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キケロの格言の原文
キケロの格言で「書物なき部屋は魂なき肉体のごとし」の原文(ラテン語)か英訳を知りたいのです。 検索をしてあちこちのサイトを探してみましたが見つかりませんでした。どなたか原文か英訳をご存知の方いらっしゃいませんか? もしくは、この格言の原文を紹介しているサイトをおしえていただけませんか? 社内報を作っているのですが、海外法人向けにこの格言の原文か英訳が必要なのです。
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身体(からだ)と肉体(にくたい)は日本語では、あまり区別をしていません。しかし、例えば、「身体の欲求」というと、水や食物への欲求を考え、「肉体の欲求」というと、性的な欲求のような感じがします。「身体の欲求」で性的な欲求も含まれますし、「肉体の欲求」で、水や食物への欲求もありますが、しかし、どこか違うはずです。 英語やラテン語、ギリシア語などでは、整然と、四つの区別があります。これはキリスト教の考え方なので、フランス語やドイツ語でも、これに対応する区別はあります。 二つづつが対になって、四つの要素が人間を作っていることになります。対の一つは、「霊と肉」で、もう一つは、「魂と身体」です。 英語、ラテン語、ギリシア語で、この四つを言うと: 英語: 霊 spirit 肉 flesh 魂 mind, soul 身体 body ラテン語: 霊 spiritus スピーリトゥス 肉 caro カロー 魂 anima アニマ 身体 corpus コルプス ギリシア語: 霊 pneuma プネウマ 肉 sarks サルクス 魂 psyuche プシューケー 身体 soma ソーマ こういう風になっています。 肉体と身体の違いは、「身体・体」は、人体・物体・天体の「体」が,英語なら body で表現されるのです。human body, material body, heavenly body というようにです。しかし、「肉 flesh」は、「肉体」の場合、人間にしか使いません。「犬の肉体」「牛の肉体」とは言わないのです。英語で、flesh を使うと、「犬の肉」「牛の肉」になります。 ラテン語の corpus は英語に入っていますが、身体・死体という意味以外に、構成体のような意味があります。corporation は corpus の派生で、企業とか事業体です。flesh や caro にはこんな用法はないのです。 霊と肉は根本的に対立し矛盾し合います。肉は塵となって滅び、霊はこれを授けた神に帰るのです。魂と身体は、そのあいだにあるとも云え、身体は肉からできているが故に滅び、霊から離れたが故に、魂は滅びるのです。 キリスト教は、「霊肉の復活」ということを言いますが、霊は滅びることがなく、肉は滅びの原因です。肉に支えられていない身体、霊と離れない魂が復活し、永遠の命を得るのだと考えます。キリスト教の教義とは違っているかも知れません。 キリスト教は、人間について、四元構成論になります。神は、純粋形相であり、無限の本質から成ります。神は善であれば、神の本質はすべて善です。対して、無限に本質に欠ける、本質を備えない純粋な質料とも云える基体は、無限の悪だとも云えますが、しかし、神は存在であり、存在は善であるので、基体は、最低の善であるとなります。 霊は神とも比喩でき、肉は基体とも比喩できます。神の霊が限定されるとき、限定によって善は失われ、これが人の魂であり、肉体は限定され、限定によって善を得、これが身体であるとなります。 抽象的な話はともかく、何故四元構成になるのか、よく分からないのですが、多分、上でも述べたように、「肉体の救済」を教義とすると、肉は救済されないが故、肉の上の身体の形相が救済されるのだと考えざるを得ません。人には意志の自由が神に倣ってあるが故に、魂があり、魂は、それ自身と身体を救済させる選択を選ぶことができるのです。 人間の身体(ソーマ)、「わたしの身体」とは言うのですが、「わたしの肉」とは言わないのです。肉には個別性がなく、普遍だとも云えるからです。「肉体」は肉と身体の合成だとも云えるのです。犬の肉体、牛の肉体がないのは、彼らの肉が、霊肉の矛盾の外にあるからでしょう。 「魂も身体も救われて天国に入る」とは云えても、「魂、身体、肉が救われて」とは言わないと思うのです。「肉体を持って天国に入ることはできない」イエズスは、妻の死後、再婚した人の例で、こういう人は天国ではどうなるのか、とパリサイ派にきかれて、天国はそのような場所ではない、と答えました。 天国では、魂と身体が復活し、先の妻も後の妻も復活するが、その関係は、肉の繋がりに基づくのではなく、魂の相関であるので、身体があっても、矛盾はないという考えだと思います。四元論では、おかしなことが起こるような気がするのですが、他方、四元論にしないと、キリスト教の教義やイエズスの教えは、整合的に捉えられないとも云えると個人的には思います。
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- aster
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これは、それに対応するラテン語の格言のような言葉が一応ありますが、岩波の「ギリシア・ラテン引用辞典」に出ていないので、参考URLのページをよく見ると、キケローに帰せられているが、多分違うと述べています。 Chris Brunelle という人物が、キケロの「De me」という著名な著作から引用したとしてあげているが、キケローにそのような言葉はないということです。しかし、英語圏では、英語の "A room without books is like a body without a soul." のキケローによるラテン語原文として考えられているとあります。 従って、正確には、キケローのものではありませんが、英語圏で、そう考えられているラテン語文章は次のようなものです: >"Ut conclave sine libris, ita corpus sine anima." これは、「本のない部屋は、魂のない身体のようなものである」というような意味です(肉体ではなく、身体です。corpus も body も身体であって、肉体ではありません)。 >Latin-L: Re: [LATIN] Cicero and Books >http://omega.cohums.ohio-state.edu/hyper-lists/latin-l/00-11-01/0090.html
補足
ご丁寧にありがとうございます。 ウェッブで散々探したのですが、ラテン語でこの格言はでてこなかったので、「あれ?」とは思っていたのですが・・ お話がずれますが、肉体と身体、それぞれどのような定義なのでしょうか? 国語辞典を調べてみますと 身体・・人の体。肉体。体躯(たいく) 肉体・・なまみの体。 普段あまり意識せずに「肉体」「身体」を使っているのでasterさんのご指摘でハッとしました。 肉体というとただの肉の塊。身体というと精神が宿っている体?かな?と考えてしまいました。
- iriya-g
- ベストアンサー率63% (47/74)
英語の方だけですが、下記です。 「A Room Without Books is Like a Body Without a Soul.」 -- Cicero
補足
早々にありがとうございました。 時間があまりなかったので、とりあえず英文のみ掲載することになりました。
補足
とても興味深いお話本当にありがとうございます。 ラテン語もキリスト教も普段は私の世界にないことなのでかなり難解ですがせっかくの機会なのでちょっと勉強してみようかな?と思いました。 あまりにも深すぎてちょっと、、というレベルのものではなさそうですが!