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霊異記中巻第二十七縁の現代語訳と要約
- 日本霊異記中巻第二十七縁の現代語訳を教えてください。訳が分からないので現代語訳を教えてください。
- 尾張の宿禰久玖利は、尾張の国、中嶋の郡の大領である。久玖利の妻は愛知の郡、片わの里に住む女性である。
- 久玖利の妻は柔らかく儒教的な性格で、手作りの衣服を作って夫に着せていた。ある日、国の主である稚桜部の任が久玖利の着せた衣を見て、返却を求めた。妻は主に頼んで衣を返してもらおうとしたが、主は妻を引き捨てるように命じた。しかし、妻は大胆にも主の衣の裾をつかんで返却を願い出た。主は驚きながらも衣を返し、妻は喜んで持ち帰り、洗って繕った。
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尾張の宿禰久玖利(すくね くくり)は尾張の国中嶋の郡(こおり)の大領である。 聖武天皇が国を治めになった時の人である。 久玖利の妻は、同国愛知郡(こおり)の片わの里にいた女である。(これは昔元興寺にいた道場法師の孫である。) 夫に従ってやわらかでなよなよとし、練った糸や綿のようであった。 麻の細糸の手作り布を織って、夫の大領に着せた。手作り布の美しさは、くらべるものがないほどのものであった。 時に、その国の政治をおこなう長官は、稚桜部(わかさくらべ)の任であった。 国守は、大領に着せた衣が美しいのを見て、取り上げ、「おまえに着せるような衣ではない」といって、返さない。 妻が夫にたずねて「衣はどうなさいました」と、答えて「国守に取り上げられた」と。重ねてたずねて「あの衣が惜しいと思いますか」と、答えていう「たいへん惜しい」と。妻はすぐに行って、国守の前にすわって、願っていう「衣をくださいませ」と。その国守がいう「どういう女か、ひきづり出せ」と。引きづり出そうとしたが、動かない。 女は二本の指で、国守がすわっている座席の端を持って、すわったままで、国府の門外に持ち出し、国守の衣の裾をずたずたにもみくだき、願っていう「衣をくださいませ」と。国守はおそれてめんどうに思い、その衣を返して与えた。取って家に持ち帰り、洗い浄めてその衣を折りたたんでしまった。呉竹を手につかみもみくだいて練り糸のようにした。 大領の父と母は、それを見てたいそうおそれ、その子に告げていう「おまえがこの妻によって、国司に怨まれ、処分を受けることをたいそうおそれている。国司さえもこのようにするのに、そのようなことが何かにつけてあったなら、われわれはどうしたよいか、寝るも食べるもできやしないよ」と。そこで妻を実家に返して、もうかえりみなかった。 それからのちのこと、この女は、その里の草津川の船着場に行って衣を洗っていた。時に、商人の大きな船が、荷物を載せて通りかかった。船長が女を見て、ごたごたといってひやかしからかった。女がいう「おだまり」と。重ねて女がいう「人によけいな悪いことをする者は、ほおをひどくひっぱたくよ」と。船長はこれを聞いて目をむいて怒り、船をとめて女を打った。 女は打っても痛がらず、船を半分陸に引き揚げて置いたので、船の後部は下がって水につかった。船長は、船着場の近くの人をやとって、船の荷物を陸に運び上げ、船を水に浮かべてから、改めて船に載せなおした。女がいう「無礼なことをするので、船を引き揚げて陸に置きました。なぜみなさんは、つまらないわたしのような女をからかうのですか」と。船に荷物を載せたまま、なおも一町ほど引き揚げて置いた。ここに船人はたいそうおそれ、ひざまづいて申し上げていう「悪いことをいたしました。おっしゃるとおりでございます」と。そこで女はゆるしてやった。その船は五百人で引いても動かなかった。それで、女の力は五百人を超えていたことがわかった。 経に説くように「餅を作って三宝に供養すれば、金剛那羅延(こんごうならえん)の力を得る、云々」と。これでよくわかるはずである。先の世で大型の餅を作り、三宝や多くの僧に供養して、この強力を得たのであるということが。 訳出典:図説日本の古典(3)日本霊異記P71~P72 小嶋瓔禮 集英社
お礼
こんなに早い回答をありがとうございます!!! 助かりました!