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古典翻訳:マキャベリのローマ史論のIIIのXXXV
It is plain therefore that the counsellors whether of a republic or of a prince stand in this dilemma, that if they do not conscientiously advise whatsoever they think advantageous for their city or prince, they fail in their duty; if they do advise it, they risk their places and their lives; all men being subject to this infirmity of judging advice by the event.(書名:Discourse on the first decade of Titus Livius 著者:Machiavelli 英訳者:Ninian Hill Thomson 英訳された年:1883年) http://www.online-literature.com/machiavelli/titus-livius/129/ 拙訳:共和国、または君主の右腕たる者は、くだんの如きジレンマを抱える。つまり、思うがまま都市または君主に有用と思われる意見を申さねば役目を果たせぬし、申したら申したで(失敗した時に)自分の失墜と命の心配をせねばならぬ。人間には結果論で意見の良し悪しを判断する悪癖あるゆえに。 *counsellors:政府の役職に詳しくないので、現在で言うところの何という役職になるのか分からずに適当に書きました。 「君主の相談役」とでもした方がよかったか?? **by the event:想像ですが自分がした意見を実行後に起きた「事件により」って事だと文脈的に思います。 日本政府のコロナ対策が後手後手だの色々言われていますね。マキャベリに言わせれば「結果論でゴチャゴチャ言うんじゃないよ。」ってことなのか?とか思いつつ、、、いつものことながら、、翻訳例をお願い致します。 より平易な表現をすべきか、ありがたい表現にすべきか悩むところです。どっちにしても、all men being subject to~を上手く私はつなげられませんでした。 BAは選べませんが、宜しくお願い致します。
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- Nakay702
- ベストアンサー率79% (10005/12514)
「お礼コメント」ありがとうございます。 >まるで和歌を読んだ後のような、後ろ髪をひかれるような絶妙な哀愁ですね。 >この絶妙さを感じるために和歌も詩歌もあるような気がします。 ⇒例えば、中城ふみ子、健気に戦う『乳房喪失』、「われに似し ひとりの女 不倫にて 乳削(ちそ)ぎの刑に 遭はざりしや古代に」。哀愁を超えて悲愴、なのに愛を生きる喜びを暗示する不思議…。 >何が悲しいかと言えば、結局は「風評」で評価されがちですよね! >結果論でも、キチンとした結果論だったらまだ諦めがつくものの「ただの風評じゃないですか!」と思うと泣くに泣けない助言者が幾人歴史上にいた事でしょうか! ⇒なぜか、カミュ『異邦人』と、不条理を苦悩するカミュ自身の姿が思い浮かびました。「風評」という不条理を憂えるlived in room13さんの心情も察して余りあります。 >私以外にも名訳を求める質問を誰か出してくれないかなと思いました! ⇒本当ですね。楽しい話題は、lived in room13さんのみが頼りです! >簡単な質問ばっかりですからね、、、。 ⇒それでも、たまにですが、はっとするような質問に出会うことはあります。 理解できたという喜びや感謝のコメントを読むのが嬉しいです。逆に、答えに対して何の反応もないと寂しいです。(ただ、こういう人の質問には、答えたことを後悔してか、回答者も減っていくように思います。) ところで、本題に戻りまして、詩的味わいとはほど遠いですが、当時のマキャベリの口調をそのまま日本語にすればこんな感じにもなるかと…。 私訳第3弾: 《事ほどさように、共和制・君主制を問わず議会や君主の相談役たる者は、時にかくの如き板挟みに陥るは明白であります。しからばと申して、市井や君主にとって有益と思われしことを具申せねば、相談役とて名ばかりの無用の長物に堕しかねません。されど、進言の際はまたそれで、己が首と命を差し出す覚悟を持たねばなりません。輿論というはおしなべて、進言の真意より成行き次第で可否を断じるの悪しき習いもありますが故に。》 今回も楽しませていただきました。ありがとうございました。
- Nakay702
- ベストアンサー率79% (10005/12514)
模範訳、有難っぽい訳、分かりやすい・馴染みやすい訳と三役、というか、三訳揃ったところで、第4の訳をお送りします。散文詩っぽい、お遊び訳です。これが四天王の一つになるか、単なるEpigonenになるか、神のみぞ知る…。 私訳第2弾: 《助言者、 諸刃の剣を渡るは宿命にて、 進言なくば木偶、さりとて、 忠言耳に逆らうは常理。 結果の、風評を決するは浮世の理。》
お礼
ご回答ありがとうございます。 まるで和歌を読んだ後のような、後ろ髪をひかれるような絶妙な哀愁ですね。 この絶妙さを感じるために和歌も詩歌もあるような気がします。 最後の一文の >結果の、風評を決するは浮世の理。 そうなんだよな~! 結局はそうなんだよな~!と、思いました。 何が悲しいかと言えば、結局は「風評」で評価されがちですよね! 結果論でも、キチンとした結果論だったらまだ諦めがつくものの「ただの風評じゃないですか!」と思うと泣くに泣けない助言者が幾人歴史上にいた事でしょうか! 私なんかも、いまだに(何十年か前の)ア〇ガン・イラ〇戦争の賛成派と反対派の間を行ったり来たりしていますし、世の中考えれば考えるほどどっちの方がよかったのか分からない事だらけですが、せめてそれくらい悩んだ後で、どうこう言われるならいいのですけど、「風評」で批判されるたり、賞賛されたりばっかりで、どうもな~、って思う事があったりしますもんね。 本当に言い得て妙だと思いました。 >これが四天王の一つになるか、単なるEpigonenになるか、神のみぞ知る…。 Epigonenなんて難しい単語をよくご存じでしたね! 久しぶりに辞書引きました! ところで、いつも思いますのは、、、NakayさんもSPSさんも全然普段は実力の半分も出す必要もない質問に答えていられるようでして、、、私以外にも名訳を求める質問を誰か出してくれないかなと思いました! 本当に、もったいない! せっかくこんな名人がいらっしゃいますのに簡単な質問ばっかりですからね、、、。 どうも今回もありがとうございました! また宜しくお願い致します。 (すいませんが、OKチップが切れてしまいましたので今週分のチップが届きましたら送ります。)
- SPS700
- ベストアンサー率46% (15297/33016)
だからよ。お国のためだろうが王様のためだろうが相談役ってのはさ。こうすりゃあ国のためああすりゃあ王様のためになりますなんていうのが仕事だろ? まともに言わなきゃあちゃんと勤めを果たしたことにならねえ、ところがこの世の中って、その通りにしてうまくいかねえときは、追ん出されるか切腹もんだぜ なあ、分かるだろう?相談役てもなあそういうしがらみから、抜け出せねえってこたあ分かりきってんだ。
お礼
ご回答ありがとうございます。 本当に在米でどうやって日本語のしかも文章力をこれほどまでに高められたのだろうと、毎回思います。 とはいえ、「あっしは、」、「恐れ入り谷の鬼子母神」がでてくるアメリカ人日本語話者のお知り合いもいらっしゃるようなので、意外と日本以上に濃密な和文と関わる機会が多いのでしょうかね? > だからよ。 「これだ!!!!」と思いました! It is plain therefore that なんて英語では言うのでしょうけど、なんかもったいぶって日本語的にはあまり使いたくない言い回しです。 SPSさんのように長い事英語圏に住んでいるわけでもないのに、「文章力がない」というだけで私はこれがでてきませんでした。 >お国のためだろうが王様のためだろうが相談役ってのはさ。 「お国の為」がまさに日本語としてこれ以上なく自然な表現だと思いました。 私は「翻訳調」の文章が嫌いなのですが、頭の中ではどうしても「翻訳調」の文章ばかりが脊椎反射のようにでてきてしまい。こうした自然な表現が出てきません。 >こうすりゃあ国のためああすりゃあ王様のためになりますなんていうのが仕事だろ? うがぁぁぁっ~~~~!バタン!(感激のあまり気絶) そうなんですよ! それを言いたいだけなのに小難しい伝わりにくい表現ばかり私は出てきて困ります。 そう言えば英語圏の外国人の知り合いに昔言われたことがあります。 「日本の漫画を読んでみようかと思ったんだけど「全部同じジャンル」に見えて自分の好みのタイプの探し方が分からない。」と、確かにアメコミは作者ごとに描き方が全然違うのになあとその時思いました。翻訳本ももう少しバリエーションがあって欲しいと思います。(当然私はSPSさん調のが読んでみたいです。) >まともに言わなきゃあちゃんと勤めを果たしたことにならねえ、 >ところがこの世の中って、その通りにしてうまくいかねえときは、追ん出されるか切腹もんだぜ やっぱり、これですよ! これ! これが和文の素晴らしさです! 「お勤め」「切腹もんだぜ」等、英語の名文を読んだ後は「日本語もどんなもんじゃい!」と言いたくなる日本語に訳したくなります。 >なあ、分かるだろう?相談役てもなあそういうしがらみから、 >抜け出せねえってこたあ分かりきってんだ。 「しがらみ」いいですね! やはり翻訳とはいえ、こういう人情味がある文章を読みたく思います。 私の趣味にお付き合いいただきありがとうございます。 また、今後とも宜しくお願い致します。 (OKチップが無くなってしまいましたので、すいませんが今週分が届きましたら送ります。)
- SPS700
- ベストアンサー率46% (15297/33016)
これから起こる出来事の成り行きに首がかかっている、という危ない仕事を抱えているものは、その町や君主に有利だと思われる案を良心的に忠告しなければ、職務を全うしていないことになる、しかしそう進言すれば、誰もみんな地位や命を落とすことになりかねない、という矛盾に、雇い主が国でも王様でもカウンセラーが突き当たることは明らかだ。
お礼
お待ちしておりました! ご回答ありがとうございます。 マキャベリといえばSPSさんの約1年ちょっと前のこのご回答が今でも記憶に残っています。 https://okwave.jp/qa/q9586046.html 1年前は、君主の立場、今回は臣民の立場です。(そして、あの頃はSPSさんが日本語よりも英語が得意な人なんじゃないかと思っていたようです。 今ではもちろん日本語でも名訳をいくつもいただいておりますので、英語も日本語も文章の天才だと存じております。) マキャベリは君主には臣下の意見を聞き出せるようにアドバイスし、臣民には気を付けて意見しましょうとアドバイスするのですから、なかなか考えたなあと思いますね。 今回のお訳は、いつもの人情味あふれたり、もしくは優しさが文章からにじみ出ているものではなく、本当に「下手な事言うとあぶないぞ!」という怖い忠告の雰囲気がしますね。 やはり、自分だけの解釈でなくて他の方の解釈をや訳をいただけると、勉強になります。 いつも楽しみにしておりますので、また宜しくお願い致します。
- Nakay702
- ベストアンサー率79% (10005/12514)
最近、lived in room13さんの読解力にはとうてい敵わないことを如実に実感しております。ただ、私は先人の金言や感動に触れるのが大好きなため、ご質問にはいつも大いなる興味を禁じ得ません。 そんなわけで、今回もまたまた、性懲りもなくしゃしゃり出ました。 以下のとおりお答えします。 私訳: 《而して、公僕たるか侍従たるかを問わず助言者たる者時に二者択一の板挟みにさいなまれるは必須。住民や君主にとって有益と見えしは何であれ実直に具申せねば役目を果せませぬ。しかれど、具申の折は自らの地位と生命を賭すことも覚悟せねばなりませんぬ。人はみな忠言の価値を結果によってのみ判断する性向を持つものでありますれば。》 (少し「ありがたっぽく」訳してみましたが、果たして…!?) >*counsellors:政府の役職に詳しくないので、現在で言うところの何という役職になるのか分からずに適当に書きました。 「君主の相談役」とでもした方がよかったか?? ⇒辞書によれば、ラテン語の《cum-「一緒に」+sedere「座っている(人)」》から派生した語とのことですので、おっしゃるように「君主の相談役」がドンピシャですね! >**by the event:想像ですが自分がした意見を実行後に起きた「事件により」って事だと文脈的に思います。 ⇒まさにそういうことだと私も思います。 >all men being subject to~を上手く私はつなげられませんでした。 ⇒理由を表す「独立分詞構文」ですね。お訳の「人間には結果論で意見の良し悪しを判断する悪癖あるゆえに」は、最高の訳文とお見受けしました。
お礼
ご回答ありがとうございます。 いえいえ私は古典が大好きなだけですよ。 どっちにしても、私は文章力がないので、、、読解はできても翻訳家になる事も教師になる事も夢のまた夢です。 >而して、公僕たるか侍従たるかを問わず助言者たる者時に 私が最初に直面した難関「counsellorsの訳」をこうもお見事に訳されるとは! やっぱりNakayさんは語彙力がすごいですね! 私は「アドバイスする人の役職」を探して検索するも、、、、諦めました、、、。もちろん「助言者」って言葉は知っているのですが出てきませんでした。 >時に二者択一の板挟みにさいなまれるは必須 「ジレンマ」ならもう日本語だと楽して失敗しました。 お訳を読みまして、小説家を目指す人に向けて書かれた本で「五感に訴えた文章を書きましょう。」と書かれていましたのを思い出しました。 ジレンマと書くよりも両方の板に挟まれて苦しむ様が明確に浮かびます。 >住民や君主にとって有益と見えしは何であれ実直に具申せねば役目を果せませぬ。 何を隠そう以前ご回答いただいた「具申」は覚えていたのですよ。 しかし、私にとっては、使い方が難しいスパイスみたいなもので、今回は使わずに「大事に取って置く」事にしてしまいました、、、、。 「実直に具申せねば役目を果せませぬ。」と前後込みで覚えておきます。 >自らの地位と生命を賭すことも覚悟せねばなりませんぬ。 riskですからね、なるほど、そのように訳せば、より原文に近くより分かりやすくなりますね。 分かりやすくしようと思い、私は空回りしちゃいましたね。 >人はみな忠言の価値を結果によってのみ判断する性向を持つものでありますれば。 「~ありますれば。」で終わらせたからなのでしょうか? キチントつながっていますね。 私のは、最後の一文が「異物混入」みたいで、つながらないんですよ。 こうしてお訳と読み比べてみますと私の訳は「一般論」、「自問」、「意見」という混ぜ方をしていたようです。 どうりで「異物混入事件」になったわけです。 Nakayさんのお訳は、一貫して「具申」をされていたので川の流れのようでございました。 お陰様で自分自身の無意識の悪癖に気が付き、また勉強になりました。 そして、やはり名言は名文に訳さないとスッキリしません。今回もありがとうございます。 また宜しくお願い致します。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >『乳房喪失』、「われに似し ひとりの女 不倫にて 乳削(ちそ)ぎの刑に 遭はざりしや古代に」 Nakayさんは、詩や和歌がお上手ですから、お詳しそうですね。 ご紹介いただいた歌も名作です! >なぜか、カミュ『異邦人』と、不条理を苦悩するカミュ自身の姿が思い浮かびました。 何十年も前に高校生だった頃、本屋さんでその本を見かけて興味を持ったのですが、怖くて読めなかったのを覚えています。 ノーベル文学賞をとった名作なので是非読みたいのですが、やっぱり冒頭の母親が死んで何とも思わなかったの箇所が怖く、「食わず嫌いは良くない」と思いつつもいまだに読めない本の一つです。 >当時のマキャベリの口調をそのまま日本語にすればこんな感じにもなるかと…。 武士のような風格が漂う翻訳文をありがとうございます。 マキャベリに関しては、私は一体本当はどんな人物だったのか実は分からないんですよ。 悪名高いマキャベリズムの「君主論」と、その正反対の民主主義や共和制と説いた「ローマ史論」、、、マキャベリは二重人格でも患っていたのでしょうかね? また翻訳者によって口調もだいぶ違います。君主論は小難しい表現を多用しますが、、ローマ史論は「ここ大事なとこなんでもう少しありがたい表現で言ってくれませんか、、、。」と言いたくなるような簡潔な表現が多いように感じます。 (原文のラテン語かイタリア語を読めない事には、、、意見する権利すらないのですが、、、、。) >輿論というはおしなべて、進言の真意より成行き次第で可否を断じるの悪しき習いもありますが故に。 私はどんなに感動できても、またどれほどの名言に出会おうとも、うまく文章化できません。心の中で味わえるのみなのです。 今回も最後の一文を読みまして、何と言いますか「やっと表現できた。いや、やっと日本語表現を聞けた。」と思いました。 Nakayさんは本当に文章の天才ですね! 本当に文章力があるという事は、素晴らしい事だと思います。 これが言いたくて、言葉にできなくて私は何十年も欲求不満を抱えて仕事とは全く関係ない英語を読み続けています。 ちょっと、頭がボーとしていまして、あんまりコメントができずすいません。(高熱はでていますが、咳はないのでコロナじゃないと思います。) 大風邪が治るまで古典翻訳シリーズはお休みです。 また、治りましたら質問しますので、宜しくお願い致します。 今回もありがとうございました!
補足
すいません、大風邪を引きました。 回復して、時間ができ次第お礼コメントを書きます。