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有機化学: 求核剤の相対的反応性の予測
当方理系大学生です。 NH3,H2O,H2Sについて、求核性の大きい順に並べよとの問題ですが、考え方がよくわかりません。厳密に言えば、電荷の無い分子では分極率がその求核性に寄与しますから、H2S>H2Oというのは分かるのですが、この後NH3がH2S,H2Oに対して強いのか弱いのか、評価することができずにいます。どのようにしてNH3の相対的反応性を予測すべきでしょうか?ちなみに回答は、H2S>NH3>H2Oとなっています。 宜しくお願い致します。
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けっこう微妙な問題ですね。 窒素と酸素なら、電気陰性度の差で理解できると思います。 電気陰性度が大きい酸素にくらべ、窒素の方が攻撃の主体である孤立電子対を自分に惹きつける力が弱いです。結果として、攻撃対象であるところの求電子剤に電子をあげたがる=反応しやすくなる、と考えられます。 問題は硫黄です。 硫黄と酸素の違いは、質問者さんが書かれている通り、分極のしやすさ(軌道の大きさ・変形のしやすさ)と関連づけて理解できるでしょうが、窒素と単純に比較するのが難しいところです。 実際には、高周期元素の方が求核性は高いケースが多いです。 まず、中心元素の電気陰性度を考えると硫黄の方が低いため、孤立電子対が不安定化し、攻撃力は高まります。 加えて軌道自体が大きく変形しやすくなるため(N,O: (2s)(2p)3 vs. S: (3s)(3p)3)、攻撃しやすくなります。 ※ただし、高周期になりすぎるとそうも言えません。これは、高周期元素では軌道混成を嫌うため孤立電子対のs性が高くなり安定化されます。結果として、中心原子が陽性が高く軌道サイズも大きいにも関らず、前者の効果が上まって反応性は下がります。 基本的な有機化学の講義だと、混成の影響はさほど議論されないかもしれませんが、周期が違う元素を比べる場合は注意すべきポイントです。 もっとも、実際の反応では、溶媒などの環境の影響や、分子間の相互作用(水素結合とか)、中心元素上の置換基の効果(問題では単純な水素なのであまり関係ないが)といったもろもろの効果が生じるために、結果が多少変動することはありえます。
お礼
回答ありがとうございます。電気陰性度から判定すればよいのですね。 本当に微妙な問題で、判定に悩んでいましたが、お陰様で理解できました。 ありがとうございました。