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- 森 蔵(@morizou02)
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回答No.1
1 事案 本件はA(中小企業金融公庫)は,Bに対し,合計5口の債権を有しており,B及びCは,それぞれ自己の所有する不動産に,これら5口の債権を被担保債権とする根抵当権を設定していたところ,Bにつき破産手続開始の決定がされた。その後,債権者Aは,上記の根抵当権の行使として,債務者B及び物上保証人Cから担保目的物の任意売却による弁済を受けたが,その弁済額は,5口の債権の総額を満足させるには足りるものではなかった。この場合に,債務者Bの破産手続における債権者Aの破産債権の額いかんが問題となり,Aは,破産裁判所に対し,破産債権査定申立てをした。 本件は,債務者Bの破産管財人Xが,破産裁判所の査定決定を不服として,破産法126条に基づき,Aを相手に破産債権査定異議の訴えを提起した事案である。 2 論点 開始時現存額主義の論点は別の訴訟で説明したから、省略するが、いずれにせよ本判決において重要なのは、債権者Aが主債務者B及び物上保証人Cから弁済を受けてから1年以上が経過した時期に初めて,本件弁済充当特約に基づく充当指定権を行使する旨を主張するに至ったことを指摘した点である。 本判決は,いつまでに充当指定をしなければならないかについて一般論を示すことはしなかったが,法的安定性確保の見地から充当指定の時期に一定の制限があることを前提に,本件の充当指定権の行使が破産手続における主張であることなどを背景として,債権者Aが主債務者B及び物上保証人Cから弁済を受けてから1年以上が経過した時期に初めて充当指定権を行使する旨を主張するに至ったことを指摘し,少なくとも本件事案において,このような時期に充当指定権を行使することは,法的安定性を著しく害するものとして許されない旨を判示した。