- ベストアンサー
共同正犯と共同謀議の違い。
共同正犯と共同謀議の違い。 パール判事回顧録で「B級訴追なら共同正犯の立証を持って有罪」 A級裁判での共同謀議の有無。 テロ防止法での共同謀議。 など使われますが、その関係はどうなのでしょうか。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
パール判事の見解は存じませんので、日本の刑法の解釈で簡単にいいますと、 犯罪"者" は、「正犯」と「従犯」に分けて取り扱われます。従犯は、教唆犯と幇助犯に分かれます。 正犯とは、簡単に言うと、犯罪(構成要件に該当する行為)を実行した「人間」のことです。 なので「共同正犯」とは、心に「共同して犯罪を行うの意思」を持ち、構成要件に定められた「犯罪行為の少なくても一部を実行した」、複数の人間のことです。 主犯に「A地点で待っていて、銀行強盗をした俺が行ったら乗せて逃げろ」と言われて承諾したような、「お手伝い」気分では、「共同して犯罪を行うの意思」があったとは言えないので、正犯ではない(幇助犯)ということになります。 他方、「共同謀議」とは、複数の人間(甲・乙・・・ )が、犯罪を共同で実行することを合意すること、です。つまり、「共同謀議」とは、人間ではなくて「行為」「行動」です。 なので、「共同正犯」は、甲と乙は「共同正犯かどうか」で議論になりますが、「共同謀議」は、あったか・なかったか、で議論になります。 テロ防止法で、甲乙の間でどのような話合い・合意があれば「共同謀議があった」ことになるのかは、今後の議論を待たないと分かりませんが、一般的には、甲乙どちらが欠けても犯罪がおきないような(言い方を変えると、甲乙そろったから犯罪が実行できたような)役割を果たしあえば、共同謀議があったと言って良いのではないでしょうか。 例えば甲が、被害者の行動パターンを調べ上げ、凶器や逃走手段を準備し、乙が計画に従って被害者を殺したような場合は、「甲乙の間には殺人について共同謀議があった」と言って良いのではないでしょうか。 そしてもし、甲と乙の間で、共同謀議があったとすれば、二人とも共同正犯とされます。この場合、「甲と乙は、共謀共同正犯である」と言われることになります。 ちなみに、甲乙双方が、事前に立てた計画に沿って一緒に現場に赴き、被害者の心臓をナイフで刺して殺したような場合は、一々共同謀議の存否を議論するまでもなく、「共同正犯」です。
お礼
とてもわかりやすい回答ありがとうございます。 パール判事回顧録の共同正犯に漠然と違和感感じ、翻訳ミスでは?と漠然と思っていました。 共同謀議、幇助、教唆合わせて共同正犯としていたようです。 数年来の疑問が簡単に氷解しました。 ありがとうございます。