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量子力学: 完備性に関する質問
”JJ Sakurai 現代の量子力学 セミナー”からの質問 量子力学のヒルベルト空間の完備性という概念がよくわかりません。 わかりやすく説明していただけないでしょうか? また完全性という言葉もありますが、これらは同じものを意味しているんですか? たとえば、完全規格直交基底とも完備規格直交基底とも聞きます。
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- ooita-ken
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学校で以下のように習ったときに、非常にスムーズに理解できました。 計算は載せられないので、手を動かしてみてください。 3次元のベクトルは3つの要素で表せます。例えば (x,y,z)とかです。 単位ベクトル(基底)は3個です。3個なければ、すべてのベクトルを表現することはできません。 また、3個がお互いに独立でなければ、すべてのベクトルを表現することはできません(完備性、完全性)。 単位ベクトルの選び方は無数にありますが、大きさ1で直交するように選ぶのがポピュラーです(規格・直交)。例えば、 e1=(1,0,0) e2=(0,1,0) e3=(0,0,1) また、二つのベクトルの内積は各要素の積を足したものです。 上のことは次元を増やしても同様に定義できます。 その次元を無限に増やしていくことを考えます。それが関数です。 f=f(x)はxという要素の値がf(x)である、というベクトルと考えられます。 次元は無限次元なので、単位ベクトル(基底)も無限個あります。 無限個ないとすべての関数を表現することはできません。 また、すべての単位ベクトルが互いに独立でないとすべての関数を表現することができません(完全性・完備性)。 単位ベクトル(基底)の選び方は無数にありますが、大きさ1でお互いに直交するように選ぶのがポピュラーです(規格直交)。 内積は、有限次元のときは離散的な足し算でしたが、今は無限に要素があるので、積分です。 それぞれの要素の間はdxと無限に小さな間隔で並んでいるとしてください。二つの関数の内積の定義そのものとなります。 イメージとしては、「任意の関数を展開できる関数のセットを完全系と呼ぶ」と思います。大きさが1ですべて直交すれば規格直交です。 フーリエ変換とかはまさにそうなってます。任意の関数を完全性をもった関数のセットであるサインとコサインで展開してます。
- eatern27
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>「距離空間の集合が完備」というのと、「正規直交系が完全系(完備)」という概念を2つに分けて説明いただいていますが、この2つには何か関係があるのでしょうか? ありません。 >”「距離空間の集合が完備」というのは、「正規直交系が完全系(完備)」という概念を拡張したものである” そんな事はありません。 >「コーシー列の収束性」の定義のほうがよく分かってないのですが、とりあえず正規直交系の完全性のもっと一般的な概念だというように簡単に理解してしまいたいという勝手な願いです^^; 実数体は完備だということと、有理数体は完備ではないという事はご存知なんですかね。いきなりヒルベルト空間のような抽象的なものを考えるのではなく、こういう手頃(?)な所で考えてみては。 ちなみに、正規直交系の完全性の文脈にコーシー列は登場しませんので。。。
- eatern27
- ベストアンサー率55% (635/1135)
ベクトル空間(一般には距離空間かな?)集合が完備であるとは、任意のコーシー列が収束することです。 この意味で使われているのは >量子力学のヒルベルト空間の完備性という概念がよくわかりません。 >・集合Aの任意のコーシー列がA内に収束するときAを完備であるという 正規直交系(一次独立なベクトルの組?)<e_n>が完全系であるとは、任意のベクトル空間の元vがv=Σc_n e_nと展開できる事です。(まぁ、線形代数の「基底」の概念を無限次元のベクトル空間まで拡張したものと考えればいいでしょう)ややこしい事にこの意味でも「完備」という言葉を使う事があります。 この意味で使われているのは、 >たとえば、完全規格直交基底とも完備規格直交基底とも聞きます。 >・Σ【n=1~∞】ψ_n(x)(ψ_n(x))^*=δ(x-y)を持つ時 >・任意の関数がその関数系の級数展開の形で展開できる >・パーセバルの等式が成り立つとき完全系という >・Wikipedia の 直交関数列の項の最後に書いてある定義 前者は集合そのものに対して、後者は正規直交系に対して使われる概念です。
- univ-kyoto
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完全性と完備性は同じ意味を表しています。 Σ【n=1~∞】ψ_n(x)(ψ_n(x))^*=δ(x-y)を持つ時 関数系ψ_n(x)が完全系(あるいは完備系)をなすといいます。
補足
ご回答ありがとうございます。 univ-kyotoさんのおっしゃる式が一瞬規格直交条件に見えたので、少し自分でも調べてみました。 http://maverick.riko.shimane-u.ac.jp/files/quant5x/node6.html に確かにその式が完全性だと載っていました。 しかし、なぜこれが完全性を意味しているのかがわかりません。 ネット上でいろいろ見てみたところ、完全系とは~である。という説明が何種類かあって、意味が分からなくなりました。結局定義はなんなんでしょうか。 ・Σ【n=1~∞】ψ_n(x)(ψ_n(x))^*=δ(x-y)を持つ時 ・任意の関数がその関数系の級数展開の形で展開できる ・パーセバルの等式が成り立つとき完全系という ・Wikipedia の 直交関数列の項の最後に書いてある定義 ・集合Aの任意のコーシー列がA内に収束するときAを完備であるという 実際のところどういうようなイメージを持っていればよいのかわかりません。おそらく最後の「任意のコーシー列が収束する」という定義が数学的に正確な定義だとは思うのですが。 イメージとしては「任意の関数が級数展開の形で書ける」というのが分かり易くはあります。
補足
丁寧なご回答ありがとうございます。 「距離空間の集合が完備」というのと、「正規直交系が完全系(完備)」という概念を2つに分けて説明いただいていますが、この2つには何か関係があるのでしょうか? たとえば、 ”「距離空間の集合が完備」というのは、「正規直交系が完全系(完備)」という概念を拡張したものである” というような事だと話がわかりやすいのですが。 「コーシー列の収束性」の定義のほうがよく分かってないのですが、とりあえず正規直交系の完全性のもっと一般的な概念だというように簡単に理解してしまいたいという勝手な願いです^^;