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ラプラス方程式に関して
こんにちわ. ラプラス方程式に関して,分からないことがあるため,質問させてください. 電磁気学でのラプラス方程式は電荷分布がない空間内において,境界条件を決めることで,その空間内での電位分布を計算することが出来ると思います. このラプラス方程式は電気回路でも成立するのでしょうか? たとえば,抵抗が格子状に無限に接続された電気回路において,任意の2点間に電位差Vが与えられているとします. このとき,その周囲の格子点での電位はラプラス方程式から求められるのでしょうか? ご存知の方もおられると思いますが,これは無限抵抗格子の電位差を求める問題の解法の冒頭にある記述です. ここでは問題を解く前提として,格子点の電位はラプラス方程式を満たすという説明がありますが,ラプラス方程式を電気回路に適用しているテキストなどが見受けられなく,電磁気学でのラプラス方程式がどのようにして電気回路に適当されるかがよくわかりません. 詳しい方がおられましたら,教えてください.
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格子状に電線がつながってる回路と理解していいんでしょうか?。そういう事であればですが・・・。 いきなり2次元では見通しが立たないので、問題を1次元とします。つまり一本の導線を考えます。普通の経験では1次元の導線を流れる電流は定常です。一般的に定常電流は静電場のもとでしか発生しない事が、電磁気学の基礎方程式であるマックスウェル方程式系から導けます(長くなるので割愛します)。静電場という条件を付けるとマックスウェル方程式系は、次の3つに省略できるのがわかります。 (1)rot×E=0,ファラデイの法則. (2)div・D=0,ガウスの法則,D=εEでεは誘電率. (3)E=ki,一般化されたオームの法則,iは電流密度,kは導体の電気抵抗率. (3)をマックスウェル方程式系に含めるかは微妙なところですが、こういう話では(3)がないとどうしようもないので、自分は含めます。あと一般法則として(2)から導かれる電荷保存則を、必要に応じて使います。 次に一般状況の説明です。静電場⇔静磁場です。経験では当然の結果ですが、厳密に導こうとするとけっこう難儀します(^^;)。しかしともあれ、動磁場による誘導起電力はないので、(1)~(3)で問題になるのは、導線への外部電場Eか、電池のような起電力が発生させる静電場Eです。 ところが孤立した導体の場合、外部電場がかかっても、それを打ち消すように自由電子が移動しE=0となって、導体内部は外部から静電遮蔽され、(3)から電流は流れないという事はご存じと思います。よって導体に電流が流れるためには、表面に自由電子が完全には移動しないという条件が必要です。これは、電流が流れるためには、導体は外部環境に接続されねばならないという事を意味します。その代表が電池です。 表面電荷は静電ポテンシャルV(電圧)の境界条件の一部(法線流速値)なので、境界条件が適切に設定された時のみ、導体には電流が流れます。境界条件は外部環境から決めるべきものです。最も単純に1次元導体ではどうなるでしょう?。 導線の両端の断面での電場(Vの法線流速値)は導線の向きに恐らくEで、側面は絶縁被覆に覆われ、その方向への電流は明らかにないので(3)より側面から電場が出てくる事はありません。導線の断面積が十分小さければ、電流は完全な1次元流れとみなせます。裸の電線だって大気や真空は良好な絶縁体なので、この条件は妥当します。同時に導線両端の断面の表面には、完全には自由電子を貯めさせないような、外部環境に接続されている必要がある事もわかります。その多くは同じような導体の続きであり、特殊な場合が電池の端部です。 以上の条件のもとに(1)~(3)を解きます。(1)は数学的に静電ポテンシャルV(電圧)の存在が可能である事を言っています。E=∇Vです。これを(2)に代入すればΔV=0と、電圧に関するラプラス方程式が導かれます。 ところが今は1次元なので、ラプラス方程式と言ったって単なるxでの2階常微分です(xは導線方向)。結果はV=ax+bです(a,bは積分定数)。従ってE=∇V=(d/dx)V=aであり、(3)からi=a/kとなって、電流密度の1次元流れの値iは、aで決まります。そしてV=ax+bですから、aの決定条件は格子点間の電位差のみです。 格子点間の距離をLとし、電流密度と電気抵抗率の定義を思いだし、導線の断面積をAとすれば電流Jは、 J=EL/R,R=kL/A ⇒ J=EA/k という事になります。EA/kをちょっといじってやれば、格子点間の電位差をδVとして、J=δV/Rもすぐ導けます。要するに普通の電気回路じゃないの!、という話になります(^^;)。 ちなみに(1)から静電ポテンシャルV(電圧)の存在を示す数学的過程は、じつはキルヒホッフの第一法則と同じです。 上記では1本の電線しか考えませんでしたが、格子点では1本の電線が3本に分岐します。そこに普通の電流は1次元流れである事を考慮して電荷保存則を適用すると、キルヒホッフの第二法則になります。 格子点間の電位差が外部から任意に与えられた場合は、ちょっと面倒な状況になりそうなのですが、そこをおいとくと結局、Vに対して#1さんの差分表現を使うのも手かもしれません。だってVは格子点間で線形変化しかしないんですから。 自分の電磁気学に対する発言は大抵、砂川先生の理論電磁気学を種本にしています。理論電磁気学は、3次元の電磁現象を基本方程式から解き起こしているのはもとより、直流や交流回路理論に対してもちゃんと一章分が割り当てられていて、「頑張れば」初学者にも非常にわかりやすい本です。以上の話は、理論電磁気学の回路理論の章に書いてあったと記憶しています。余裕があれば読んでみて下さい。非常な良書です。
- mmitsukuni
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ラプラスの方程式,ポアソンの方程式はあくまでも「静電界」の方程式です. 電気回路においては電流が流れているのでこれらの方程式の対象ではありません. 電流1「A」というのは1秒間に電荷1[C]が流れることですよね. ラプラスの方程式は,マクスウェルの方程式の「divD=ρ」から導けますが, これは電荷の時間変動の項などなくあくまでも静電界に対する方程式です. 実は「オームの法則:(電流密度J)=(導電率σ)・(電界E)」は独立した法則で, マクスウェルの方程式(4つある)+ローレンツの法則(電荷が電界・磁界からうける力) からも導くことが出来ないのは有名です. したがって,いかなる電気回路もオームの法則なしには解くことは出来ません. だから質問者の問題も,連続媒体回路のような問題も「上記のオームの法則」 を用いて,連立方程式,あるいは,微分方程式(微小部分について)を立てるしかありません.
- bran111
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#1です。 >”任意の2点間に電位差Vが与えられている”とは,格子点に外部から電位が与えられている状態を考えています.つまり,電位差がVとなる2つの格子点の電位は,隣接する格子点の電位に依存しません(たとえば,常に0.5Vと-0.5Vです). V(i,j)とV(i',j')が指定されている場合、全体の分布はどうなるかという話かと思いますが、いずれにしろ 境界上のすべての点における値または変化率またはそれらの線形結合(第1種、第2種または第3種の境界値問題)が指定されないとラプラスの方程式またはポアッソンの方程式は解けません。境界上で一定値(=0)というような仮定が許されるなら話は簡単でしょう。
- bran111
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下記のようにラプラス方程式(1)を差分形(2)に書き換えてやればほとんど定義どおりです。 ∂^2V/∂x^2+∂^2V/∂y^2=0 (1) 抵抗はx,y方向に格子状に配置されており、格子の着目点(i,j)の電位をV(i,j)で表すと x方向に隣接する2点(i-1,j)と(i,j)について ∂V/∂x≒(V(i,j)-V(i-1,j))/δx x方向に隣接する3点(i-1,j),(i,j),(i+1,j)について ∂^2V/∂x^2=(V(i-1,j)-2V(i,j)+V(i+1,j))/δx^2 同様にy方向に隣接する3点(i,j-1),(i,j),(i,j+1)について ∂^2V/∂y^2=(V(i,j-1)-2V(i,j)+V(i,j+1))/δy^2 δx,δyは格子上の2点間のx,y方向の距離。簡単のためδx=δy=hにとり(1)に代入 (V(i-1,j)-2V(i,j)+V(i+1,j))/h^2+(V(i,j-1)-2V(i,j)+V(i,j+1))/h^2=0 これより V(i,j)=[V(i-1,j)+V(i+1,j)+V(i,j-1)+V(i,j+1))/4 (2) これはある点の電位が前後左右の格子点の値の平均になっているということを言っており、ラプラス方程式の本質です。 例えば領域を100×100のメッシュに切ると、境界以外の各点について(2)が成り立ち、境界での値 V(1,j)(j=1,101),V(101,j)(j=1,101),V(i,1)(i=1,101),V(i,101)(i=1,101)を指定して 99×99個の未知数を持つ連立方程式を解いてやれば電位分布V(i,j)が求められます。 これが差分法によるラプラスの方程式の解法で、ネットに無数のサイトがありますから、参照してください。
お礼
回答ありがとうございます. 微分方程式を差分化する説明はとても分かりやすく,理解が進みました. 回答頂いた内容で1点わからないことがあるので,追加で質問させてください. ”任意の2点間に電位差Vが与えられている”とは,格子点に外部から電位が与えられている状態を考えています.つまり,電位差がVとなる2つの格子点の電位は,隣接する格子点の電位に依存しません(たとえば,常に0.5Vと-0.5Vです). この場合,離散化したラプラス方程式を満たさない格子点が回路内にあることになると思います.このような場合でも,その周囲の電位分布は式(2)で計算できるのでしょうか?
お礼
何度も回答して頂き,本当にありがとうございます. ご推察の通り,V(i,j)とV(i',j')が指定されている場合における全体の分布を考えています. ラプラス方程式,ポアソン方程式は境界条件なしでは解けないことは,わかりました. それでは,無限の領域や有限の有限の領域でも,境界条件を設定することで,V(i,j)とV(i',j')が指定されている場合の全体の分布は式(2)で計算できる,という理解でいいのでしょうか?