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微分幾何に強い方への質問:追跡線について
- 微分幾何に強い方への質問です。石を引っ張りながら真っ直ぐ進む時の軌跡である追跡線について教えてください。
- 追跡線(トラクトリックス)とは、石を引っ張りながら真っ直ぐ進む時の軌跡のことです。
- 追跡線には円や直線といった性質を持つものが存在しますが、それ以外に存在するのでしょうか?
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追跡線について誤解してたので大幅訂正します。 結論的に全ての問に否定的に証明します。 曲線x(s)をなめらかとし、弧長パラメーターsで表示する。 平面曲線であるから捩率=0である。 従って、xの単位接線をt、曲率をk,単位主法線をnとすると、 x' = t t' = kn n' =-kt をフレネの公式より得る。ここで ' はsでの微分を表す。 xから接線方向へaだけ先の曲線y,法線方向へaだけ先の曲線zは y = x + at z = x + an である。ここでaは非零とする。それぞれsにおける一階,二階の微分 y' = t + ak n (y-1) y'' =(-ak^2) t + ( k+ak')n (y-2) z' =(1-ak) t (z-1) z'' =(-ak') t + k(1-ak) n (z-2) をフレネの公式より得る。 以上の準備のもと、問は次のように整理されます i) y が直線 ii) y が円 iii) z が直線 iv) z が円 のそれぞれの場合に対し、xの属する曲線の合同類を求めよ。 証明中で、もっとも重要な原理は、弧長パラメーターsをとった曲線はsの始点の違い(パラメーターの取り方に関する唯一の自由度)を除いて曲線の曲率,捩率が一致するとき、それらは互いに合同。 たとえば、曲率一定な平面曲線は円弧、曲率が0の平面曲線は直線に合同。 平面曲線を考えているから、考える曲線の捩率はすべて0となる。 証明方針としては、曲率に関する必要条件をもとめて場合を限定していき、すでに分かっている事実で尽くされるという形で証明します。 (i)yが直線ならば 座標系を原点がyの表す直線上にあるようにとる。 このとき、yは定ベクトルvとスカラー関数hよりy=hvとなる。 yをsで1,2階微分すると y' = h' v = t + ak n (1) y'' = h''v =-ak^2 t +( k+ak')n (2) ここでhに関し次の二つの状況に分けます。 i-a).hの第二微係数の零点はsの定義域上、稠密に存在。 i-b).hの第二微係数がある区間で非零なるものとする。 なお、二つの状況は全ての場合を尽くしている。 i-a).hの第二微係数の零点はsの定義域上、稠密に存在。 h''=0ならば、(2)より 0 = h''v =-ak^2 t +( k+ak')n であり,t,nが一次独立だから、 -ak^2=0 ゆえに、k = 0となる。このような点は定義域で稠密に存在するが kはなめらかだから、定義域の全ての点でk=0。 ここで、xの曲率、捩率は0となり、xは直線となる。 i-b).hの第二微係数がある区間で非零なるものとする。 その区間内に話を限定する。 このときr=(h'/h'')とおき(1),(2)から r(t+ akn)=-ak^2 t +( k+ak')n と書ける。t,nは一次独立だから、 r = -ak^2 rak = k+ak' 整理すると、 k'=ak^3 - (1/a)k 後者の常微分方程式を解けば k=+ -1/√(exp(2(s+c)/a)+a^2) である。ここでcは任意定数。(両辺をk^3で割り、L=1/k^2で変数変換しLに関する非同次線型微分方程式に帰着する。その解をkに関して解く) これはkについての必要条件であり、sに関し始点(パラメーターの取り方)の違いを表すcを無視すれば、 合同の視点で異なるニ曲線(曲率の正負が違う)に話が絞られたことになる。 一方、追跡線は合同の視点に対し異なる二つの曲率をもつ二つの曲線に分類される。 それは、質問中での例である追跡線と、それをy軸に対称にした曲線(これも当然追跡線だが、曲率は元のものに負号がつく)である。 たとえば、 Yates, R. C. "Tractrix." A Handbook on Curves and Their Properties. Ann Arbor, MI: J. W. Edwards, pp. 221-224, 1952. などを参照されたい。 追跡線はi-a).の場合ではなくi-b).の場合であり、かつ異なる二つの曲線をもつから、i-b).の場合は、これに尽くされる。 i-b).で話をある区間内に限定したが、曲線の区間をi-a).,i-b).の違いで分けていくと、曲線は追跡線と直線の滑らかな接続となる。 一方、追跡線と直線は滑らかに接続できず、異なる二つの追跡線も滑らかに接続できない。 結局、i)の条件の曲線は直線か追跡線でなければならない。 ii)yが円のとき 座標系を円yの中心が原点なるようにとる。そのとき、yが円上にあるから、 y と y' は垂直 y と y'' は平行 となる。一方垂直なニベクトルは内積を0にするから、 (y' , y'' ) = 0 これと(y-1),(y-2),およびt,nが直交することを用いれば、 a^2 k^2 k' = 0 を得る。すなわち k = 0 or k = const(k' = 0) 前者のときxは直線であるが、yが円にならない。 後者のときxは円弧である。 したがって、xは円であることが必要で、一方、円は条件を満たす曲線であるから、これで尽くされる。 iii)zが直線のとき i)同様の記号を使って、 z = hv z' = h' v = (1-ak) t (1) z''= h'' v = (-ak') t + k(1-ak) n (2) ここでhに関し次の二つの状況に分けます。 iii-a).hの第二微係数の零点はsの定義域上、稠密に存在。 iii-b).hの第二微係数がある区間で非零なるものとする。 なお、二つの状況は全ての場合を尽くしている。 iii-a).hの第二微係数の零点はsの定義域上、稠密に存在。 このとき、(2)から 0 = (-ak') t + k(1-ak) n t,nは一次独立から、 k' = 0 and k = 0 or k = 1/a kは滑らかだから、第一式よりkは定数。よってkが0、1/aにあわせて xは直線か円となる。円は不適当だから、このときは直線となる。 iii-b).hの第二微係数がある区間で非零なるものとする。 その区間内に話を限定する。 このときr=(h'/h'')とおき(1),(2)から r(1-ak)t = (-ak') t + k(1-ak)n t,nが一次独立だから、nの係数をみると k = 1 or k = 1/a 故に、iii-a)同様。 結局iii)のとき、曲線は直線であることが必要で、これは十分でもある。 iv)zが円のとき ii)と同様の座標系をとるとき、同様に推論して (z' , z'' ) = 0 である。(z-1),(z-2)とt,nが直交するから (1-ak)(-ak') + k(1-ak) = 0 したがって k = 1/a or k = ak' 前者は円。 後者はk = exp((s+c)/a)である。 この曲率をもつ曲線は、一点(極限点)に回転しながら落ち込む曲線で、s -> -∞ では発散し、非有界である。 zの作り方から、xはzからa以内の距離にある点からなってなければならず、この曲線は不適当。 結局、iv)の場合は円のみに限る。 iv)の議論は少し横暴で、sの定義区間を制限してやれば、可能性はありそうなきがします。おそらく、そのときs-> ∞におけるxの極限がzの中心となり、その半径はaとなることでしょう。 従って、iv)に関してはsの定義区間が実数軸全体なる曲線xにおいてという制限付きでの証明です。
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- nsaf
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前者の二題を証明します。 曲線を助変数表示のx(s)なる形で表し、各成分はなめらかとします。 ここで助変数sとしては弧長をとります。そのとき|dx/ds|=1が成立します。 このとき追跡線Tr(s)はTr(s)=x(s)+a*(dx/ds)(s)と表せます。 (i)追跡線が直線のとき 追跡線が直線であるから、Tr(0)を原点にとりベクトルvをつかい Tr(s)=v*s = x(s) + a*(dx/ds)(s) 両辺をsで微分しdx/ds = uとおけば du/ds = -(u-v)/a である(a=0のときは自明)。これを各成分ごとにわけて解けば、 u = v + c*exp(-s/a) となります。ここでcは任意の定数ベクトル。さらに、dx/ds = uをxについて解くと、 x = v*s - a*c*exp(-s/a) + v' ここでv'はある定数ベクトルであるが、v*s=x(s)+a*u(s)に代入し整理すると、 v' = -a*v すなわち、 x = v*(s-a) - c'*exp(-s/a) となります。ここでc'は任意の定数ベクトル。逆に、このx(s)の追跡線が直線v*sなることは簡単な検算でわかります。c'を非零にとれば、この曲線は直線ではないが、追跡線が直線となります。 (ii)追跡線が円のとき 追跡線の半径を1、中心を原点とする座標系をとり、aの尺度を適当に変えておく。このとき、 Tr(s) = exp(i*s) = x + a*(dx/ds)(s) となる。(複素座標で表してますが、ただ表式を簡単にするためです) exp(i*s) = x + a*(dx/ds)(s) ………(1) の一つの解は円c(s)である(半径1/√(a^2+1)の円)。つぎにこの斉次式 x + a*(dx/ds)(s) = 0 の解は、先と同様にして x = - c'*exp(-s/a) ………(2) である。(1)の任意の解y(s)と円c(s)の差y-cは(2)を満たすから y = c - c'*exp(-s/a) を得る。逆にこれが(1)を満たす事も直ちにわかる。よって円以外の曲線も追跡線を円としうる。 追跡線から元の曲線を求める時は- c'*exp(-s/a) の項だけの自由度があるみたいですね。 後者の二題も二階微分方程式で同様に出来ると想定してます。