質問内容には「特許が出願されて、公開されています」と記載されていますので、A社の出願は特許を受けていない状況であると考えます。
特許を受けるためには、審査請求、特許査定等、特許料納付といった一連の手続が必要です。出願から3年以内に審査請求をしない場合には、その出願は取下げたものとみなされ、特許を受けることはできません。
質問文からは審査請求等の状況が分かりませんので、この出願が特許を受けられるかは未確定です。
なお、無効審判は特許を受けた後に請求するものですので、特許を受けていない出願に対して請求することはできません。
以下に、状況別の対応を示します。
(1)審査請求がされていない場合
上述したように、出願から3年以内に審査請求をしないと特許を受けることはできません。そのため、審査請求期限までに審査請求がされないことが確認できれば、その後その技術を使用することができます。
一方、審査請求がされた場合には以下の(2)の対応をします。
なお、審査請求期限まで待てない場合には、B社等が審査請求を行うこともできます。ただし、その場合には、A社に審査請求がされたことが通知され、その出願がB社にとって重要であることを知らせることにも繋がります。
(2)審査請求がされた場合
審査請求後には情報提供を行うことができます。情報提供は、その出願が特許を受けられないものであることを特許庁に対して通知する制度であり、出願が特許法第49条各号のいずれかに該当することを示します。
実施例のデータが捏造されたものである可能性が高いということですが、データの捏造だけに基づいての情報提供は難しいと思います。データが捏造されたものであったとしても、その発明が課題を解決でき、実施できるのであれば、特許を受けられる可能性があります。一方、その発明が課題を解決できないことが証明できれば、拒絶理由が通知される可能性があります。
ただ、課題を解決できない発明であれば、B社が不利になることはないでしょうから、一応の課題解決はできるのでしょうか。
なお、一般的には、発明に新規性や進歩性がないことを主張することが多いです。
(3)特許を受けた場合
出願が特許を受けた場合には無効審判を請求し、特許権を消滅させることができます。また、特許公報発行の日から6ヶ月以内には異議申立を行うことができます。これらの場合の理由は、(2)の情報提供の際の内容と同様です。
小野 敦史(@ono630) プロフィール
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小野 敦史 (おの あつし)
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お礼
ご丁寧なご回答ありがとうございます。 審査請求はまだされておりません。 情報提供用の資料を探してみます。