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虚数iと交流の電気の関係とは?

「自乗してマイナス1になる数」(虚数i)が交流の電気で大活躍してると聞いたのですが、具体的にどのように活躍しているのでしょうか? 数学は高校から苦手でしたので・・・ わかりやすく解説していただけたら助かります。

みんなの回答

回答No.2

古典的な電気回路は電池などによって実現される電圧や電流の源があって,抵抗R,コイルL,コンデンサCなどの回路素子を導線でつないだ回路です. 回路素子は,源が2倍になったら各素子の電圧や電流もやはり2倍になるというような性質があります.このような回路素子からなる電気回路を線形回路といいます.数学的には回路方程式が線形性をもつことです. 交流というのは振動する電流や電圧のことを言います.最も基本的で理想的な交流は正弦的な変化をするものです.これは数学の三角関数で表すことができます. 交流といっても,実際は時刻0にスイッチを入れて源と同じ周波数で回路の電流・電圧が振動するまでには時間がかかります.この間は厳密には正弦的変化からずれていますが,十分時間がたつと,源と同じ周波数で電流・電圧が振動するようになります.これを源の振動に対する回路の強制振動解と言います.この強制振動解を簡単に得る方法が虚数を用いる計算なのです. 例えば電源e(t)=EsinωtをもつRL回路の電流i(t)の満たす回路方程式は Ldi/dt+Ri=Esinωt となります.十分時間がたった後のi(t)(強制振動解)だけをほしい場合右辺のsinωtを複素数e^{iωt}で置き換えます.これをやっていいのはオイラーの公式 e^{iθ}=cosθ+isinθ があるからです.これも右の形は和で線形性と相性がいいのです. i(t)もIe^{iωt}に置き換えましょう.Iは複素数です.すると指数関数の微分公式 de^{iωt}/dt=iωe^{iωt} によって, {L(iω)+R}Ie^{iωt}=Ee^{iωt}∴I=E/(R+iωL) Z≡E/I=R+iωL=ae^{iα}(絶対値a=|Z|,偏角α=argZ) a=√(R^2+ω^2L^2),α=arctan(ωL/R) Zは交流に対する回路の「抵抗」のようなもので,インピーダンスと呼ばれます.実際の電流i(t)はEZe^{iωt}の虚数部分です. EZe^{iωt}=Eae^{iα}e^{iωt}=aEe^{i(ωt+α)}=aEcos(ωt+α)+iaEsin(ωt+α)∴i(t)=aEsin(ωt+α) 振幅がa倍,位相がαずれる.位相αのずれがなければ直流と同じで,交流の本質はαの存在(ω≠0)すなわちZ=ae^{iα}が虚数であることなのです. だから交流では虚数が活躍するのです. 交流を虚数計算で求めることができるのは,回路の線形性とEulerの公式のおかげです. 実は,回路理論の虚数的理論はこれにとどまりません.iωという純虚数に実部σを加えてs=σ+iωという複素数を考えると,強制振動になる前の過渡的な応答電流なども求められるようになります. さらにはZ(s)は複素変数sの有理関数(四則演算でできる式)の性質をしらべて,回路解析の逆,つまり回路の合成を行う理論もあります.そこでは複素関数論や行列理論などの高度な数学的理論が展開され,フィルタの設計などが行われます. よく虚数単位iは量子力学では本質的だが回路理論では技術的なものにすぎないという声をききますが,技術も洗練されると壮大な理論に発展することが回路理論で分かります.

回答No.1

端的に言います。 交流は時間を取り扱った場合に三角関数を用いて表されますが、和や積などを扱う際に加法定理を用いるなど計算が煩雑になります。 虚数を導入するとそれを代数的に処理できる点に利点があります。