- 締切済み
動機付けについて。
動機付けというのは、具体的にどんなものでしょうか。 まず欲求があって、そこから動機が生じるものでしょうか? たとえば、生物が「空腹」だと感じるのは「欲求」で、「食べたい」と感じるのが「動機」でしょうか? 大まかなイメージは出来るのですが、具体的にどういったものが「欲求」で「動機」で「目標」なのかよく分りません。 当方あまり専門知識はなく細かいことは分からないかも知れないので…動機付けについて、簡単な例を用いて説明して下さると嬉しいです。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
みんなの回答
- ruehas
- ベストアンサー率68% (816/1194)
こんにちは。 「動機付け」とは動物が行動を選択するための生体機構であり、これにより行動の「目的」と「目標」が決定されます。 行動の目的を「内的動因」、 行動の目標を「外的誘因」といいます。 そして、動機付けといいますのはこの二つが揃うことによって初めて成立します。 摂食情動では「空腹状態」が内的動因で、「餌の発見」が外的誘因となります。ですが、動機付けといいますのは内的動因だけでは成立しません。ですから、「食欲」といいますのはあらゆる動物にとって先天的な欲求ではありますが、ここに「餌という外的誘因」が発生しない限り具体的な行動を選択することはできないわけです。そして、逆に満腹状態の場合ですと餌を見せても動機は発生しないです。 どうして片方だけではダメなのかと言いますと、それは行動をコントロールするためです。果たして、我々動物の行動といいますのは全てがこれによってコントロールされています。 例えば、発情期で性欲が発生していましても、ここに成熟した異性からの性的刺激が外的誘因として加わりませんと生殖行動は開始されません。これは、内的欲求だけで未成熟な個体や同姓に対して無闇に生殖行動を選択してしまうのでは、それでは種族が絶滅してしまうからです。 蚊のメスは、「水面のきらめき」に反応して卵を産み付けます。これは抱卵状態が内的動因であるのに対しまして、水のきらめきが外的誘因となります。これにより、メスの蚊はちゃんと水のあるところに卵を産むことができます。 また、鳥は枝ぶりや地形を選んで巣を掛けます。このような、光や地形といった自然界の現象などを本能行動の外的誘因とし、あたかも機械的な信号のように用いることを特に「信号刺激(サイン刺激)」といいます。 このように、遺伝的な反射の組み合わせでしかない単純な本能行動でありますが、動機付けが行われることによって自然とその「目的と目標」が決定してしまいます。このため、動物は常にその場の状況に対応した適切な行動を開始することができます。因みに、ひとたび誘因と動因が揃ってしまいますと、今度は欲求を抑えるのがたいへん困難になります。 我々動物の行動には、 「本能行動」 「情動行動」 「理性行動(計画行動)」 があります。 本能行動では誘因と動因は生まれる前から決まっており、その結果は全人類に共通です。これに対しまして、下のふたつは「学習行動」に分類されます。 「情動行動」では生後の個人体験に対し「利益・不利益」の結果が学習されます。例えば、「食べ物の好き嫌い」といいますのは生後の情動体験によって学習されるものです。このため、本能行動で餌といいますのは必ずや外的誘因と決められているのですが、例えばピーマンの嫌いな子供はそれに対して動機付けを行うことができなくなります。 このように、情動行動では体験・学習によって「外的誘因の評価」が変更されます。このため、全人類に共通の本能行動とは異なり、こちらには生後環境の違いによって必ずや個人差というものが反映します。そして、これは生殖行動でも同じであり、「好みの異性のタイプ」というのも、これも生後学習によって獲得される評価基準です。では、ましてや恋愛感情といいますのはたいへん強い情動反応でありますから、この場合は特定の恋人だけが外的誘因と判定されることになります。果たして、正に「恋は盲目」ですね。 幾らお腹が空きましても、動物は目の前に「餌」という外的誘因が提示されませんと行動を選択することができません。ですが、我々は「台所に行けば何かあったはずだ」、といったように、学習記憶を基に行動を起こすことができます。そして、このような学習記憶を基に未来の結果を予測して行われるものを「理性行動(計画行動)」といいます。ですから、果たして理性行動では目には見えない、あるいは「まだ分からない未来の結果」に対してもきちんと動機付けを行うことができるわけです。 このように、動機付けといいますのは我々動物がその行動を成立させるための生体機構です。ですが、具体的にどの組織や臓器の反応なのかというのはみんなバラバラですので、一般的にはその「過程」を指す場合が多いです。
お礼
ご回答ありがとうございました。 お礼が遅くなってしまってすみません。 詳しく書いて下さって本当に感謝です!