- 締切済み
サイクリックボルタンメトリーでの電極表面粗さと過電圧、電流強度の相関について
現在ある手法で作製した炭素膜を電極に適用する開発を行っています。サイクリックボルタンメトリー(CV)での過電圧を減少させ、酸化還元電流ピーク強度(反応速度)を向上させる為に電極を研磨し、電極最表面の絶縁物を除去するのが常識となっている様で、私も試してみました。なるほど確かに過電圧が小さくなり、酸化還元電流ピーク強度も増大しました。 また、当然ながら研磨後の電極表面粗さ(触針測定)は小さくなり、電顕を見ても微小な凹凸が減少し、カーボンが上手く伸びて平らになってる事が視覚的にも確認出来ました。 そこで質問ですが、電極表面の凹凸は特性に寄与しないのでしょうか。研磨前の小さな凹凸が気になります。研磨後は電極面積が明らかに減少している事から、電流ピーク強度がむしろ減少しても良さそうですし、研磨前の電極表面の凹凸が電気二重層由来の静電容量を生み出し、これが過電圧の元となっているとも思えます。研磨効果の全てを絶縁膜除去によるものと考えて良いものか、今ひとつ納得できません。どなたか表面の凹凸とCV特性の相関について知見、考察のいただける方はいらっしゃらないでしょいうか。当方が今考えているのは、未研磨電極のUV照射による絶縁膜の除去で凹凸を残したまま特性が向上するかどうか凹凸と絶縁膜の要素を分離して考える実験をしようと思っています。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
みんなの回答
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3294)
ある程度の大きさを持つ電極で CV を取るときの,溶液側の反応物/生成物の濃度プロファイルを考えてみればわかります.CV 電流の流れ方は電極上での電荷移動反応そのものに加え,溶液内での反応物/生成物の拡散過程が大変重要です.この問題をきちんと理解しないと,CV による評価は無理です.適当な教科書をよく読んでください. 結論としては,拡散層の厚みは通常の電極の凹凸に比べてはるかに大きく,微細な (10μmとかそういう次元以下) 電極の凹凸は拡散現象についてはほとんど意味をなさないのです. また,電気二重層容量は過電圧には関係ありません.なぜなら通常の反応物は内部ヘルムホルツ層に接する辺りまで来れば,事実上フリーパスで電子がトンネルできる状況になるからです.実際問題として,電極反応を表す電荷移動抵抗は二重層容量と並列に入る等価回路モデルで,多くの電極反応系は記述できます.
お礼
いつも貴重なアドバイスをありがとうございます。何冊か本を見て電極反応を表す等価回路を見つけまして、イメージをつかむ為の勉強中です。電気二重層は1nm程度で電子の授受が容易に起きる距離であり、反応はたやすく進み、反応時にこの部分で過電圧が発生する事は無い事が分かりました。これからもよろしくお願い致します。