(1)有理数と無理数について
有理数とは分数で表せる数のことです。1/2や-5/3などは有理数です。有理数ではない(つまり分数で表すことができない)数直線上の数を無理数といいます。例えば、√2や円周率πは無理数です。数直線上の数を実数といいます。ですので、実数は有理数と無理数に分けられるということになります。
(2)虚数について
xの2乗をx^2と表すことにします。x^2=2という方程式を考えると、これはx=√2、-√2という2つの実数解を持っています。しかし、x^2=-1という方程式を満たすxは実数の中にはありません。なぜならば、すべての実数は2乗するとゼロ以上の実数になるからです。だから、方程式x^2=-1は解けないとして終わってもよい訳です。しかし、先人は、そうではなくて、解けないのは実数(=数直線上の数)の世界がせますぎるからで、数の世界を実数から広げてもっとおおきなものにすれば、方程式x^2=-1も解けるはずだと考えたわけです。しかし、どうやったらx^2=-1が解けるように数の世界を広げることができるでしょうか?これが問題です。オイラーやライプニッツは2乗して-1になる数をiと書いて形式的に用いていましたが、その正確な意味はつかめませんでした。初めて、この問題を明確に解いたのはガウス(1777-1855)です。ガウスは数の世界を数直線という1次元の世界から平面という2次元の世界に広げればよいということに気づいたのです。では、2乗して-1になる数iは平面上のどういう点になるでしょう?
そこで、i^2=-1の右辺の-1の意味を考えてみます。
0×(-1)=-2
(+1)×(-1)=-1
(+2)×(-1)=-2
(-1)×(-1)=+1
(-2)×(-1)=+2
この例からわかるように、(-1)をかけるということは、実数を符号を変えた数にする(+を-、-を+にする)働きを持っています。そこで、数直線を2次元平面の一部と考えて、2次元の世界で考えてみます。そうすると、符号をかえるというのは、原点の周りに180度回転させることであると解釈することができます。
i^2=-1
とういうのは
×i×i = ×(-1)
ですので、×(-1)が180度の回転であるならば、×iは90度の回転であると考えることができそうです。このように考えると、
(+1)×i = i
(+2)×i = 2i
...
(-1)×i = -i
(-2)×i = -2i
...
ですので、i,2i,...,-i,-2i,...というのは、実数の集合である数直線と垂直な直線上に並ぶことがわかります。1が水平線=数直線上の単位であるのに対して、iは垂直線上の単位と考えることができます。そこで、iのことを虚数単位と呼びます。虚数というのはライプニッツが使った言葉ですが、現実にないという意味なので、あまり適切な言葉ではないように思えます。実際は2次元平面上の点という現実のものとして表せるので別な呼び方がふさわしいと思いますが、今でも虚数という言葉をそのまま用いています。
(3)複素数について
上のように考えると、数の世界を1次元の直線から2次元の平面に広げて考えるのが自然であるように思われます。そこで、座標(a,b)をもつ平面の点はa+biという数を表すと考えます。この数を複素数と呼びます。平面上の各点が複素数という数を表していると考えたときのこの平面を、このことを初めて発案したガウスにちなんで、ガウス平面と呼びます。
数の世界を1次元の実数から2次元の複素数に広げることで、数学のいろいろなことが明らかになり、またいろいろなところでそれが応用されています。例えば、現代物理学の基礎となっている量子力学では複素数を用いることが本質的なことになっています。これらのことについては、これから勉強していくとわかってきますので今の興味を継続していろいろな本を読んでみてください。
以上、お役に立てれば幸いです。
お礼
ちょっと難しかったけど 丁寧に答えていただき、ありがとうございました。