行列Aのi行j列の要素aijの余因子Aijとは
Aからi行とj列を除いた
小行列式をDijとすると
Aij=(-1)^{i+j}Dij
となり
行列式|A|の「j行の余因子展開」とは
Aのj行の成分(aj1,…,ajn)に対してその余因子(Aj1,…,Ajn)をそれぞれ掛けて足したもの
aj1Aj1+…+ajnAjn
となる
n×n行列
A=(aij)
の要素aijの余因子をAij
余因子行列を(Aij)
その転置行列をt(Aij)
Aの行列式を|A|
とすると
Aの逆行列
は
A^{-1}=(1/|A|)t(Aij)
となる
AA^{-1}
=A(1/|A|)t(Aij)
=(1/|A|)A{t(Aij)}
ここで
C=(Cij)=A{t(Aij)}
とすると
AA^{-1}=(1/|A|)C
となる
C=(Cij)=A{t(Aij)}
=
(a11,…,a1n)(A11,…,Aj1,…,An1)
(……………)(……………………)
(ai1,…,ain)(……………………)
(……………)(……………………)
(an1,…,ann)(A1n,…,Ajn,…,ann)
Cij=ai1Aj1+…+ainAjn(i=1~n,j=1~n)
となるここで
(1)i=jのとき
Cjj=aj1Aj1+…+ajnAjn(j=1~n)
Aのj行の成分(aj1,…,ajn)に対してその余因子(Aj1,…,Ajn)をそれぞれ掛けて足したものなので
行列式|A|の「j行の余因子展開」になっている
Cjj=|A|,(j=1~n)
(2)i≠jのとき
Cij=ai1Aj1+…+ainAjn(i≠j)
となるが
行列式|A|の「j行の余因子展開」は
|A|
=
|a11,…,a1n|=aj1Aj1+…+ajnAjn
|……………|
|ai1,…,ain|
|……………|
|aj1,…,ajn|
|……………|
|an1,…,ann|
ここで両辺の(aj1,…,ajn)に(ai1,…,ain)を代入しても等しいから
|a11,…,a1n|=ai1Aj1+…+ainAjn
|……………|
|ai1,…,ain|
|……………|
|ai1,…,ain|
|……………|
|an1,…,ann|
右辺はCijとなり
左辺はi行とj行が同じ行列式となるので0となるから
Cij=0
例
A=
(1,2)
(3,4)
とすると
|A|=1*4-2*3=-2
a11=1の余因数A11=4
a12=2の余因数A12=-3
a21=3の余因数A21=-2
a22=4の余因数A22=1
t(Aij)=
(4,-2)
(-3,1)
C=A{t(Aij)}=
(1,2)(4,-2)
(3,4)(-3,1)
=
(1*4+2*(-3),1*(-2)+2*1)
(3*4+4*(-3),3*(-2)+4*1)
=
(-2,0)
(0,-2)
=
(|A|,0)
(0,|A|)