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ドイツ語動詞の名詞化 (愚問かも知れませんが)
語学/文法は話されている言葉、あるいは書かれている言葉を分析して体系化する物でしょう。 その意味でこの質問は変な質問、あるいは意味のない質問かも知れません。 ドイツ語では動詞の名詞化に語幹に -ung を附けるという手法がよく採られます。 他動詞でも、自動詞でも多くの場合に行われます。 ドイツ語ネイティブでない人が使っても、多くの場合通じます。 では再帰動詞にはこの手法は使えないのでしょうか。 使えるとしたら、どのような形になるのでしょう。 これが私の質問です。 頭の中で考えた手法も、外国人には便利なときがあります。 よろしく。
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>妄想にお付き合いいただき有り難うございます。 もうだいぶ前から、こちらにはドイツ語や音楽の質問が激減し、投稿の機会がほとんどなくなりましたので、楽しませていただきます。 動詞を名詞化する接尾辞はほかにもありますね。たとえば-nis。Ergebnis、Erlaubnis、Wagnis。-eiという接尾辞もありますが、Esserei、Schreibereiのように、回数の多さや否定的な意味を含むことが多くなります。 -ungという接尾辞も、再帰動詞の名詞化として機能する場合もあります。たとえばErinnerungです。他動詞としてのerinnernは、「人にあることを思い出させる」という意味で、再帰動詞としてsich erinnernになった時に、「自分があることを思い出す」という意味に変わります。die Erinnerungという名詞は、「人にあることを思い出させること」という意味ではなく「記憶、思い出」ですから、実質上再帰動詞のsich erinnernの方に対応する名詞といえます。die Gabelungなどもそうです。他動詞としてのgabelnは「フォークで刺す」という意味で、再帰動詞sich gabelnは、「(枝、道などが)分岐する」という意味ですが、die Gabelungは「フォークで刺すこと」ではなくて「分岐点」ですから、このまま使えます。このような例は、探せばもっとあるかもしれません。 >オペラ『後宮からの逃走』(Die Entführung aus dem Serail)/モーツァルトの題名は【語学的】には、誤訳だという議論があったからです。 誤訳を指摘したがる人はたくさんいます。たいていは不毛な議論で、根拠が間違っていることもしばしばあります。そして、あくまでも日本語として文学的に訳そうとする人に対して、単純に語学的正確さから誤訳だと騒ぎ立てる人がいます。 Die Entführungは、もちろん「誘拐」という意味で、『後宮からの誘拐』という訳も以前からあります。ただ、日本語で誘拐と言うと、普通は、誘拐されることを望まない人を強引に拉致するイメージです。このオペラの場合は、トルコの太守に売られてしまった許嫁のコンスタンツェを「奪い返しに」いくので、他動詞entführenの名詞化としてのDie Entführungになっています。自分の意志で逃走することを言っているのではないので、sich entführenには相当しません。「逃走」という題にしたければ、全く別の名詞を使って、Die Flucht aus dem Serailにした方が自然ですね。内容的には、許嫁を見つけ出したあと一緒に逃げるので、その時点でsich entführenになりますから、「逃走」と訳しても間違いとは言い切れません。これは、誤訳とかの問題ではなく、「誘拐」と「逃走」の両方を含む状況のために訳しにくいというだけの話ですね。ただ、ドイツ語のEntführungは「誘拐」という意味がはっきりしていますし、喜劇の題名としては「誘拐」の方がふさわしいと思います。 教えてgoo!のサイトで、ドイツ国歌の歌詞の日本語訳が誤訳だという大学教授の指摘が紹介されたことがあります。「世界に冠たるドイツ」が誤訳で、「一番大事なドイツ」という意味だと主張しているのですが、調べてみましたら根拠が滅茶苦茶で、全然お話になりませんでした。シューベルトの『冬の旅』の訳についても質問が出たのですが、ネットを見ると、独自の訳を試み、以前の訳がなぜ適切でないかという自説を述べている人が結構いました。哲学的な解釈をしている大学教授もいました。しかし、検証していくと根拠がおかしいものがかなりあります。誤訳の指摘をするときは、十分用例等を検証してからでないと、自ら墓穴を掘ることになります(笑)。
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- Tastenkasten_
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ずいぶん昔に、ちらっとこのようなことを考えたことがあったような記憶がありますが、さすがに無理だと思います。全く不可能ではないのですが、一般化、体系化はできないので、すべての再帰動詞に自動的に当てはめられる方法というものがありません。 -ungのような接尾辞で名詞化することはできませんが、動詞の不定形を直接名詞化するのと同じ方法で、sichと動詞の不定形を直接つなげるかハイフンでつなげ、中性名詞化することは一応可能です。たとえば、「自己紹介する」という意味の再帰動詞、sich vorstellenなら、das Sichvorstellenと名詞化することはできます。ただ、再帰動詞には3格のものと4格のものがあります。何かほかのものを思い浮かべるときのsich(3格)etwas(4格)vorstellenを、「自己紹介する」という意味のsich(4格)vorstellenと区別して名詞化することはできないので、そのあとに何か付け足さないとはっきりしません。 das Sichvorstellen der Teilnehmer am Beginn eines Seminars. セミナーの始まりで参加者が自己紹介すること das Sichvorstellen eines Dings あるものを想像すること https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei=dbqVVritJIO-0gSGzYD4DQ#hl=ja&q=%22das+Sichvorstellen%22 ただ、こういう用例は決して多くはありませんし、表現としては固いと思います。そして、使うとしても主格が多いのではないかと思います。それ以外の格でも使うことはできます。 3格の例(mit dem Sichvorstellen / nach dem Sichvorstellenなど) https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei=dbqVVritJIO-0gSGzYD4DQ#hl=ja&q=%22dem+sichvorstellen%22 2格の方がまだ用例が多いですね。 https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei=dbqVVritJIO-0gSGzYD4DQ#hl=ja&q=%22des+sichvorstellens%22 「自己紹介する」という意味での名詞なら、ほかにSelbstvorstellungという語があります。あるいは、sich überwindenもSelbstüberwindungという名詞に大体対応すると思います。しかし、再帰動詞のすべてでsichをselbstに置き換え、-ungを付けて名詞化できるわけではないので、自由に作れるわけではありません。また、Selbst-*-ungという形の名詞があったとしても、再帰動詞とは意味が異なることが多いです。たとえば、「興奮する」という意味のsich erregenですが、die Selbsterregungという名詞は、電気用語の「自励式」という意味や性的な意味などに限定されてくるようです。この場合は、das Sicherregenとするしかありませんが、わざわざ名詞化しなくても、普通の名詞、ErregungやAufregungを使って同じような内容を表現することはできると思います。sich befreienなどの場合は、再帰動詞としては「~から逃れる、自由になる」という意味で、いろいろな事柄を対象にして使えると思いますが、das Sichbefreienやdie Selbstbefreiungという名詞は、おもに「心理的解放」の意味で使われています。Befreiungを使った表現でたいていは事足りるはずですから、再帰動詞を名詞化した語の必要性もちょっと疑問です。Ich erinnere mich an etwasも、meine Erinnerung an etwasで十分と思いますが、「思い出す」という行為そのものを言うための名詞となると、やはりdas Sicherinnernを使うしかないと思います。多くはありませんが、用例はあります(das Sicherinnern anなど)。 https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei=dbqVVritJIO-0gSGzYD4DQ#hl=ja&q=%22das+Sicherinnern%22 2格の例(des Sicherinnerns) https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei=dbqVVritJIO-0gSGzYD4DQ#hl=ja&q=%22des+Sicherinnerns%22 3格の例(dem Sicherinnern) https://www.google.co.jp/?hl=ja&gws_rd=cr,ssl&ei=dbqVVritJIO-0gSGzYD4DQ#hl=ja&q=%22dem+Sicherinnern%22 しかしたとえば、「あえて(失礼して)あることをする」という意味のsich(3格)erlaubenをdas Sicherlaubenと名詞化した語は使われていなそうです。もちろん理論的には可能ですし、ネイティブの人が見れば何のことかはわかると思いますが、こういう表現が必要になる場面はまずないのではないでしょうか。 ということで、理論的には、「das Sich+動詞の不定形」による名詞化が使えるケースは結構あるかもしれませんが、コンテクスト上どうしても必要な場合に限られるということ、そして、sichをSelbstに置き換えて-ungを付け加える形で名詞化できるケースはかなり限られるのではないかということ、この二点ぐらいしか思いつきません。もっとたくさんの再帰動詞を一つずつ当たって調べてみないと、確かなことはわからないのですが・・・
補足
妄想にお付き合いいただき有り難うございます。回答を書くだけで、 時間を沢山お使いいただきました。 sich + 不定形、その格変化、 selbst + xxx -ung など場合を分けて お答えいただき、よく分かります。挙げてくださった、例文をすべて 理解したわけではありませんが。 ============= 言い訳:私も、疑問を丸投げしたわけではありません。例えば Duden 10 Das Bedeutungswörterbuch も開いてみました。名詞化の方法として、 -ung/-heit という項目もありました。しかし自分の持つ語彙に限りがあり、 結論が出せなかったのです。 ============= きっかけ: こんな疑問は時々持ちます。今回ふっと思ったのは、 オペラ『後宮からの逃走』(Die Entführung aus dem Serail)/モーツァルトの 題名は【語学的】には、誤訳だという議論があったからです。 (題名を正確に訳す必要はないこと当然です。La traviata の訳は椿姫です。 ただ sich entühren なら逃走に近いかなと思ったのです。)
お礼
有り難うございました。 沢山勉強いたしました。今後ともよろしく。
補足
有り難うございます。 1.このサイトの質問が減っているのは何故でしょう。 2.題名の誤訳の問題、貴兄のように、穏やかにしかも筋道を立てて、話して下さる方は貴重です。 3.Die schöne Müllerin 麗しき水車小屋の娘は世紀の誤訳だと私は云うのです。誤訳でなくても下手くそ訳です。これでは、娘が美しいか、水車小屋が美しいか分かりません。私は【水車小屋の麗しき娘】にしたいのです。 4.大学の頃、文学専攻の教授方は ほんわかとした教え方をされました。語学専攻の教授方は、一つの発音も、一つの前置詞も決定論的な教え方をされました。当時は恐い先生か、恐くない先生かのとらえ方しか出来ませんでした。もう一度教えていただきたいと今は思います。私は80歳の リケロ(理系老人)ですから、先生方は皆さんなくなりました。 ではまた近いうちに愚問でお目に掛かります。