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芳香族性について
(1)Cyclohexane-1,3,5-trioneは芳香族でしょうか? また、(1)の構造でC=O以外のCがNになった (2)1,3,5-triazinane-2,4,6-trioneは芳香族でしょうか? (3)3H-1,2,4-triazol-3-oneはどうなんでしょうか? ヒュッケル則を環に適用するとき、こんがらがります。 特に環にC=OがあったりピリジンNとピロールNが あったりすると。
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(2)に関しては、別の見方を説明します。一般にアミンは非平面構造であるのに対して、アミドは平面構造を持ちます。これは、C-N結合に二重結合性があるためと説明されます。 1,3,5-triazinane-2,4,6-trioneも平面構造と考えられ、C-N結合の間には二重結合性があると考えられます。 すなわち、便宜的にC-N結合は単結合で表記されますが、これを単純な単結合と考えることは出来ないのです。 つまり、この分子を単一のケクレ式で表すならば、1,3,5-triazinane-2,4,6-trioneで表さざるを得ないでしょうが、それがこの分子の性質を完全に表現しているとは考えない方がよいと思います。 一部かも知れませんが、6π電子系で芳香族性を示すような共鳴形があり、その寄与に基づく安定化が起こっていると考えられます。 いささか歯切れが悪いですが、芳香族性による安定化はあるだろうが、完全に芳香族といってしまうのは躊躇するといったところでしょうか。 (3)については小生が構造を勘違いしていたようです。申し訳ありません。 確かに、この構造で、6π電子系を考えるのは少々難しいですね。無理に考えようとすれば、酸素上に+の形式電荷を持ってきて、カルボニル炭素上に-の形式電荷と2個のπ電子を割り振ってやれば可能ではあります。 ただし、これは分極の方向が逆になりますので、寄与は非常に小さいでしょうから、芳香族ではないと考えた方がよいでしょうね。
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思いついたことがあるので、再度補足します。 (2)に関しては、以下の説明に基づいた共鳴極限式を書くと芳香族性をもつ、すなわち6π電子系になることがわかると思います。 すなわち、3本のC=Oの二重結合を全てC-O単結合とし、酸素上に-の形式電荷を書きます。 次に、C-N結合を1本おきにC=N二重結合にします。こうすることによって、ベンゼンのケクレ構造と類似の構造になります。この環を形成しているNは4本の結合を形成しているはずですから、それぞれに+の形式電荷を与えることによって、分子全体の電子数の整合性が保たれます。 この、共鳴極限式では、環上の全原子に1個づつのπ電子が来ることになり、6π電子系の芳香族化合物になることがよくわかります。 当然のことながら、この共鳴極限式も分子の性質に寄与をしますので、(2)が多少なりとも芳香族性を持つことになります。 (3)に関しても、同様にC=Oを単結合にし、酸素上に-の形式電荷を持たせてやれば、ピロールに似た構造式が書けるはずです。
補足します (2)軌道に関してはp軌道が環状かつ同一平面上に配列することが必要です。空軌道であってもかまいません。その軌道が使われればそこに電子が入ります。 ここでは、3個のN電子が各2個ずつの電子を提供するので合計6π電子になります。 「Tautomeric Check」というのが何を意味するのか小生にはわかりませんが、ここでは、互変異性体ではなく、少なくとも形式的にはC=Oの二重結合があり、N-H結合もあります。その点で(1)とは異なっています。 空軌道であっても2p軌道は必要です。これがなければ、芳香族性に必要な「環状のπ電子系」ができません。すなわち、2p軌道を持たない原子が環の中に入ってくると、そこで環状のπ電子系が切れてしまうからです。 (3)ここでの3個のNのうちで、ピリジン型になっているものは1個のみです(=N-となっているもの)。 残りの2個(-NH-となっているもの)は「ピロール型」で、各2個のπ電子を提供しています。 ここで、「ピロール型」を説明します。ピロールは5員環のヘテロ芳香族化合物です。この分子において4個の炭素原子はsp2混成で各1個のπ電子を提供しています。また、N原子もsp2混成であるので、2個のπ電子を提供することになります。その結果、合計で6π電子系になっています。 Nはsp2混成ですので、この分子は平面状になります。 見かけ上、Nは3個のσ結合を形成していますので、アンモニアのようにsp3混成を取ることも可能なのですが(その場合、分子は平面状にはなりません)、そうはならずに、sp2混成となり、残った2p軌道(2個のπ電子を含む)を、芳香環形成のために提供しているわけです。そうすることによって、芳香族性にともなう安定化を得ることができるからです。 このように、N原子の提供できるπ電子の数は状況によって変化することになります。
補足
(2) 1,3,5-triazine-2,4,6-triol 形の時・・・ 3個のピリジンNが各1個ずつの電子を提供するので合計6π電子になりそうですね。 でも 1,3,5-triazinane-2,4,6-trione 形の時・・・ 3個のピロールNが各2個ずつの電子を提供するので合計6π電子・・・。(隣接カルボニルCの空軌道込み) 「Tautomeric Check」はドロー系ソフトの機能で、どの構造が安定か教えてくれるものです。 このソフトでは1,3,5-triazinane-2,4,6-trione 形が 安定とでて、理解に苦しみます・・。 (3)3個のN全てが、ピリジン型のはずなのですが。。
(1)に関しては、CH2の部分にp軌道(あるいはπ軌道)がないので、環状のπ電子系を形成することができませんので、芳香族ではありません。 ただし、これの互変異性体である1,3,5-トリヒドロキシベンゼン(フロログルシン)は芳香族化合物であり、現実問題としては、Cyclohexane-1,3,5-trioneは存在せず、1,3,5-トリヒドロキシベンゼンになってしまうのではないかと思います。 (2)は少々、判断に迷うところですが、仮にC=Oを(C^+)-(O^-)(ちょっとわかりにくいですが)のように、C-O結合が完全に電離した状態を考えるとするならば、この炭素原子は空の2p軌道を提供できます。 その一方でNHのNがsp2混成で、それに加えて残った2p軌道に2電子が入った状態を考えれば、全体として、3個の2p空軌道と、3個の各2電子の入ったN上の2p軌道が、環状の6π電子系を構成することになり、芳香族性を有すると考えることができます。 しかし、3個の酸素上に負電荷が来ることによる不安定化要因も無視しがたいように思います。 (3)この分子についても、C=Oの分極を考え、N-HのNを「sp2混成+2p軌道の電子対」と考えれば、環状の6π電子系、すなわち芳香族ということになります。なお、-CH=と-N=は各1個のπ電子を提供していると考えます。Nについてはピリジンの場合と同様です。 ヒュッケル則を考えるときのNやOなどの考え方ですが、基本的には芳香族性をもつのに都合がいいように、すなわち4n+2になるようにπ電子を割り振ります。 なぜなら、芳香族性をもつと言うことは、それによる安定化が起こるということですから、電子はできるだけヒュッケル則が成立するような配置を取るのがエネルギー的に好ましいことなのです。
補足
ありがとうございます。 (1)に関して、説明を読み、我ながら愚問だったと思いました。実際にTautomeric Checkしたら御指摘の通り。芳香環の方が安定なのでしょうね。 (2)空軌道が必要なんだということを知りました。(隣接位置に)絶対必要という意味ではなく、重要なのはあくまでも電子の数ということだと思いますが。 しかし、実際にTautomeric Checkしたらなぜかアンチ 芳香環が安定となりました。同じ6環でもCとNで違うのですね。??? (3)5環で、 3個のピリジンNから3個のP 1個の-CH-から1個のP 1個の-C=O-から1個の空P で計4でしょうか? まだ、考え方がおかしいでしょうか?
お礼
毎度毎度、懇切丁寧にご教授いただきありがとう ございます。 いろいろな角度からの説明を読むと、自分にはない 視点(理解が不足しているため)があり新鮮です。