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冒認出願の取り扱い(39条、49条7号)
冒認出願の取り扱い(39条、49条7号)の改正内容を確認し、疑問点をまとめてみた。 1.条文及び青本のまとめ(1) 〈冒認出願の先願の地位〉 従来、冒認出願に「先願の地位」を認めていなかった。 しかし、平成二三年の一部改正において、真の権利者は、冒認出願に係る特許権を移転請求権の行使により取得することが可能となったため(七四条)、仮に冒認出願に「先願の地位」を認めないとすれば、真の権利者は、冒認出願の公開等から六月経過するまでの間に、自らも同一の発明について出願することにより、同一の発明について重複して特許権を取得することが可能となってしまう。 そこで、このような事態を防止するため、平成二三年の一部改正において、旧六項を削除し、冒認出願について「先願の地位」を認めることとした。 (拒絶の査定) 第49条 審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。 1号~6号(省略) 7号 その特許出願人が発明者でない場合において、その発明について特許を受ける権利を承継していないとき。 第39条第6項 特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第1項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。 ただし、その特許出願について第2項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。 2.質問の内容(1) 冒認出願の先願の地位は、平成23年改正で認められた。この意味は素直に納得できるのだろうか。 何故ならば、冒認出願は拒絶理由である(49条7号)。従って、冒認出願を理由として拒絶査定が確定したら、先願の地位はなくなるからだ(39条6項)。同条同項但書で先願の地位を有する例外として明示しているのは、協議不調等の拒絶査定の確定だけであり、冒認が掲げられていない。 平成23年改正前の実務では、確認訴訟の判決書を写しを添付して特許を受ける権利の移転が認められている。これは冒認の有無の審理は裁判所で確認訴訟でやってください。結論が出たら拒絶査定又は移転請求のいずれにするかを真の権利者に意思を考慮して決めると考えているように見える。この点は現行法においても同様に認められるだろうと考えている。 確認訴訟の原告適格を調べてみると、確認の訴えでは、確認の利益を有する者が正当な原告であり、その確認の必要性を生じさせている者が正当な被告となる。 従って、冒認の当事者以外に49条7号の拒絶理由の情報提供があって、結果的には、冒認の当事者の協力(確認訴訟の確定判決)がないと、拒絶査定にならないのではないかと考えている。 確認訴訟の確定判決のない限りで冒認出願は先願の地位を有するというのが青本の意味するところではないだろうか。 3.青本の内容(2) 他方で、無効理由のうち権利帰属にかかわる無効理由、すなわち共同出願要件違反の出願(三八条)及び冒認出願(一二三条一項六号)については、発明の特許性についての問題ではなく、専ら権利の帰属が問題となっているものであり、このような特定の当事者間における権利の帰属を巡る紛争の解決は、当事者にその解決を委ねるのが適当であることや、平成二三年の一部改正において、特許権の移転の特例(七四条)が規定されたことに伴い、真の権利者(特許を受ける権利を有する者)が移転請求により特許権を取得する機会を担保する必要性が生じたことから、二項後段では、権利帰属に係る無効理由についての請求人適格は、真の権利者に限定する旨を規定したものである。 4.質問内容(2) この記載の意味は冒認の当事者以外にも確認訴訟を提起できるかのように読めてくる。確認訴訟の確定判決がなくして、どのようにして無効理由の有無を判断するのだろうかという疑問が生まれる。 さもなければ、真の権利者以外の者が問題の無効理由をもし立てた場合、審判官は職権で冒認の当事者に事実確認をして無効審決を出せるので、上記の制限を設けたのだろうか。これも現実的には無理があるように思える。 123条2項後段は確認的意味の規定に過ぎないのではないか。それならばそのように明示的に説明して欲しいように思う。
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- thessalonian
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第39条第6項には、「特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第1項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。」と規定されているとのことですが、第39条第<<5>>項ではないでしょうか。 また、確認訴訟について書かれていますが、何を確認するのかよくわかりませんし、「49条7号の拒絶理由の情報提供があって」と書かれていますが、49条7号は情報提供の対象になっているでしょうか。