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通常共同訴訟で一方が欠席した場合の判決
- 通常共同訴訟において、被告の一方が欠席した場合について、ウとエの場合での判決の違いについて質問があります。
- ウの場合、訴状がBには公示送達され、Cには通常の手続により送達されていた。第1回口頭弁論期日では、Bが欠席し、Cは答弁書を提出した。裁判所はAの請求を棄却することができる。
- エの場合も訴状がBには公示送達され、Cには通常の手続により送達されていた。第1回口頭弁論期日では、Bが欠席し、Cは答弁書を提出した。裁判所はCに対する請求を棄却することができるが、Aに対する請求は棄却することができない。
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金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求権の主要事実は、おおざっぱに言えば、 1.金銭の返還合意 2.金銭の交付 です。(その他に弁済期の合意も主要事実になりますが、説明を簡単にするため、ここでは省略します。) 保証契約に基く保証債務履行請求権の主要事実は 1.2.にプラスして 3. 1.2.によって生じた債務を保証する合意をしたこと。(現行民法では、書面によることも主要事実になります。) です。以上を前提に設問を検討します。 ウ.の事例 Aは、請求原因として主要事実1.2.を主張しています。これに対して、Bは答弁書を提出せず、口頭弁論にも欠席していますが、Bへの訴状の送達は公示送達によるものなので、擬制自白は成立しません。よって、Bに対する請求が認容されるには、1.2.を証拠によって証明する必要があります。 一方、Cは、2.は自白しているものの、1.については否認しています。したがってCに対する請求が認容されるには、1.を証拠によって証明する必要があります。 裁判所は、証拠調べの結果、1.の事実は認められないと心証を得ましたので、Cに対する請求を棄却する判決をすることになります。 一方、Bに対する請求についても、証拠共通の原則から、1.の事実が証明されていないものとして、これを棄却する判決をすることになります。 エ.の事例 Cは、1.2.3.を自白していますが、BはAに対して、「貸金債務の履行として、200万円を支払った。」と弁済の抗弁を主張し、証拠としてそれを裏付ける文書を提出しています。裁判所は、証拠調べの結果、弁済の主要事実は証明されたとして、Cに対する請求を棄却する判決をすることになります。 一方、Bに対しては、先ほども述べましたとおり、1.2.を証拠により証明しなければなりません。(Cは自白していますが、Bに対する関係では、自白の効力は及びません。) 問題文では事実関係が不明なところがあるのですが、問題文の趣旨は、貸付契約書の写しを証拠調をした結果、1.2.の事実については証明されたという心証を裁判所が抱いたということだと思います。(証拠共通の原則)したがって、Bに対する請求を認容する判決をすることになります。 これに対して、Cは弁済の抗弁を主張して証明もされていると思われるかも知れませんが、通常共同訴訟において、主張共通の原則は採用しないとしていますので、Bへの請求に関しては、弁済の主要事実は主張されていないと裁判所は扱わなければなりません。弁済の主要事実を認定したら、弁論主義違反になります。
お礼
わかりやすい回答をありがとうございました。問題文と本にある解説、及び頂いた回答からやっと理解できました。助かりました。