赤字か黒字かというのは、損益分岐点があって成り立つ話です。
ですから大卒の損益分岐点が提示されて初めて赤字か黒字化の判断が出来ますが、言うまでも無くそんなものはありません。
また東大出だから全員生涯給与水準のボトムラインが決まっているわけでもありません。
ただ、平均してみれば中卒よりは高卒、高卒よりは大卒のほうが、必要経費(学費など)を差し引いても生涯収入は上になります。
そして、大卒の中でも一般に低偏差値大学よりは高偏差値大学のほうが、あるいは文系より理系のほうが高収入を期待できます。
そういう観点で言えば、高卒の生涯収入より低い収入しか期待できない大学は『赤字』と捉えることが出来るかもしれません。
具体的な数字を挙げると、現役合格なら偏差値45、1浪なら47、2浪なら49、3浪なら51の大学が高卒より高収入(生涯収入で比較して)になるためのボーダーラインです。浪人年数が増えるほど、実労働年数=収入が減るので、その分偏差値を上げないといけません。
ところが、偏差値の伸びは1浪で2.7、2浪で2.8、3浪で0.5です。つまり3浪は(損益と言う観点からは)する意味がありません。
また大卒の平均生涯収入は2億8千万円です。この平均値を損益分岐点と定めて、より上の収入を得ようとすると、現役なら偏差値57、1浪なら59、2浪なら61、3浪なら64が大学生平均より高収入になるためのボーダーラインです。ここで言う偏差値は河合の値ですから、現役ならMARCH以上、3浪なら早慶以上でなければならないということになります。
さて、以上は大学進学を採算という一つの観点から眺めたものに過ぎません。
言うまでも無く、大学進学とはそれだけで推し量れるものではありません。
もちろん質問者さんの意図は微妙なポジションの高校生が無理して微妙な大学に進むことの是非を論じておられるのだと思います。
もともと向学心に乏しいがために成績不振となっている高校生が、ただ就職に良さそうと言うだけで無理して低偏差値大学に進むことが果たして本当に本人の為か否かということですね。
私自身はそれこそ個人の問題なので行きたければ行けばいいし、行きたくなければ行かなければいいだけのことだと考えます。
学者になると言うのでなければ、より高い学歴を得ることは人生の選択肢を広げることだと考えますし、息子にもそう教育しました。
世の中募集条件に大卒以上を謳う会社も多いですが、高卒以下は応募できません。
それだけ選択肢が狭まります。その意味ではたとえ低偏差値大でも大卒は大卒です。
この社会の中でより良い人生を歩むために学歴や知識が必須とまでは言えなくても、無いよりは有った方がいいのです。
そもそもこんなギリギリの話にならなければいいのです。
現役で東大に入れればなんの問題もないでしょう。
そしてそれは子どもが100人いたら、90人くらいは実現可能な現実的目標です。
私は毎週末ボランティアで幼稚園から中学生くらいの年代のスポーツ指導をしています。
長い子だと14年くらい継続して関わります。
その経験から言って、子どもというのはみな等しく可能性を持っていると断言します。
それを活かすも殺すも育て方次第です。
脳みその重さは個人差がありますが、知性は脳の重さとは関係ありません。
脳の重さは成人男性約1400g、成人女性約1250g。
夏目漱石は1425gで平均以上ですが、アインシュタインは1230gで平均以下です。
脳のスペックを決めるニューロンの数はみな一緒なので重さは関係ないのです。
ようは使い方次第。全ては後天的なものです。
上手に育てればほとんどの子は東大レベルに出来ます。
そうならないのは親が正しい育て方を学ばずにテキトーにやっていたり、「これが正しい」と思い込んで明後日の方向に努力しているからです。
上手に育てるのにお金は要りません。親の心構えやちょっとした工夫や努力が要るだけです。
いま我が国において必要な議論は、低偏差値大学の是非だとか、無理して大学に行くべきか否かなどということではなく、親になる人に正しい親の在り方を教育することだと思いますよ。
お礼
詳しいご回答ありがとうございます。 少し私には正確に理解できなかった気がしますが、 興味深く読ませて頂きました。 また、質問の意図も酌んで下さりありがとうございます。 質問の結論としては、 無駄にならない事の方が多いという事なんですね。 疑問が解決しました。 >親になる人に正しい親の在り方を教育すること 私も浅学ながらそう思います。 子の知りたい学びたい欲求を上手に育てられる親の元では 子は自ら知り学ぶ喜びからどんどん多くの知識を得て行ける。 子の知りたい学びたい欲求を、 親のコンプレックスやトラウマ経験からへし折り続けると 子は意欲を失ったり優越感や劣等感の泥沼に嵌り易くなる。 そんな風に思えます。 日本の資源(人の可能性)の損失を減らせる社会に変わる為の 教育が今とても重要なのだろうと。 核家族化、共働き、地域社会の希薄化、 狭い人間関係の中で他者の気持ちを知る機会の乏しい子供。 子の触れる創作の理想や幻想と現実との隔たり。 思い込みなど足かせになりやすい発想が気付かれ難い環境。 発達障害など先天的なハンデを持つ子供と保護者への影響。 色々な社会の変化が色々なものと絡まりあってる様ですが、 根底にある家庭と親子の部分を解決できるアプローチができれば この国の資源(人)はもっと活かされると私も思います。 ご回答ありがとうございました。