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源氏物語の翻訳について
- 彼の保証人、左大臣はただ一人だけの娘を持っていて、後継者は彼女の美しさに気付いていた。しかし今(彼女の)父はその組み合わせをどうしても促進するつもりではなく、彼女を源氏に申し込むことを考え始めていた。
- 従臣たちはthe Love Cup(祝酒?)を飲むために集合した時、源氏は来て、そして他の皇子たちに混ざって決められた彼の席に着いた。左大臣は近づき、彼の耳に何かを囁いた。しかし若宮は顔を赤らめ、そして返事を考えることができなかった。
- 彼(左大臣)はこれを帝に知らせ、そして(彼は)帝が若宮にとってとても強いつながりの優位を獲得することを嬉しく思うだろうということを見出した・・・・・・?
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今晩は。いい秋晴れの日でした。 1)『 His sponsor, the Minister of the Left, had an only daughter whose beauty the Heir Apparent had noticed. But now the father began to think he would not encourage that match, but would offer her to Genji. He sounded the Emperor upon this, and found that he would be very glad to obtain for the boy the advantage of so powerful a connection. 』 >彼の保証人、左大臣はただ一人だけの娘を持っていて、後継者は彼女の美しさに気付いていた。しかし今(彼女の)父はその組み合わせをどうしても促進するつもりではなく、彼女を源氏に申し込むことを考え始めていた。彼(左大臣)はこれを帝に知らせ、そして(彼は)帝が若宮にとってとても強いつながりの優位を獲得することを嬉しく思うだろうということを見出した・・・・・・? >he would not encourage・・・・・・過去の強い拒絶を意味するwould notですか? ●とてもいいです。うるさく言いますと、would not は「過去の強い拒絶」と取る積極的な理由は見当たらないように思います。直接話法に直しますと、 But now the father began to think, “I will not encourage that match, but will offer her to Genji.”(「その縁組み(=東宮との縁組み)は進めずに、源氏に嫁がせよう」)ということです。ですから単純な意志未来ということで十分通じると思います。 so powerful a connection の 語順はご存知でしたか? such a powerful connection と違って、so や as や too は、副詞としての力が強く、形容詞を引きずり出して自分に接触させずにはおかないのですね。イ・ビョンホンみたいな(女性)吸引力があるわけです。 2)『 When the courtiers assembled to drink the Love Cup, Genji came and took his place among the other princes. The Minister of the Left came up and whispered something in his ear; but the boy blushed and could think of no reply. 』 >従臣たちはthe Love Cup(祝酒?)を飲むために集合した時、源氏は来て、そして他の皇子たちに混ざって決められた彼の席に着いた。左大臣は近づき、彼の耳に何かを囁いた。しかし若宮は顔を赤らめ、そして返事を考えることができなかった・・・・・? ●完璧です。 >could think of no reply・・・・・英文でよく見られる表現なのですが、ここをcould not think of a replyと表現しない理由は何かあるのでしょうか?(訳すときに couldだけど noがついているから。。。。とややこしくなりがちです。。。) ●could think of no reply を could not で始めますと、could not think of any reply となります。つまり「どんな返事も思いつかなかった」となり、源氏の狼狽ぶりが伝わってきます。could not think of a reply ですと、そういう狼狽ぶりが感じられないという違いがあるように思います。源氏も純情青年ですね。 >左大臣にも策略があったように思われます。 ●肚に一物ないような人は、とてもこれほどの高位には昇れないでしょうね。 ****************** 《余談》Waleyが『源氏』を翻訳した 1920年代の時代的雰囲気を『国語便覧』よりも深く理解する目的で、 annus mirabilis たる 1922年についてお話しさせていただいております。 T. S. Eliot の “The Waste Land” (1922) についてですが、前回、冒頭部をご紹介しました。もう1節少し先のところをご紹介します。 Who is the third who walks always beside you? いつも君のそばを歩いているのは誰? When I count, there are only you and I together 数えると君と僕しかいないのに But when I look ahead up the white road 白い道の先を見ると There is always another one walking beside you いつも誰かが君のそばを歩いている Gliding wrapt in a brown mantle, hooded 茶色のマントに身をつつみ、頭巾をかぶり I do not know whether a man or woman— 男とも女とも分かたずに、静かに歩いている― But who is that on the other side of you? あれはいったい誰? 語り手の恋人のそばを歩いているのは誰かすぐお分かりになりますか?それは、第一次世界大戦で戦死した、「元彼」の亡霊と考えるのが正当でしょう。茶色いマントは塹壕戦で着ていたトレンチコートを思わせます。 「荒地」は第一次大戦後のイギリス(知識)人の精神を最もよく代弁したかもしれないです。その書かれた内容によってというよりは、そのトーンによって。「虚無」感が強烈に出ています。こうしたものはヴィクトリア朝の詩にはないものでした。よくも悪くも「新しい時代」に入ったのでした。 日本で、T. S. Eliot の counterpart を探せば、多くの人が萩原朔太郎の詩業を挙げることだと思います。彼もまた、違った意味での日本の「虚無」に声を与えました。『月に吠える』は、1917年の出版で、これまたそれまでの日本の詩とは、隔絶したと言いたくなるほどの新しい衝撃を与えたと言われています。現代のわれわれには、やや古めかしく響きますけれども...(つづく) 「荒地」もお読みになったとか...すごい読書力ですね。また近くに図書館があるというのも値千金ですね。
お礼
今晩は。とてもすがすがしい秋空でしたね。お風邪の具合はいかがですか? いつも大変丁寧に回答をしてくださってありがとうございます。 would not はここでは「単純な意思未来」なんですね。 so,as,tooは形容詞と接触してso powerful a connection のような語順になるのですね。 (ドラマ「IRIS-アイリス」見ていましたが・・・・・(笑) 2)なのですが、could notを使うと could not think of 「any 」reply になるのですね。(お聞きしたかったのは、ここをcould not~で始めてくれると訳しやすいのに、英文ではcouldから始めて後でno replyというようにnoを使ってくるので、ややこしくなってしまうということでした。「could not think of a reply」という私の英文が質問の意図をずらしてしまったようですみません。 ******************************** 前回はT. S. Eliot の “The Waste Land” (荒地)の美しいリズムで始まる冒頭部分を書いて下さってありがとうございました。 今回は「荒地」の中の「What the Thunder said」の一節でしょうか? 「荒地」の中に並んでいる言葉は何気なく感じられるものであってもそこにはすごく奥が深い意味がこめられていますね。意味を知った時びっくりしてしまいました(Who is the third who walks always beside you?もそうですね。第一次世界大戦で戦死した「元彼」の亡霊とは気付けませんでした) 英文だとより「虚無感」のトーンが出ているのかもしれませんね。 『月に吠える』はタイトルしか存じていません。「国語便覧」では萩原朔太郎のところに「近代詩の確立」と書かれていました。 インターネットで10冊予約ができ、地域にある他の図書館から予約した本を集めてきてくれるので、大抵の本は2,3日中に借りることができます。(ご紹介いただいた本は興味を持ってしまいます・・・!)