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中世、日本刀一振りを作るのに必要な鉄素材の量
- 中世(室町時代)、日本刀の一振りを作るにはどれほどの量の鉄素材が必要だったのか。
- 中世のたたら製鉄で取り出した鉄は、精錬すればほとんど鋼になるのか。
- 対明貿易において日本から輸出された刀剣の量と、それに必要な鉄の生産量についての疑問。
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平成8年に木更津工専の学生が、砂鉄からたたら製鉄法を 経て日本刀への実験をしました。 手製の炉に鞴(ふいご)の代わりに送風機を使ったのでで、 たたらは踏みませんが、方式はたたら製鉄です。 鉄塊(玉鋼相当) 約3Kgが得られ、刀匠が鍛えて刃渡り 1尺2寸、約600gの脇差に仕上げました。 質問文にある約5分の1の歩留まりと同じです。 先答の約10分の1の歩留まりとは倍の開きがありますが これは、勿論砂鉄の品質、たたら製鉄の技術差なども ありますが、私は正宗や長船などの銘刀は高品質のものを 得るため鍛えが多く10分の1という低い歩留まりになったと 考えています。 室町時代の対明輸出の刀剣は年3万7千振りに達したと いわれ、銘刀とは違ういわゆる数打ち物といわれる低品質 のものです。 恐らく歩留まり5分の1のものでしょう。 次は玉鋼の歩留まりの問題です。 室町のたたら製鉄のデータは残っていないようですが、江戸 時代の大規模たたら製鉄の記録は多くあります。 それを元にした日立金属(株)のたたら製鉄のデータの一例 砂鉄、約10トン、木炭、約12トン、を原料とし鉄の粗塊(ケラ) 約3トンを得た。 ケラを破砕して良品(玉鋼)を選別して玉鋼、約1トンを得た。 砂鉄からの歩留まり 約10分の1。 約15分の1 くらいの例もあります。 10分の1として、砂鉄から刀の歩留まりは、50分の1 室町時代も同様とすると、刀 3万7千振りは 約37トン 必要玉鋼 約190トン、ケラ(粗鉄塊) 約570トン 原料の砂鉄 約1900トンと膨大です。 木炭の必要量は砂鉄の同量~倍量とばらつき大です。 これは砂鉄の品質(純鉄分の含量など)や技術によるので しょうが、いずれにせよ森林の消滅になったでしょう。 ケラから玉鋼を取った残り(ズクという)は勿論活用しました。 刀には使えなかったとの由。 URLを載せたいのですがうまく出ません。
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- r3350
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こちらには、玉鋼が約10倍必要とあります。 http://www.kajita-token.com/process.html
お礼
ご回答ありがとうございます。 現代の作刀では、原料の玉鋼を約10倍必要としているのですね。 中世の頃も多分そのくらいだったのでしょう。 次は、玉鋼10キログラムを得るには、どれほどの鉧(ケラ?)を必要としたのか、という疑問です。
お礼
ご回答ありがとうございます。 木更津工専の実験例では、日本刀一振りには刀身重量の約5倍の玉鋼が必要であった、ということですね。 #1の方の美濃関の刀匠の例では約10倍でしたので、どちらも参考になります。 >砂鉄、約10トン、木炭、約12トン、を原料とし鉄の粗塊(ケラ)約3トンを得た。 >ケラを破砕して良品(玉鋼)を選別して玉鋼、約1トンを得た。 日立金属のサイト「たたらの話」の数値だと思います。 良質の木炭を使って、モーターで送風し、天候に左右されず、恵まれた環境で得た現代版たたらで、1回の操業で約1トンの玉鋼を得たということですね。 >室町時代も同様とすると、刀 3万7千振りは 約37トン >必要玉鋼 約190トン、ケラ(粗鉄塊) 約570トン 文明16年(1484)には37000振りの刀を輸出していますが、いろんな条件を無視した単純計算で、190トンの玉鋼を得るには、1回の操業で1トンですから、延べ190回の操業になります。 遣明船で輸出した数うち物は粗製乱造品ですから、必要な玉鋼の量はもっとすくないでしょう。 しかし、昔のたたらでは、樹種を選ばず木炭にしているので、まただんだん遠くから木を運んで来ないと必要量の木炭を確保できないので、1回の操業で1トンの玉鋼を得ることはできなかったでしょう。 遣明船の数打ち物を作るだけの鉄を国内で生産できたのか、新しい疑問です。 取り留めのない想像をできるのもわざわざ調べて回答して下さったおかげです。 次から次へと疑問は湧いてきますが、別途再質問したいと思います。