こんにちは。
仕事は力に移動距離をかけたものですね。
まず力Fが一定のとき、移動距離がdなら、仕事は
W=Fd … (1)
になります。これは仕事という量の定義です。
次に、力Fがxの関数として関数F(x)のように変化するときには、x軸を細かい区間に分割して考えなければなりません。小さい区間の中ではF(x)は一定とみなせるので、その区間の幅をΔxとすると、その区間での仕事はΔW=F(x)Δxになります。(ΔxはΔかけるxではなくて、ひと塊の文字と思ってください。)
さて、それではx1からx2まで動いたときの全仕事はどうなるかというと、細かい区間での各仕事を全部足し上げればよいですね。区間をn個に分けたとき、x軸を分割した各点は、
x(k) = x1 + k Δx
と書けます。ここで、k=0,1,2,…,n であり、Δx=(x2-x1)/n です。
とくにx(0)=x1, x(n)=x2 になりますね。
x(k)~x(k+1)での力Fは一定値とみなすことができるので、x=x(k)での力の値F(x(k)) に等しいとしてよいので、(1)の式を使うことができ、この区間での仕事 ΔW(k) は、
ΔW(k) = [x(k+1)-x(k)] × F(x(k)) = Δx F(x(k)) … (2)
と書けます。全仕事 W は、各区間での仕事ΔW(k)の和なので、
W = Σ_{k=0}^{n-1} ΔW(k) … (3)
になります。ここで、Σ_{k=0}^{k=n-1} はΣの下に k=0、上にk=n-1です。(3)式は、
W = ΔW(0) + ΔW(1) + ΔW(2) + … ΔW(n-2) + ΔW(n-1)
と書くのと同じことです。(2)を(3)に代入すれば、
W = Σ_{k=0}^{n-1} Δx F(x(k)) … (4)
ここで、数学で習った積分の区分求積法の式を適用します。(ほんとうはその式が積分の定義です。)それは、
∫_a^b f(x) dx = lim_{n→∞} Σ_{k=0}^{n-1} f(x(k)) Δx … (5)
で、ちょうど(4)はその形をしています。積分の値が y=f(x) の曲線の下側の面積になるというものですね。x軸の下側に曲線がある部分の面積はマイナスの符号がつきます。
(5) を (4) に適用すると、
W = ∫_{x1}^{x2} F(x) dx … (6)
になります。
さて、平均のことですが、平均は足して足した数で割ればよいので、この場合、
Fバー = Σ_{k=0}^{n-1} F(x(k)) / n … (7)
と定義するのが便利そうです。両辺に (x2-x1)をかければ、(x2-x1)/n =Δx に注意して、
Fバー × (x2-x1) = Σ_{k=0}^{n-1} F(x(k)) Δx = ∫_{x1}^{x2} F(x) dx = W … (8)
になり、ご質問文の最初の式が導出されます。
(7)式は Fバーの定義式ですが、このまま (x2-x1) をかけて (x2-x1)で割ってもよいので、(8)と同じように考えれば、
Fバー = [ Σ_{k=0}^{n-1} F(x(k)) (x2-x1)/ n ] /(x2-x1)
= ∫_{x1}^{x2} F(x) dx / (x2-x1) … (9)
になるので、これを定義としてもよいわけです。(7)式には n がとても大きいという但し書きがつきますが、(9)に書けばそのままnを大きくした結果ですから、いちいち但し書きを書く必要がなくて、(7)よりも(9)を定義と考えるほうが便利です。
> 位置エネルギーは仕事のFを-Fにしたものですが、その理由も教えてください。
xにある質点にF(x)の力が働く場合を考えます。
いま質点を手でもって動かし、力F(x)に反して点x1からx2まで質点を移動させることを考えます。質点に働く力はF(x)なので、手の加える力は -F(x) + ε になります。
ここでεは、手の力のほうが質点に元々働いている力よりも、ほんの少しだけ強くないと質点が動かないので、付け加えています。
今は質点の速度が非常に小さくなるように、εは非常に小さくとります。
手のした仕事は、(6)式を適用して、
W = ∫_{x1}^{x2} ( - F(x) + ε ) dx
になります。これが質点の運動エネルギーと位置エネルギーになるわけですが、ε→0の極限をとることにより、運動エネルギーは無視できます。従って、
(位置エネルギー) = (手のした仕事、ただしε→0) = - ∫_{x1}^{x2} F(x) dx
が得られます。