました。 > 口語体で考えても本来の文語体で考えても「おれません」は文法的には誤用 は、感覚的に腑に落ちないのですが……。
- bakansky
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私は文法に暗いので、回答を投稿する資格があるかどうか疑問ではありますが、ふと思ったことがあるので、投稿させていただこうと思いました。 「居ても立っても居られない」という言い方があります。 これには「ら」が入っています。 すると、「居(い)る」の変化した形 +「られる」(自発を表す助動詞) という形ではあるまいか、と辞書を見ながら考えました。 辞書を見ると「居(い)る」は「上一段活用」と表示があります。 活用形の表を見ると、「い い いる いる いれ いよ(いろ)」という活用です。 「られる」を辞書で引くと、「上一・下一・カ変の未然形について」とあります。 「居る」の未然形は「い」ですから、「居られない」という形は自然な形なのではないでしょうか。 なお、「居る」が「ラ変」なのは、古語の場合らしいです。 ただし、「居る」を「おる」と読めば、これは5段活用ですから、上記の理屈は当てはまらないかもしれません (そういうところまでは、私の知識は及ばないので、説明できません)。 考えるに、「~せずにはいられません」はOKとしても、「~せずにはおられません」だと問題である、といったところではないでしょうか。 「いる」 → 「おる」 という似たもの同士ということで、本来は「いられない」であったものが、「おられない」という用法にも転用されたのではないでしょうか。 以上、素人考えですので、詳しい方のご回答を待ちたいところです。
お礼
bakanskyさん、ありがとうございます。 そう、僕も同じように考えました。「居る」を「いる(上一段)」と読めば「いられません」で何ら疑問に思いませんし、これを「いれません」としたら明らかな「ら抜き」です。ですが、当該箇所は平仮名で「おられません」とあったので、あれ?、と思った次第です。「居る」を「おる」と読むとこれは文語のラ変になるようなので、「いる」とは違うルールになるのでしょう。仰るように、「いられません」が横滑り的な転用で「おられません」になったのかな、と僕も思います。これが文法的に正しいか間違っているかは、逆にそこまで追求すべきでないのかも、と思ったりもしますね。
- 613425
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いわゆるらぬき言葉ではないかと思います。 元の言い方 食べられません らぬき言葉 食べれません 文法的に間違い云々ではなく、おれませんは最近の若い人たちが主に使っている省略形の一種だと思います。 キチンとした文章に使うには不向きだと思います。 どのような文章の校正なのかわかりませんが ~せずにはおられません は省略していない正式な表現です。 もしもアナタが ~をせずにはおれません が省略形でなく正式な表現だと思っているのでしたら校正技術者としては勉強不足ですよ。
お礼
613425さん、早速のお返事ありがとうございます。 僕の感覚がいわゆる「ら抜き」ではないかという可能性については僕も考えました。僕は613425さんが懸念される本職の校正者ではないので、確かに勉強不足も多々あると思います。 ただ、おっしゃる「ら抜き」は、「上一段」「下一段」「カ行変格」の各活用において起こるそうです。その他、「五段」活用の「可能動詞」に於いてしばしば紛らわしい表現が見られるとの事。 上記質問の「居る(おる)」は文語の「ラ行変格」です。上記のルールが当てはまるのか、そのややこしい部分を文法に照らして説明して頂ける方、という意味で質問の末尾に「文法に明るい方」と書きました。
お礼
otasuke009さん、ありがとうございます。 > 可能動詞の類例はwikipediaに 目からウロコ! 可能動詞は活用形ではなく独立単体の不定詞(日本語文法に適用できる呼称かわかりませんが)だったのですね(No.1さんへの御礼で自ら引き写しておきながら意味がわかっていなかったとは、我ながら恥ずかしいお笑い種です)。 すると、古来の可能表現「おられる」と可能動詞「おれる(おり得るの変化形?)」は別物としてどちらも誤用ではないということになりそうですね。 > 「ら抜き」には合理性があるとして そうなんですよね、それが口語を単純に文法的な正誤で割り切れない難しさの一端だと思います。特に敬語そのものすら正しいとされる使い方が崩れつつある昨今ではうべなるかな、です。 > 「ら抜き言葉」は本当に「ら抜き言葉」なのか? これは僕も質問をする前にざっと読ませていただき、なるほどなぁ、と思いました(きちんと読んでいれば可能動詞のことも理解していたはずですね)。 いずれにせよ言葉が時代と共に変化する生き物である以上、文法を盲信して目くじらを立てるより、言葉の機能を合理的に判断して使っていく(可能動詞の誕生もそうした経緯なのでしょう)方が現実的なのでしょうね。 何気ない疑問から思いがけずいい勉強をさせていただきました。 otasuke009さん、みなさん、改めてありがとうございました。