ポピュリズムの反対はエリート主義ですがエリート主義といっても当のエリートがエリート自身の利益を確保するための主義主張ではないです。エリート主義という言葉自体どこから生まれたかはともかく、広い意味ではエリートが社会全体をよくする力を持っている、という政治思想かと思います。現実の社会はそういう面が大きい。たとえば貧困問題もエリートが解決してくれるという考えです。
それに対してその時々の社会がうまくいかなくなつて一般大衆が不満を持ち始めたとき、そういう不満を背景に「エリートは信用ならん。大衆の意見をもっと大事にしろ。いやこれからは大衆自身が政治の主導権を握る時代だ。」と主張されるのがポピュリズムなんだと思います。いつまでたっても貧困がなくならないとしたらエリートに対する不信感が強くなります。ほおっておけば革命的情勢になるかも。そうなったら大変ですよね。
どっちにしろ社会の一部の階層が政治経済の主導権を握っている現実は変えようがないですが、不満を持った一般大衆が在野の指導者を得てなんらかの行動を起こすことはあり得ます。議会制民主主義の下では選挙がありますが、その議会に選挙民の意見が反映されていないと一般大衆が考えたら直接的行動に出る可能性はあります。
それに近いのが少し前のアメリカ合衆国のトランプ支持者の議会占拠です。占拠とまでいかなくてもそういう気分になったアメリカ人は多かったと思います。
不満をもった大衆の意見をまとめ上げる指導者がいるかいないかが大事です。日本の場合はそういう指導者は現在はいません。でも出てくる可能性もあります。出てくれば現実の政治に影響を与えることもあるかもしれません。