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ラプラス方程式の解析解と電位分布の求め方
- ラプラス方程式は静電場内における電位分布を示す方程式であり、解析解を求めるためには変数分離法を用います。
- 境界条件を設定する際には原点のポテンシャルと境界条件に注意が必要です。
- 数値解では原点のポテンシャルを設定している解説は見つかるものの、解析解に関する資料は限られているため、質問者は困っています。
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#3です。すぐ後で言い訳するためにまず、自分は電気・電子分野の専門家ではありませんと、お断りしておきます(^^;)。 数値モデルの状況はわかりました。ただ普通はこういうモデルにならないのが、自分の経験の範疇です。なにかとても特別な状況のようにも見えますので、自分のようなアマチュアではなく、プロに相談する方が妥当かも知れません。 ラプラス方程式は電場の発生源を持ちません。なので、それでも解析領域内に電場が生じるなら、それは外部電場の影響だ、という事になります。それを表すのが境界条件です。言いかえれば、ラプラス方程式は境界条件のみによって駆動される、という事です。 ラプラス方程式の境界条件は、境界上の電位(ポテンシャル値)か電場の値(ポテンシャル流速値)です。境界上の全ての点で、少なくともどちらか一方を与える必要があります。そうでないと、解は不定です。 いま境界上で電位は全て0です。そしてラプラス方程式は解析領域内に電場の発生源を持ちません。自明な解は、V(x,y)=0です。ラプラス方程式は境界条件の指定により、ポテンシャルの定数分の不定性を除いて、解は一意に決まります。今は境界上でポテンシャル値を直接指定しているので、定数分の不定性も除かれています。そうすると、V=0が解だという事になります。この状況は解析領域が有限でも無限でも同じです。 無限でも同じなので領域外部にも電荷がなければ、外部領域の電場も0です。領域外部に電荷があれば、今度は「境界上の電位は全て0」の条件が不可になります。結局モデルの状況は、全空間空っぽの状態を表している事になります。 しかし鬱陶しいのは、それでも0でない数値解は出せる事です(^^;)。 差分法でも有限要素法でも同じですが、中心節点にV(0)=5を与えるには、次のどちらかだと思います。 (a) 中心節点に関する離散化式を、V(0)=5の条件にいれかえる。 (b) V(0)=5の条件をそのまま追加する。 さっきの話にてらすと(a)の方法では、もはやラプラス方程式の方程式系を解いてるのではなくなる。(b)の方法では、条件過多の方程式系を解く事になる。しかし結果は余り変わらないと思います。 というのはV(0)=5は中心節点にしか与えないので、中心近傍のメッシュ上で点電荷の電位を平均したような解になると思うからです。対応する点電荷の電荷量は、中心近傍のメッシュサイズで平均化するとV=5程度になるQです。 このために、r=0,r≠0と解析領域を2つに分けると、r=0でのVの不連続性の影響で領域接続部分の解の連続性が悪化する(解の収束が悪くなる)と考えられます。 以上よりそのモデルは、なにか特別な状況に必要とされている思えますので、プロに聞いてみた方が・・・と書きました。 余談ですが、ポアソン方程式ならV(0)=5もありです。r=0を中心とした球内に、一様な電荷密度を与えたケースなんかが、すぐ浮かびます。そのような電荷配置は現実には困難ですが、例えば帯電球(帯電円)がその近似になります。
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#2です。じつはけっこう安易に等方的な解をおすすめしたんですが、本当にそっちでしたか。 まず3次元で考えます。というのは、電磁気学の本質は3次元だからです。2次元的扱いは、3次元問題の一種の省略解法と考えられます。 3次元で等方的なラプラス方程式の解を求めた場合、 V(r)=A/r+B (1) になるのはご存じと思います。3次元の場合、(1)はr→∞でV=Bです。無限遠でV=0にしたいなら、B=0を選びます。電位は静電ポテンシャルで、ポテンシャルは電位差だけが物理的意味を持ち、定数項は人間の勝手だからです。ここまではOKと思います。 次にA≠0なら、r→0でV→∞になりますが、これで良いのだというのが答えです。というのは、ラプラス方程式の等方解という条件は、じつは物理的状況を一個に定めるくらい強力な制限なんです。 等方的なポテンシャル(電位)なので、電場も当然等方的です。すぐに思いつくものはありませんか?。クーロンの法則とクーロン・ポテンシャルです。それは点電荷に対するものでした。それは、r→0でV→∞になるようなものでした。 ラプラス方程式(ポアソン方程式)が静電ポテンシャルの、ひいては静電場の支配方程式なら、それらからクーロンの法則とクーロン・ポテンシャルを導けなければ、逆におかしいです。そういう目で、ラプラス方程式の等方解を見直してみます。 とりあえずr=0は除外して考えます。しかし原点(r=0)から電場を見る事はできます。電場はどの方角を見ても同じです。しかもr=0~∞の原点を除く全空間のどこにも、電場の発生源である電荷はいません。この状況は、点電荷の外側の空間の状態と、定性的にぴったり符合します。 静電ポテンシャルで表したガウスの法則の微分形は、次でした。 -ε・ΔV=Ρ (2) Δ=∇^2です。εは誘電率です。ここでΡは電荷密度であり、強引に点電荷を電荷密度で表すと、r=0でΡ=∞,r≠0の残り全てでΡ=0という、特殊な状況になります。単純に(2)は全空間で成り立つものと考えがちですが、このような特殊な状況では(2)は、r=0を除く全空間で成り立つと考えるのが妥当です。 そうするとr≠0の全てでΡ=0なので、r≠0の全てで ε・ΔV=0 です。これに等方性の条件を課すともう、点電荷の解以外ないような気がしませんか?。 で、Aを求めます。r→0でV→∞なので、もうひと捻り必要です。ガウスの法則の積分形を使います。 r=0を含むような任意の体積Rを考えます。体積Rで(2)を積分すれば、それはR内部に含まれる電荷量になる。これがガウスの法則の積分形でした。ところがRはr=0を含めば、どんな形でも良いのでした。Rとして半径aの球Ra(中心はr=0)をとります。積分領域が球で、V=A/rの場合、(2)の左辺の積分は、 -ε・∫ΔV dv=-ε・∫∇V ds=4πε・A (3) になる事を、ガウスの発散定理によって示す事ができます。ただし(3)の ∫ΔV dv はRaにおける体積積分、∫∇V ds はRa表面での面積分です。r=0の点電荷の電荷量をQとすれば、ガウスの法則よりそれは(3)の結果に等しいので、 4πε・A=Q (4) です。こうして V=Q/4πε×1/r とVが決まり、点電荷のクーロン・ポテンシャルになります。 あんまり役に立ちませんが、精神安定上ひとこと言うと、Raはその中心に点電荷を含めば、なんでも良いのでした。という事は、a→0の極限も可能です。これは、点電荷の外部解をガウスの法則を経由して、点電荷上の解に間接的に接続した、とみなす事もできます。 次に2次元の等方解ですが、それは電荷密度が無限に長い直線上に一様に分布し、その直線に直交する平面で、3次元の電場分布を輪切りにした時に現れます。そうするとポテンシャルは、奥行き方向には一向に弱まらない電場のエネルギーを計算した事になるので、平面内のr→∞の電位は、じつは無限体積のエネルギーの積算なので、どうしても∞になってしまうという仕掛けです。それでA=0でなくて良い事になります。 以下、余談です。 点電荷のような特殊な状況を表すために、デルタ関数δがあります。これは理論的にも実用的にも非常に便利です。数学的に追及すると鬱陶しい事になりますけれど・・・(^^;)。デルタ関数の性質の一つに、 ∫δ(x) dv=1 (5) があります。δ(x)のxは、δが∞になる点で、xは積分領域Rの内部であれば、どこでも(5)が成り立ちます。δを使えばガウスの法則抜きで、(2)の右辺を直接積分できるようになります。δはまさに点電荷を電荷密度として扱うために導入された関数なので、他にも非常に便利な性質があり、ものすごく実用的で直観的です。しかし数学的に追及してはいけません(^^;)。 もう一つは、変数分離などの手法は数値計算には便利ですが、理論的に定性的な性質を見たいケースなどでは不便だ、という話です。じつはポアソン方程式の一般的な形式解は、すぐ書けるんです。これはグリーン関数の方法の現代風アレンジです。 Δφ=δ(x) (6) (6)の等方解はさっきの話から3次元では、 φ=-1/4π×1/|r-x| (7) になるのは明らかと思います。今度のrは、3次元空間の任意の点を表す位置ベクトルです。2次元でも同ように、 φ=1/2π×log|r-x| (8) です。こいつらをラプラス方程式の基本解と言いますが、電場は(静電ポテンシャル)は重ね合わせ可能でした。(7)や(8)は、単位点電荷δ(x)の静電ポテンシャルに相当するので、微小体積dvに電荷密度Ρ(x)があった時、そいつのつくる静電ポテンシャルは明らかに、 Ρ(x)φdv (9) になります。だったら重ね合わせ可能なんだから、あるだけの電荷密度分布のぶん(9)を積算したら良いじゃないか、という話になり、積分方程式法が導かれます。それが添付図の(10)です。 (10)の体積積分の領域Rは、Ρ(x)の分布を全部含む体積です。(10)は全空間にΡ(x)の分布しかなかったら、というケースですが、Rの外の電荷による外部電場の影響も考慮しなければならないのが、普通です。それは普通、Rの境界での境界条件として与えられます。それを考慮したのが(11)です。 面積分のSはR表面を表し、その中のVや∇Vは境界条件として既知であるのが通常です。dsは面素ベクトルで、・は内積を表します。積分方程式法は、理論的にも実用的にも(数値計算でも)有用な方法なので、ちょっと調べてみる事をおすすめします。キーワードは、境界要素法です。
補足
ご回答ありがとうございます. ラプラス方程式が静電場の支配方程式であるために,その解はクーロンの法則を満たすように振る舞う,指摘頂くと至極当然のことだと思います. とても分かりやすい説明でした. 別の質問で以前にも教えて頂いていますし,今回もとても丁寧なご説明なので,点電荷が作る電位,電場に関して理解が進みました. 私の解釈が間違っているだけにも思うのですが,もう一度だけ質問させてください. 私が今考えている状況では,原点にV0という電位が置かれています. これは,発散などでなく,数値としてしっかりとした値を持っていると思います. 差分法などで数値解として解く場合にも,数値をどこかに設定すると思います. 等方的な解を求める場合には,例えば2次元の場合,10×10の格子マスを考え,外周の電位をゼロに設定し,10×10の格子マスの中心にV0=5などの値を設定することで,電位分布の振る舞いが計算できると思います. この場合,V(0)=5で,rが大きくなるに従い,電位分布は滑らかに減衰すると思います. 解析解として解いた場合でも,数値解として解いた場合にも解は同じであるため,解析解におけるr=0でV→∞というのは,釈然としません. V(0)=V0では? と考えてしまます. 今回教えていた頂いたようにr=0,r≠0で場合分けを考えたのですが,そうするとr=0近傍で電位分布が滑らかになりません・・・. 解析解が,教えて頂いた方法で算出される過程に疑問があるわけでなありません. なるほど,ととても納得しています. 私の解釈が間違っているのでしょうか? 重ね重ね失礼かとは思いますが,ご回答お願い致します.
たぶん、 V(x,y)=(A*exp(kx)+B*exp(-kx))*(Csinky+Dcosky) (1) の形は正しいと思います(検算してませんが(^^;))。 V(x,y)=A*exp(kx)*(Csinky+Dcosky)+B*exp(-kx)*(Csinky+Dcosky) で、y→∞で(Csinky+Dcosky)は0に収束しないのですから当然A=0です。 V(x,y)=B*exp(-kx)*(Csinky+Dcosky) は、yがなんであっても |Csinky+Dcosky|≦|C|+|D| ですから、 |V(x,y)|=|B|*exp(-kx)*|Csinky+Dcosky|≦|B|*exp(-kx)*(|C|+|D|) より、x→∞でexp(-kx)→0から(k>0)、x→∞かつy→∞でV(x,y)→0です。 もう一つの条件からは、 V(0,0)=B*exp(0)*(Csin0+Dcos0)=BD=V0 しか導けません。境界条件が足りないと思います。普通は、境界条件から、A,B,C,Dとkまで決まります。 #1さんが仰っているのは、たぶんこの事です。 ちょっと考えてみましょう。(x,y)=(0,0)でV=V0,(x,y)→(∞,∞)でV→0とは、物理的に意味のある、全ての電位が満たしている条件だと思いませんか?。 ラプラス方程式であろうとポアソン方程式であろうと、どんな電荷分布であろうと最低、上記条件は満たす必要があります。逆に言えば上記条件だけでは、なんだってありです。数学は正直です。なのでB,C,D,kが決まらないんです。 具体的に個別の電位を指定できるように境界条件を与えた場合、じつは(1)から導かれる、 V(x,y)=Σk (Ak*exp(kx)+Bk*exp(-kx))*(Ck*sinky+Dk*cosky) (2) の形が必要になります。ここでΣkは、kに関する和(多くはk=0~無限)、A,B,C,Dもkによって変化すると考えます。 昔の人達もあなたと同じように解いたのです。 (1)では5つの境界条件があれば、A,B,C,D,kが定まります。しかしA,B,C,D,kを与えるために、具体的な境界条件を、例えば有限領域の境界で与えてみると、5個どころか無限個の条件式が出てきました(実際にやってみるとわかります)。 それで(2)の形が考え付かれました。今では定版になっています。 >数値解では原点にポテンシャルを設定している解説は見つけられたのですが,・・・ その解説をもう一回見直して下さい。数値解が得られたからには、必ず必要十分な境界条件が必要です。 ・・・それともこういう事でしょうか?。 欲しいのは、等方的(同心円上の)解だ!。 もしそうであれば、(∇^2)を極座標(r,θ)で書き直し、θに関する項を全て0にします。等方的でれば角度θに関する電位の変化はないからです。 そうすると(∇^2)はrに関する2階の常微分方程式になり、すぐに積分出来て積分定数A,Bのみを含む形を導けます。積分定数は2個なので、原点と無限遠の条件だけでA,Bは定まります。 境界条件がなくてもそうなるのは、解が等方的だという非常に強い制限を課したからです。等方的だから、 ・どっか一点で電位の基準を指定して、無限遠では電圧0よ. という条件で、十分になった訳です。だって、どっちを向いても同じだから。
補足
回答ありがとうございます. とても分かりやすい説明で勉強になりました. 後半で指摘頂いているように,ここで欲しかった解はポテンシャルを中心とした同心円上の解です. 極座標形式でrに関してとくと,V=A*log(r)+Bという解になるかと思います. 原点r=0でV=V0,r→∞でV→0で未知定数を導こうと計算すると, r=0でlog(r)=-∞,よって,A=0,B=V0, r→∞でlog(r)=∞,よって,A=0,B=0, となり,A,Bが一意に決まりません これは境界条件の設定が間違っているのでしょうか?
- bran111
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境界条件を明示してください。無限領域か有限領域かで扱いが変わってきます。
補足
回答ありがとうございます. 無限領域を想定しています. そのため,境界条件は'次の(1)~(3)と考えています. (1)x→∞でV→0 (2)y→∞でV→0 (3)x=0,y=0でV=V0
お礼
お返事が遅くなって申し訳ありません. ご回答ありがとうございました. 回答頂いた内容からようやく分かりました. 特殊は状況を想定しているわけではなく,私の理解が湾曲していたみたいです. 空間上の電位分布はラプラス方程式ですべて表現できるので,空間の一点に電位がある場合も,その分布もラプラス方程式で記述できるはずと思い込み,ラプラス方程式は電場の発生源を持たないという基本的な項目を見失っていました. 余談で教えて頂いたポアソン方程式での考え方を含めて,ようやく理解できました. 毎回,とても丁寧に教えて頂き本当にありがとうございました. ベストアンサーにさせて頂きます.