「渾身の」という言葉の使い方
「渾身」を辞書で引くと、「からだ全体。満身」とあり、用例として「渾身の力をふりしぼって」などと出ています。「からだ全体」の「力」を振り絞るのですから、意味は通じますね。
しかし、現在使われている用法のほとんどが「渾身」=「全ての○○を振り絞った」というニュアンスで使われていると思います。
例「渾身の一作」「渾身の問題作」
これだと「全身の一作」……意味がまるで通じません。誤用なのは明白です。
これはまあ、「コンシン」という音から来る「コン」→「込める」「入魂」のようなイメージから来る「誤用の通用」(←という言い回しもなんかヘン)だとは理解できます。
それではいつごろから「渾身」が今のような使われ方をするのが多数派になったのでしょうか。
ちなみに青空文庫を検索しても、現在のような誤用をしているものはありませんでした。
また、私の小学生時代(約35~40年前)にも、ほとんど見かけなかったと思います。
やはり、ワープロの普及や、ネットの普及によって素人の言葉遣いが世に蔓延するようになり、言葉を知らないマスコミ業界人が増えた……という時代に沿っての現象なのでしょうか。
いろいろな視点からのご意見をご教示願いたく思います。よろしくお願いいたします。