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実存気体の断熱膨張時のジュール・トムソン効果の有無

気体を冷却する方法として、仕事を外部に取り出しながら気体を膨張させる断熱膨張や、仕事を外部に取り出さずに(逆転温度以下で)不可逆的に膨張させるジュール・トムソン効果などが知られており、それらは別種のものと説明されています。 断熱膨張においては、内部エネルギーが仕事に変化することにより温度が低下し、ジュール・トムソン効果においては、膨張時に実存気体の分子間力に対して仕事をすることにより温度が低下する、と理解しています。しかし、断熱膨張においても気体の分子間距離は膨張により広がっていますので、内部エネルギーが仕事に変化することによる断熱膨張本来の温度低下に加えて、分子間力に対して仕事をすることによるジュール・トムソン効果による温度低下も必然的に発生しているように思います。 もっと言うと、実存気体の膨張においては、それが可逆的過程(断熱膨張)であっても不可逆的過程(ジュール・トムソン膨張)であっても、必ずジュール・トムソン効果の原理による温度低下は発生しており、仕事を外部に取り出している場合は、その分だけさらに温度低下が起きている、ということではないのか、という疑問を持っています。このような考え方で正しいでしょうか。また、正しくないとすれば、実存気体においてジュール・トムソン効果を伴わない断熱膨張による冷却が可能である、ということになるかと思いますが、その際の、分子間力に対する仕事はどのようになるのでしょうか。

みんなの回答

回答No.1

作業物質の状態は運動エネルギーと粒子間の位置エネルギーで決まってしまうので、熱力学の範疇に納まる○○効果や○○の法則というはほとんど運動エネルギーと粒子間の位置エネルギーの変化で説明できてしまいますが、それを全て「ジュール・トムソン効果」とは呼ばないというだけのことです。

brightberry
質問者

お礼

簡潔にして明快なご回答、ありがとうございます。気体の液化では、タービンなどで断熱膨張させた後に、ジュール・トムソン弁を経由して膨張をさせるような装置の説明がされていることがあったため、このような疑問を持つに至った次第です。断熱膨張とジュール・トムソン膨張では、マクロな膨張操作は異なっていても、ミクロな冷却原理には共通する部分(位置エネルギーの変化)があるもの、と理解しました。

brightberry
質問者

補足

簡潔にして明確なご回答ありがとうございます。自分なりに整理してみました。 実存気体では、内部エネルギーには分子の運動エネルギー(熱)に加えて分子間力の位置エネルギーも含まれているので、断熱膨張においては、内部エネルギーから位置エネルギーを取り上げて説明する必要がない。従って、断熱膨張による温度低下にはジュール・トムソン効果も寄与しているなどという言い方もしない。一方、ジュール・トムソン効果の説明においては、内部エネルギーの中の位置エネルギーを取り上げて説明する必要がある。このため、位置エネルギーの変化はジュール・トムソン効果だけを生み出しているような印象を与えるかもしれない。しかし実際には、断熱膨張時においては、外部に仕事をすることによって直接的に運動エネルギーを失うことだけでなく、ジュール・トムソン効果の主原因である運動エネルギーから位置エネルギーへの変換によっても温度が低下している。このような感じでいいでしょうか。

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