- 締切済み
熱力の定積比熱と定圧比熱の導入部について
熱力学では、熱の流出入=内部エネルギー変化+外部にする仕事(圧力x体積変化) という事になります。定積比熱の表現は体積変化がないので、内部エネルギーだけで表示できるので極めてわかりやすいですが、定圧比熱になると理解しにくくなります。定圧比熱を表示する式では圧力一定という条件で熱を温度で微分するとか、さらに最終的には定積比熱を使って表示したりします。定積比熱を使って定圧比熱の式を導く解説をお願いしたいのですが。定積比熱は冒頭のとおり、体積一定ということです。圧力一定による変化の一部を体積一定として表現するのかなと思いますが。 また、熱力学の本は必ずこのことを説明しますが、その先にどのような展開があるのでしょうか。例えば、定圧比熱と定圧比熱の差を求めさせたりする教科書がいっぱいあります。他の分野どのように繋がるのでしょうか。なお、流体力学の本にもこのことが書いてありますが、その後の展開がわかりません。状態方程式を使うことはありますが、この部分だけ浮いている感じがします。
- みんなの回答 (4)
- 専門家の回答
みんなの回答
- jamf0421
- ベストアンサー率63% (448/702)
CpとCvを繋ぐ式の導出があればよいのでしょうか?そこそこ手間がかかると思います。 まず熱力学第一法則が dU=dQ+dW=dQ-PdV...(i) です。 T, Vを独立変数としてdUを書けば dU=(∂U/∂T)_vdT+(∂U/∂V)_tdV...(ii) となります。一方 dQ=CvdT+LtdV...(iii) と置きます。ここでCv、LtはT, Vに対する熱係数で、それらの意味は、まずVが一定ならば dQ=CvdT となり、Cvは定積で温度を一度高めるために必要な熱量、すなわち定積比熱、Ltは定温の時 dQ=LtdV ですから、Ltは体積を1単位(1 m^3)大きくしたとき系の温度を維持するために系に加えなければならない熱量、すなわち体積変化の潜熱にあたります。 (ii)を(i)に代入すると (∂U/∂T)_vdT+(∂U/∂V)_tdV=dQ-PdV すなわち dQ=(∂U/∂T)_vdT+{(∂U/∂V)_t+P}dV となります。これと(iii)を比べると (∂U/∂T)_v=Cv...(iv) (∂U/∂V)_t=Lt-P...(v) となります。(iv)でCvとUの定積での温度微分が結びつきます。 次に独立変数をT, Pとすると dU=(∂U/∂T)_pdT+(∂U/∂P)_tdP...(vi) となるのですが、このまま(i)へ入れても見通しが悪いだけです。dVを独立変数T, Pで書いておく必要があります。 dV=(∂V/∂T)_pdT+(∂V/∂P)_tdP...(vii) となります。(vi)(vii)を(i)に入れると (∂U/∂T)_pdT+(∂U/∂P)_tdP=dQ-P((∂V/∂T)_pdT+(∂V/∂P)_tdP) dQ={(∂U/∂T)_p+P(∂V/∂T)_p}dT+{(∂U/∂P)_t+(∂V/∂P)_t}dP...(viii) となります。ところで(iii)にならって dQ=CpdT+HtdP...(ix) と置きます。dP=0の時dQ=CpdTですから、Cpは定圧のときに単位温度上昇させるに必要な熱量、即ち定圧比熱、dT=0の時dQ=HtdPですからHtは定温の時で圧縮するとき系を一定温度に保つために、系から奪わなければならない熱量(圧力変化の潜)で、こちらは普通マイナスです。(ix)と(viii)を比べれば (∂U/∂T)_p+P(∂V/∂T)_p=Cp...(x) (∂U/∂P)_t+(∂V/∂P)_t=Ht...(xi) です。ここでH=U+PVという量(エンタルピー)を導入すれば(x), (xi)は、 (∂H/∂T)_p=Cp...(xii) (∂H/∂P)_t=Ht...(xiii) となります。(xii)でCpとHの定圧での温度微分が結びつきます。 あとは Cp-Cv=(∂H/∂T)_p-(∂U/∂T)_v=(∂U/∂T)_p+P(∂V/∂T)_p-(∂U/∂T)_v...(xiv) の計算です。 さて(ii)より dU=CvdT+(∂U/∂V)_tdV ですから、これをdTで割ってP一定の条件を入れます。 (∂U/∂T)_p=Cv+(∂U/∂V)_t(∂V/∂T)_p...(xv) ここで定圧膨張率α=(1/V)(∂V/∂T)_pを使えば(xv)は (∂U/∂T)_p=Cv+αV(∂U/∂V)_t...(xvi) となります。ついでに(xiv)のP(∂V/∂T)_pもαを使えば P(∂V/∂T)_p=αPV...(xvii) となります。 一方(xiv)でCv=(∂U/∂T)_vですから (∂U/∂T)_p-(∂U/∂T)_v=αV(∂U/∂V)_t...(xviii) となります。(xvii), (xviii)を(xiv)に代入すると Cp-Cv=αV(∂U/∂V)_t+αPV=αV{(∂U/∂V)_t+P}...(xix) となります。 最期に必要なのが(∂U/∂V)_tの計算です。dUをS、Vを独立変数として書くと dU=(∂U/∂S)_vdS+(∂U/∂V)_sdV...(xx) となります。dU=TdS-PdVを知っていれば (∂U/∂S)_v=T...(xxi) (∂U/∂V)_s=-P...(xxii) となります。さて(xx)の両辺をdVで割って、T一定の条件を課すと (∂U/∂V)_t=(∂U/∂S)_v(∂S/∂V)_t+(∂U/∂V)_s =T(∂S/∂V)_t-P...(xxiii) です。(xxiii)を(xix)に代入すると Cp-Cv=αVT(∂S/∂V)_t...(xxiv) となります。ここでMaxwellの関係式をつかえば (∂S/∂V)_t=(∂P/∂T)_v...(xxv) となりますので Cp-Cv=αVT(∂P/∂T)_v...(xxvi) となります。さらに定圧膨張率α=(1/V)(∂V/∂T)_pと圧縮率κ=-(1/V)(∂V/∂P)_t、およびEulerの連鎖式 (∂V/∂T)_p(∂T/∂P)_v(∂P/∂V)_t=-1 を使えば、まずEulerの式より -(∂V/∂T)_p/(∂V/∂P)_t=(∂P/∂T)_v...(xxvii) となり、αとκの式をこれに適用すると (∂P/∂T)_v=α/κ...(xxviii) を得ます。これを(xxvi)に代入すると Cp-Cv=αVT(α/κ)=TVα^2/κ...(xxix) ということになります。
- ddtddtddt
- ベストアンサー率56% (180/320)
#2です。とりあえず訂正です。自分が読んだのは、パウリでなくフェルミの方でした。パウリの本も薄くて良さそうですが(^^)。 本の紹介: https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/fermi.html ↑ には序文が載ってます。読むとわかると思いますが、自分はこの本から非常に影響を受けてます。初版は1973年で、パウリの本と同じロングセラーです。 ところでちょっと思い出しました。CvとCpの関係ですが、以下のような流れではないですか?。 まず気体を考えた時、気体の状態は(P,V,T)で決まるよね?(観察結果)という前提があります。ところが状態方程式があるので(典型的には、PV=nRT)、一個パラメータが多かったという話になります。それで気体の「状態」は、(P,V)か(V,T)か(T,P)で指定できる、と話は進みます。そして(P,V)か(V,T)か(T,P)で決まる量を、「状態量」と呼ぶ事になります。 ここで「状態量」と「非状態量」を、完全微分と不完全微分に対応させる数学的議論があるかも知れません。ここで戸惑う訳ですが、物理的エッセンスは状態量の定義(上記)にあり、完全微分と不完全微分の話は、それらの数学的表現に過ぎません。さらに不完全微分だって、微分計算自体は普通に出来ます。不完全微分では、微分結果に対応する状態量はないよ、というだけです。それを強調するために、d’Wなどの記号を使います(Wは仕事)。状態方程式の出番は、とりあえずここまでです。 熱力学の第一法則より、dU=dQ-dWです。Uは気体の内部エネルギー,Qは熱量,Wは仕事。Wの符号は本によって違います。気体のした仕事を+にするか-にするかの違いです。自分は、気体が仕事をすれば内部エネルギーは減るので、-派です。またQとWが非状態量である事は、おぼえておきさえすれば良いので、d’Q,d’Wとは書きません。具体的な微分計算には影響しないし。 「Uは状態量だ」というのは前提なので「認めろ!」が一番早いのですが、ここで物理的例をあげて、もしくは初等的な分子運動論を援用し、「Uが状態量である事」を説明するかも知れません。 ここまで来れば、後は以下です。 http://eman-physics.net/thermo/enthalpy.html 数学の公式に則って、微分計算を実行するだけです。Cpの式にCvが現れるのは、比熱の話なので状態変数として、(V,T)を取ったからに過ぎません。もし(P,T)を取れば、定圧比熱の式が簡単になり、Cvの式にCpが現れる事になります。
- ddtddtddt
- ベストアンサー率56% (180/320)
解説・・・は、すぐには出来ません(^^;)。 定圧比熱を定積比熱で表すのは、定積比熱は現実的にすぐ測定可能だからでしょう。気体の本当の比熱は、非定圧かつ非定積ですよね?。そのような一般の場合の比熱を、定積比熱からのずれとして表したいという意図はあったと思います。そのような最も簡単なケースとして、定圧比熱が選ばれたのでしょう。しかもたいてい理想気体の状態方程式を使いますよね?。 また#1さんが仰っているように、昔は理想気体かつ定圧または定積で十分間に合っていた時代もあったと思います。そして最も簡単なケースも理解できなければ、他の分野につなげる事もできません。 ところで、 >定圧比熱を表示する式では圧力一定という条件で熱を温度で微分するとか、・・・ は当然ですよね?。比熱の定義は、加えた熱量に対して何度温度が上がるか?から、1度当りに必要な熱量の逆算ですからJ/Kです。熱の温度微分は当然と思えませんか?。 >・・・その先にどのような展開があるのでしょうか。 まず熱力学は、非常に洗練された現象論だという事を理解して下さい。もしかすると初等的な分子運動論などが出てきたかも知れませんが、それはあくまで、理解を助けるための支援だと思っていいです。熱力学は現象論なので、内部で何が起こっているか?は、基本的に無視です。そして経験的に確実と考えられる2つの仮定をおきます(法則,原理と言われてますけど(^^;))。 [熱力学の第一法則] エネルギー保存則:熱の流出入=内部エネルギー変化+外部にする仕事. [熱力学の第二法則] クラジウスの原理:熱は、高温から低温にしか流れない. 熱力学の具体的目標は、上記2つの法則を定量化し数学的表現を与える事にあります。第一法則は、あなたが現在読んでいるところです。第二法則を定量化するための数学的手段として、エントロピーがこの後導入されるはずです。このエントロピーはとりあえず、乱雑さとか統計力学(分子運動論)などとは無関係です。 熱力学のエントロピーがすごく正しそうなので、後で分子運動に基づいてそれを基礎づけた(根拠づけた)のが、統計力学という事になります。 エネルギー保存則とエントロピーを定量的に扱えるようになったら、熱力学は基本的には終了です。もう一回言いますが、熱力学は現象論です。系の内部で何が起こってるのかには関わりません。 そうすると「駄目そうに」聞こえますが(^^;)、エネルギー保存則とエントロピーを組み合わせて用いると、系の内部は「全くわからない」のに、系を外部から観察した時の挙動は概ね予想できという、ある意味非常に強力なツールになる訳です。この方法は、あらゆる分野に適用できます(と考えられている)。熱力学がいまだに現役なのは、そのためです。 熱力学のエッセンスを知りたいなら、次の本をお勧めします。非常にコンパクトで読みやすく、他分野の応用についても書いてあります(エッセンスを)。 ・パウリ物理学講座3,熱力学と分子運動論,ウォルフガング・パウリ,講談社. 初版はたぶん1976年ですが、今でもコンスタントに売れ続けるロングセラーです。
- terminator_5
- ベストアンサー率37% (182/487)
熱力学に限った話ではないですが、何らかの定理や定数が生まれるのにはその当時の産業の発展など、時代の要請に応じて理論が展開され、理論が実証され確立すると更に産業の発展に繋がることがあります。 そうした背景を辿るとなぜこの定理が登場するかの理解も進みますが、新しく理論が展開する内にそうしたことは隅に追いやられ、理論だけが突然展開するように感じてしまうのかもしれません。 答えになっていなくて申し訳ありません。
お礼
回答有り難うございました。 -------------------- >定圧比熱を表示する式では圧力一定という条件で熱を温度で微分するとか、・・・ は当然ですよね? ---------------------------- この部分は、定圧比熱の定義なのでそこから出発して偏微分の操作(変数をいろいろ変えていくとか)、全微分とか数学に委ねるところがあります。これ、数学的に合っているのか?と疑問に思うところがいろいろ出てきて、首をかしげながら読み進めて、行き着いた先が定積比熱と定圧比熱の差とかなのです。何か深淵なものに至るプロセスの中で若干数学的に荒っぽいところがあるが勘弁と言いながら、読み進めて行った先がこれ? というわけです。 お示し頂いた本は図書館で見てみます。