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源氏物語の翻訳:王子から庶民への未来
- 一斉に彼らは帝が非常に慎重に行動していたことに同意し、そして帝は途方に暮れて、国王の地位もしくは母親の側の影響なしに若宮を王子として置かないように決めた。というのは彼が、「私自身の力はとても不安定だ。私は国の偉大な役人たちに代わって見るために彼を最もよく置いた。」と考えたからだ。
- 彼はこのように若宮の未来を快く決めたことを思いながら、彼は彼の教育に真面目に働きかけることを置き、そして彼が芸術と知識のすべての部門で完璧を作られるはずであろうということを見た。
- 彼は才能をすべての彼の勉強の中にとても表したので彼が庶民にとどまっているべきことは残念に思われ、そしてもし彼が王子に作られていたなら、それは不審を買うだろうということが決められていたので、帝は占星術と月の相の学問に賢い医者たちに相談した。
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今晩は。いつも丁寧なお礼を頂戴しありがとうございます。 それにしても Waley の英語は、いろいろな構文やイディオムを含んでいて、いい勉強材料だなと思うようになりました。 1)>一斉に彼らは帝が非常に慎重に行動していたことに同意し、そして帝は途方に暮れて、国王の地位もしくは母親の側の影響なしに若宮を王子として置かないように決めた。というのは彼が、「私自身の力はとても不安定だ。私は国の偉大な役人たちに代わって見るために彼を最もよく置いた。」と考えたからだ・・・・・・? >With one accord・・・・一斉に? ●全員一致で、ということです。 >I theyと主語が続いているのがわかりません。(Iは誰のことですか?) ●私の持っている Modern Library 版では、" With one accord they agreed…" と I はありません。版が違えば、誤植の可能性があります。英語としては意味を成しません。 >adrift upon the world・・・・・途方に暮れて? >royal standing・・・・国王の地位? ●the Emperor determined not to set the child adrift upon the world as a prince without royal standing の部分ーー set ~ adrift が「~を漂流させる」→「寄る辺のない不安な境遇に置く」というイディオムです。 a prince without royal standing というのが難しいですが、親王の位に4階級あり、その下に「無品親王(むほんしんのう)」という地位があったそうです。野球で言うと補欠みたいなものですかね。 ということで、「帝は若宮を無品親王として、寄る辺のない不安な境遇に置くようなことはすまいと決心した」という意味です。 >For he thought・・・・というのは彼が~と考えたからだ? ●その通りです!接続詞の for は、このように、前の文につなげないで、独立した文で書かれることも時々あります。 >I had best set him・・・・・彼を一番ベストな地位に置いた、ということでしょうか? ● had better(~するほうがよい)はご存知と思います。それとほぼ同じ意味で had best も使われます。もちろん「~するのが一番よいだろう」と訳してもいいです。 >watch on my behalf over the great Officers of State・・・・on my behalf ofのイディオムはありますがoverになるとどうなるのでしょうか? ● watch (on my behalf) over ですので、 watch over ~と繋がっています。「~の世話をする」→「~を輔弼する」という意味です。 I had best set him to watch on my behalf over the great Officers of State. で、「私は彼を、私のために、国の政務を輔弼する役に就けるのがいいだろう」ということになります。 2)Thinking that he had thus agreeably settled the child's future, he set seriously to work upon his education, and saw to it that he should be made perfect in every branch of art and knowledge. >彼はこのように若宮の未来を快く決めたことを思いながら、彼は彼の教育に真面目に働きかけることを置き、そして彼が芸術と知識のすべての部門で完璧を作られるはずであろうということを見た。 >Thinking・・・・・思いながら? >he set seriously to work upon his education・・・・・ここの訳がよくわかりません。set to workで仕事を始める? >work uponで・・・に働きかける? ●分詞構文ですね。「~して」が一番多い訳になります。「帝はこのようにして、若宮にぴったりの未来を決めたと思って、彼の教育に真剣に取りかかり始めた。」 work upon = work on =「~に取り組む」/ set to do = 「~し始める」・・・どちらも大事なイディオムです。 >saw to it・・・・toが入るのはなぜですか? ● see to it that ~が、「~ということになるよう取り計らう」→「責任を持って~する」という意味のイディオムです。 >he should be made・・・・・受動態になっているのはなぜですか?若宮が周りの人から作られるという意味が入っているのでしょうか? ●そうです。People around him should make him perfect. の受動態と思えばいいですね。 >should・・・・・・はずであろう? ●これは難しいです。時制の一致で should になっていますが、もともとは、He shall be made perfect. という英語です。これは「三人称の主語につけられた shall は話者の意志を表す」というのがあって、「若宮を完璧な人間にしてやろう」という意味になります。 saw to it that he should be made perfect in every branch of art and knowledge.で、「(帝は)若宮を、責任を持って、技芸と知識のあらゆる領域において完成された人間にしようと思った」という意味となります。 3)He showed such aptitude in all his studies that it seemed a pity he should remain a commoner and as it had been decided that it would arouse suspicion if he were made a prince, the Emperor consulted with certain doctors wise in the lore of the planets and phases of the moon. >彼は才能をすべての彼の勉強の中にとても表したので彼が庶民にとどまっているべきことは残念に思われ、そしてもし彼が王子に作られていたなら、それは不審を買うだろうということが決められていたので、帝は占星術と月の相の学問に賢い医者たちに相談した。・・・・? ●大体いいと思います。 >it seemed a pity he should remain a commoner・・・・・強調構文ですか? ●これは仮主語構文です。it seemed a pity that he should remain a commoner. で「彼が平民のままでい続けるのは不憫に思われる」という意味になります。 >as it had been~のasは「ので」? ●その通りです。理由の as です。 >非の打ちどころがないような人の幸せに満ちた物語では人の心を惹きつけないという気がしました。 ●トルストイの言うように、幸福は似たり寄ったりでつまらないが、不幸は個性的で、人の心を惹きつけますね。この世のものとは思えぬ美貌の若宮の不幸は、もう読者を虜にしてしまいます。 *************** 《余談》なかなか1922年にいけません。エドワード朝の楽天的な幸福感は、第一次大戦で壊滅的な打撃を受けました。その1つの大きな原因は、兵器が、産業技術革命の影響で、飛躍的にその殺傷能力を高めたからです。刀やマスケット銃の戦争なら、兵士の腕力や勇気や冷静さがものを言います。しかし機関銃や大砲や戦車の時代になると、そういうものは無価値に等しくなり、ただバタバタと薙ぎ倒されるだけになります。毒ガスも流されました。 「ワーテルローの戦いはイートン校の校庭において勝利が決められた」とは有名な言葉で、イートン校に行くようなイギリスの貴族の師弟たちは、先頭を切って敵陣に斬り込もうとしました。そしてただ機関銃によってバタバタと撃ち殺されるだけでした。彼らが培ってきた精神力は何の役にもたたなかったのです。このことが人々を愕然とさせました。西洋文明は、人類を理想の地に連れていってくれるものではなかったのか?ヨーロッパを代表する知性といわれたヴァレリーは「我々文明なるものは、今や、すべて滅びる運命にあることを知っている。」と言い、シュペングラーという人は「西洋の没落」を予言しました。 おまけに、やはり軍隊を利用して伝染が広まっていったスペイン風邪(インフルエンザ)が世界中に猛威をふるい、5000万人くらいが死んだと言われています。(日本だと島村抱月がその犠牲者で、松井須磨子の後追い自殺が有名です。)楽天的な空気はけし飛んでしまったのです。(つづく)
お礼
今晩は。物語の内容を正確につかむためにはいろんな構文やイディオムを知っていないとだめなのだということをあらためて感じています。 いつも大変丁寧に回答を下さってありがとうございます。 1)のIは誤植ですね。きっと。(「私」を主語にしようか迷ったのですが・・・私の持っているのは何版というのか・・・・??) 「無品親王」という地位は初めて知りました。「寄る辺のない不安な境遇に置く」という言葉の転換があるのですね。 分詞構文はよく出てきますね。 2)のshouldにそんなshallの意味があったとは思いませんでした。勉強になりました。 3)は仮主語構文だったのですね。 トルストイはそんなことを言っていたのですね。。。! **************************** 気になる1922年はもう少し先ですね。 化学兵器は本当に恐ろしいです。精神力ではどうにもなりませんね。 栄えていたものが滅んでいくというのは世の常のような気がします。 スペイン風邪では5000万もの人が亡くなったのですか。。。。島村抱月と松井須磨子は劇作家と女優の関係ですね。 1922年にどのようにしてつながっていくのか楽しみにしつつ。。。 今週も大変お世話になり、有意義なお話も聞かせていただいてありがとうございました。 日曜日は投稿をお休みします。