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回答No.1

本件は,Aの債権者であるXが,Yに対し,詐害行為取消権に基づき,AとYとの間の不動産持分の売買契約の取消し及び移転登記の抹消登記手続を求める事案の上告審であり,詐害行為取消権の消滅時効(民426条)が争われたものである。  Xは,Aに対し,主債務者を異にする2つの連帯保証債務履行請求権(甲債権・乙債権)を有していたが,Aは,債務超過の状態にありながら,所有する不動産持分をY(妻の妹)に売却し移転登記を経由した。そこでXは,平成16年9月14日,Aに対し,甲債権に係る連帯保証債務の履行を求める訴訟(別件訴訟)を提起し,次いで平成18年9月6日,Yに対し,甲債権を被保全債権として詐害行為取消権に基づく本件訴訟を提起した。その後の和解により甲債権が消滅したため,Xは,平成19年5月16日,本件訴訟の第1審手続において被保全債権に係る主張を甲債権から乙債権に変更したところ,Yは,Xが遅くとも別件訴訟を提起した平成16年9月14日には取消しの原因を知っていたから,乙債権を被保全債権とする詐害行為取消権は2年の消滅時効(民426条前段)により消滅したと主張した。 本判決は,(1)詐害行為取消権の制度は取消債権者の個々の債権の満足を直接予定しているものではない,(2)この制度趣旨に鑑みると,詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は,取消債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではない,(3)したがって,被保全債権に係る主張の変更は訴えの交換的変更には当たらないから,本件訴訟の提起によって生じた消滅時効の中断の効力に影響はない,と判示して,Yの上告を棄却した